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CAN・DAY・A・SORT~宙周りの日々~  作者: 可笑師司(おかしつかさ)
4/4

続々!火星編!

は~い♡あなたのキャンディちゃんヨ♡みんな元気してた?今回のま・ん・す・じ♡


(じ)あらすじな!ひっでえなコイツ。


たいして変わんないじゃない。


変わるんだよ。せめてすじの方変えろや。あ・ら・ぐらいは見せつけてフェイント掛けて来いや。


でも、元気してたって事に関わってくる感じだから、まんすじは。


はあ?


だから、あたしのまんすじで元気に――


また言ったよこいつ! 俺こんなヒロインやだよ!新しいヒロイン出してよ!


しーん。


しーんじゃないんだよ。はやくあらすじ行ってよ!





地球を出発した下僕ジテンとプリンセスキャンディ。


いつからお姫様になったんだよ。


彼ら彼女はうっふん♡ばっこん。


してないしてない。てか、させろや。


なにやら色々な事があったようで。原付に乗りながらジテンにも乗ったりキャンディさんに乗られたり。おっとここらは大人の世界。良い子はみないでネ。


ってか誰もみねーよこんなの。


※そんな悲しいこと言わないでください。


宇宙原付の燃料切れでガソスタに寄ろうもガソスタがないっ!


そんなくだりありましたっけ? てか宇宙にGSあんの?


※宇宙原付があるのであるとしましょう。


いや、あらすじでお話進行するから。


斬新!!


で、あーしらは火星に辿り着く前に色々あったワキャよ。ガソスタないから近くの星屑絞ってバイクの燃料にしたりしてね。


…しましたっけ。


……あんた食ってたじゃん。


…え?星の屑を?


うん。


……食ってたのかなあ……ってか、食ってたことにされんのかなぁ……されるんだろうなぁ~


うめえうめえ。星屑万能だ~な~んつって!これ、焼いてもいいし煮てもいいですねって。


ミソが合いますね~とか?


うんにゃ。それは言ってない。


……なんで俺の却下?


で、あとこれ読んで。台本。


え。


読みなよ。


……


読んじゃいなよ。頭に入れちゃいなよ。


ったく、キャンディさんたら人のちんこ触ってどこかに消えやがったよ。でも大好きだから許してるけど。〝……は?〟は~あ。まったく。キャンディさん大好き。萌え。激ラブ……まあそれはそれとして、お昼時のおっしゃれ~なカフェのまんまえでいきなり人のちんこ触って〝きゃぴ~♡〟とか言ってどっか消えやがった。よ~し待ってろよ!俺の愛しのプリンセス!


あ、それあーしの書いてる小説だった!


……


はい! これがほんとの! さっ!台本!


で、あーしらはぶらぶらしてたのよ、ジテンのちんぽこみたいに。


いや、俺のぶらぶらできるほどデカくねえから。……悲しいツッコミだな!!早く次行けよ!


そしたら火星から緊急通信!エマージェンシーコールが来たのよね!


あ、びーんびーんって。キャンディさんのバイクにね。……って書いてありますね。


……いやだ、下ネタ?


…!……一旦怒ろうと思ったけどやめたもう。そ。で、前回の火星不時着に至るわけみたいですね。


それじゃあ本編スタートだよ。


これ読んでる人着いて来られんのかな~。(主要な俺が着いて来てないのに……)



          本編START!!

(〇 〇)

/キャンディ視点アイズ


↑ここどーしてもズレちゃう




  


ジテン「う、う~ん」

キャンディ「起きたかい、若いの」

ジテン「何が若いのだよ、危ないとこ助けた仙人ぶりやがって」

ジテンはそーやって寝そべりから起きる。きゃっ。かーわいーんだ♡



       キャンディ視点ここまで。

※オタメシナノデ


ジテンくんは起き上がりしな、腰元でぱっぱ。軍手についたつちぼこりを叩きます。

それからきょろきょろするでしょう。

ジテン「いや~しっかしな~んにもない惑星っスね」

ジテンくんはその荒涼たる火星の地表におののきます。その表面は、丸裸のタヌキのお腹のようになにもなくつるつるです。ぽんぽこぽ~ん。

そのお腹のデベソのように小さなお山がぽつん。遠くにぽつ~んと飛び出しています。

その目線を頼りに、

キャンディ「んじゃ、まずあっこ言ってみっか☆」

ジテン「あそこですか。ふむ」

キャンディ「じゃあ景気よく指さし~☆」


〝びしぃ!〟

ジテンくんとキャンディちゃん、共に指さし(片方触手)確認! そらに二人の指(一本触手)が掲げられます!


目指すは遠方!


小高いお山!



