初めてのゴスロリ 【月夜譚No.315】
ゴスロリを着る日がくるとは思わなかった。
今日は十月三十一日。今や日本の誰もが認知する、ハロウィン当日である。
少女は姿見に映る自分を見て、複雑な表情を浮かべた。
数日前、友人達とハロウィンにそれらしいことをして遊ぼうという話で盛り上がったのが事の始まりだ。どうせなら仮装をしたいが、人前に出るのは恥ずかしいから、友人の家で仮装をしてパーティーをしようということになった。
その友人の一人が、もし着たい仮装がないのなら全員分を自分に任せて欲しいと名乗りを上げたのだ。仮装ができるのなら何でも良いと、少女を含めた全員がそれに同意を示した。
そして当日、用意されていたのは全員分のゴスロリだった、というわけである。
どうやら彼女はゴスロリが好きで何着か集めてはいたが着る機会もなく、ただ部屋に飾って楽しんでいたという。そこへ今回のハロウィンの話が持ち上がり、これ幸いに友人を巻き込んでゴスロリを楽しもうと思ったらしい。
確かに何でも良いと了承したが、こんなフリフリの衣装が出てくるとは思わなかった。こういったものを着ようとも思ったことはなかったが、実際に着てみると絶妙に似合わない。
「大丈夫? 着られた?」
どうしたものかと思っていると、部屋の外から友人の声がかかる。友人を心配させるわけにもいかないし、ゴスロリを着ずに出ていくこともできない。
少女は深呼吸をして腹を括り、儘よと扉を開け放した。