……と場面切り替われそうでしたが、なにやらごちょごちょジテンくん。




ジテン「勢いよく指さし確認したものの、あれは分かんないんすか?あの~その、救難信号の的確な地点」


キャンディ「わっかんね」「だって頼みの綱の救難信号感じ取る器機ぼっ壊れちまったもん」


にゅわん。キャンディ(丸形)さんは触手を一本生み出して、自らの体内に埋め込みます。そこから丸形のメーターをお取り出し!

キャンディさんはどこに目があるのか、とにかく正面でそれを見るなり、もう一本の触手で表面のガラスを擦ったり、側面に当てて揺すったり、ベロ状の触手(飽くまで触手)を繰り出しては、メーターの調子をみますが、うんともすんともです。


それを見ていたジテンは気付きます。それはバイクに付いていたメーターです。てっきり速度計か何かだと思っていたのですが、それは救難信号を聴き取る為のものだったようです。


腕組みジテン

「そっか~」…「てか、それ救難信号キャッチする為のものだったんですね」


キャンディ

「いんや違うよ?」「こいつは速度計」

そう言ってそのメーターを今一度飲み込んだとさ☆


ジテン

「えっ!? それ、速度計るやつだったんですか!?」


キャンディ

「そうよ。そっこにたまたま救難受信号機能ソーユーキノーが付いてただけですよってからに☆」


そう言って彼女はぽよんぽよんと丸形の身体を器用に弾ませ、歩み出します。


ジテン

「ふ~ん」


それにジテンも追随する事にしました。


ポケットに手をINしながら、口笛を吹きつつ歩く事にしました。かっこかっこ――とは行かず。ぺたりぺたりの世界です。

何故ならジテンくんは先ほどの落下の衝撃で奇しくもサンダルをなくしてしまったからなのです。辺りを見回せど、それはなく、仕方なしで裸足で歩くジテンくん。ですが案外心地よろしい様子です☆

            

 ただ一点を覗いては。


ぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよ

ジテン

「……」

んぽよんぽよんぽよんぽよんぽよよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよんぽよん

ジテン

「……」     

ぽよんぽよんぽよ「ぽよぽよぽよぽようっせえな!」←ジテン


キャンディ

「ぽよ?」


ジテン

「口からもぽよ出でくんのかい!」


キャンディ

「どうしたぽよ?」


ジテン

「だーっ!もう!うっせえな!語尾にすんなよ!あんたねー!さっきからぽよぽよぽよぽようっさいんすよ!弾む度に!!」


ジテンくんは頭を掻きむしります。ごしゃごしゃごしゃごしゃ~。ムキ~という文字が浮かんで、消えます。


キャンディ

「仕方ないぽよよ」


ジテン

「あーっ!もう!ぽよを増やさないで~!!」


キャンディ

「4つ連結すれば増えたぽよを消せるぽよよ?」


ジテン

「ぷよぷよみたいに言わないでよ~!なんだよぽよぽよって!俺知らねーよそのゲーム!」「違うんだよ!」


キャンディ

「何がサ~☆」


ジテン

「耳障りなんすよ!あんたの弾み音!」


キャンディ

「だーってしょーがなーいじゃ~ん!これしか移動方法な~いんだから~♪」

 と言って、彼女(丸形)はぽみぽみ縦長に弾む。


ジテン

「……転がりなさいよ」


キャンディ

「や~だよ!こんな砂土だらけの土地!!よっごれんぢゃん!!☆」


ジテン

「ごたごた抜かすなよ!」


ジテンくんは睨みを利かせました。


キャンディ

「ふっざけんな!あ゛~ん゛」


キャンディさんはジテンくんににじり寄ります。


負けじとジテンくんもそれに応戦。メンチを利かせます。


        ☆バチバチバチバチ~!!☆


ジテンとキャンディの間に電流が!ぱぁん!火花が散ります。


キャンディ「やんのかコラァ゛」


ジテン「なんじゃいオラ。転がすぞコラ」


キャンディ「やめとけやァ~ それだけはやめとけやア゛!?あーしは底面接地だけでギリなんじゃい。泥まぶされんのァ。全身どろんこ


じゃろがいオン?元戻った時、中に泥がいりま――」


ジテン「てい」



          ☆〝がいん!〟☆


ジテンくんの攻撃!

ジテンはキャンディに蹴りをお見舞いだッ! おしこみ~☆

押し込まれたキャンディさんがもっこりへこんで――

キャンディ「あんっ♡」


          ☆どっぴゅん!☆


吹っ飛んだ!


ごろごろごろ――


キャンディ「あ~れ~」


遠ざかるキャンディさん。


〝がびん!!〟


ジテン「あっ! やべ……!! 山の方向じゃねえ方蹴っちまったァ!!」


アウチ、ジテンくん。火星は地球よりも重力が軽いようで、キャンディさんは面白いように地平の先に転がり消えてゆきます。


急いで追って! ジテンくん!


ジテン「わっかりました~!!」


〝ずぴゅぴゅぴゅ~!!〟


往年の走り出しポーズからのダッシュ!!


下半身を渦巻き状にして走りながら、ジテンくんも煙を出して追いかけます。


なにやらはたして、どーなることやら。



      【CAN・DAY・A・SORT】


                    

※きゃんあそ(CAN・DAY・A・SORT)の読み方講座~其の一~


〝ばきっ!〟〝ぴょ~ん〟などの効果音が現れた場合は、そのキャラクターの近くに、こんな風な描き文字が現れていると思ってネ!


〝〟←内にこだわらず、とにかく効果音的なのはだいたいそんな感じなんだなって思ってください!


ずばひょんとか、でべれで~ン、とか、あまり聴いた事のないものも頑張って想像してくださいネ! ガンバッテ!!>(‐△‐)←ジテン







ジテン

「はーっ。はーっ。はーっ。」

ジテンくんは腰を落として息をつきます。

「やっべ~完っ全に見失ったぞ……」


ジテンくんは敬礼チックなポージングで辺りを見渡しますが、いずれもしーん。全方向360度だだっ広い土地帯。だだっつち地帯です。


ジテン

「ま、いいや。迷った時はその場から動くなって言うしな」

ジテンくんは腰を下ろします。

「助ける方もそんなもんだろ」〝どかっ〟


身近な岩の1つに腰掛けました。


ジテン「う~ん」

手持ち無沙汰からか、足の指を使って土を〝いじいじ〟 ←(こういうのも足先だけの画角で、足の近くに文字が出ています)

「いきなりすんごいとこ来ちゃったな~……」

「……俺やってけるだろうか……」

〝う~ん…〟

「キャンディさんは確かに優しいし…かわいいし……」

(俺って意外とかわいいもの好きだったんだな)


ジテンくんは自身でそう思う通り、地球に居た頃はその事を知りませんでした。

いいえ。むしろそれを遠ざけていたように思いました。

男たる者、かわいいキャラクターを好むな。

そんな周囲からの声に負け、自らのキャラクターをそう認識するようになってしまっていたのだなと少し思いました。


ジテン

「でも出て来てよかったな……」〝ぽつりん〟

そうぽつりと言いました。

「地球でまだ行きたいところあったけど――てか、ほとんど行った事なかったけど……」

「でも火星に来られたし、うん。地球のまだ言ってないところはもし帰る事があったら行けばいいもんね」


ジテンくんは立ち上がります!


ジテン

「よぅ~し!」

「すっこししんもり※しちゃったけど、ピンクの悪魔探し再開~っっ!!」


ジテン・ザ・立直※!!

※立ったと言うこと。


ジテン

「あ?」


ジテンが目を配る先――


そんなジテンくんを一匹のタコが見ていました。〝じ~っ〟


ジテン

「…た、たた、タコ??」


タコ

「…タタタタコ」



      【CAN・DAY・A・SORT】




        きゃんあその読み方講座☆


           ~其の弐~



さきほど、しんもり※と言う言葉が出て来ましたが、これは誤字ではなく、本当にジテンくんはそう言っています。

というのも☆きゃんあそ☆に出てくるやつらはふざけた輩が多く、時折、そんな日本語ではない日本語を平気で使ってきます。


ちなみに、しんもりとはしんみりの事です。じゃあしんみりでいいじゃないかって声もあるとは思うのですが、こんな感じで意味なくちょいとふざけてみる事も大事だと思うのです。そんな事をきゃんあそに出てくる多くのキャラクター達が自然にやっています。自然にこんな感覚を持って生きたりしています。そしてこれからしてゆく事でしょう。長いこと。……多分。


     \ソレハオマエノガンバリシダイダゾー/

           (‐△‐)(〇 〇)  (●∧●)「……」

            ↑  ↑  ↑

          ジテン&キャンディ !?

……はい。


なので、ナンダコレハって、岡本太郎さん的発想に至っても、感覚的にお捉えください。ニュアンスです。全てはニュアンスなのですよ。あんまりこういったものに神経質におならずに☆ネッ。





ジテン

「なんだこいつ~!!」


タコ

「タコダタコダ~!!」


ジテン

「なんだこいつ、なんつってんだ」

(――なんだよ~。せっかくひとりなんで、星座――宇宙のパワーの試し撃ちとしゃれこみたかったのに~)


と、言うように実はジテンくん、このだだっぴろい場所を利用して、星座技を撃とうとしていたのでした。でも、タコ!


タコ

「タコ?」


ジテン

「いや、タコぉ?じゃないんだよ」


タコ

「イカァ?」


ジテン

「……いや、タコでもなくてだね」…てか、タコ以外しゃべれんのかい※



プチ講座

「」からはみ出たセリフは漫画におけるセリフ外のセリフみたいな感じです。重要じゃないやつみたいな。なんか小声で喋ってら~みたいな感覚でお捉えくださませ。


ジテン

「たこ」


タコ

「タコ」


ジテン

「マネすんなっての」


タコ

「タコタコターコ」


そのタコはそう返して来ます。観た感じは普通のタコです。シンプルなタ~コ☆


ジテン

「たこ♪たこた♪たこぱんじ~♪」


タコ

「タコタコタタコタコタ~」


ジテン

「……」


タコ

「……」



ジテン

「たこたこた~こた~こたこた~こ♪」

たまらずジテンは歌を唄います。これはジテンが地球に居た頃、子供の頃にTVで流れていたヒーローアニメの主題歌です!



      ☆それもたこやきモチーフ!!☆


タコ

「タコタコターコター――」


ジテン

「ちょっと待って!」


タコ

「タコ!?」


ジテン

「俺と文字数合わせてる??」

そう言ってジテンは首を傾げます。


タコ

「タコタコタコタタコタ?」

タコもそれに追随っ! 首を〝ぴょこんっ〟


ジテン

「……コミュニケーションとっていい??」


タコ

「……タコタコタタコタタコタココ?」


ジテン

「……近づくよ?」


そろりそろりん。中腰に化けたジテンはその体勢で近づいてゆきます!


タコ

「……」


それをまんじりと微動だにせず仁王立つタコ!

まるでジテンが近づいてくるのを待っているようです!


ジテン

(俺以外と、動物に好かれるタイプだからな~……)

それは願望込みの思いでしたが、それは思い違いではありませんでした。

確かにジテンくんは地球に居たときから動物に好かれる、寄ってきてくれるタイプの人間でした。

実はジテンくんは森の切り放たれた切り株に座ろうものならそこに木陰が差し、リスや鳥やそこに生息していないカモシカまでが寄ってきてくれるような人間でした。心に竪琴を持つ、精神的吟遊詩人な人間でした。

なので、山奥に住処を移したあと、彼は動物たちと仲良くなったのですが、それは元々の才能でした。なんならジテンくんの為に住処を移した動物たちまでいます。


でも、ジテンくんはあまり自分に自信がない為、それをある程度願望込みの視点として処理してしまうのです。


本当はそういう才能があるのにネ♡


街の中に住んでいた時もよく犬に吠えられていた事も、ジテンくんの自身を喪失させる為の装置として一役買います。


ジテンくんはよく家飼いの犬に吠えられました。


それはジテンくんに、〝遊ぼうよ!〟〝首輪の鎖苦しいよ~!〟とジテンくんを頼るが為の声だったのですが、犬の言葉が分からないジテンくんにはそれは通りませんでした。彼自身、その言葉が分かってもそうはしなかったでしょう。…だってその犬は他人のものですから。


ジテンくんはそこに悩んでいた事もあります。

もしこの犬が助けを求めていたら――俺はそれを助けられない人間なんだなあ。


そういう事を思うのが嫌で山奥に逃げ込んだところもありました。



         でも、今なら大丈夫。


宇宙にはそういったくだらないルールや気配りはいらない!



ジテンくんはそう考えておりました。



タコ

「……タコ」


ジテンくんはタコの頭に手を載せます。ジテンくんは軍手をしていたのですが、それを外してです。

そこは大変すべすべしていました。つるつるでぷにぷに。地球産のタコのようにぶにぶにでぬるぬるかと思いきや、火星のタコはそんな事ありませんでした。


タコ

「……タコ~♪」


タコは気持ちよさそうに鳴きます。


ジテン

「……お前、火星人だろ」


タコ

「……タコタ、タコタタコタ」


ジテン

「……分からんな~」

ジテンくんの頭に、ボールペンで適当に書いた――試し書きのようなぐじゅぐじゅの線のかたまりのようなものが浮かび上がります。食器についた頑固な汚れをとる時につかう、あの

漫画でいう、困ったときに出る、表現みたいな感じですね。


ジテン

「よしよし」


タコ

「タコタコタコ~」〝すタコら~っっ!!〟


ジテン

「あっ」


〝すタコら~っっ!!〟タコはそんな擬音を吐いてどこかへと走り去ってしまいました。


見送りジテン

「……なんかヘンなところ触っちゃったのかな……」

そういって掌を見つめます。


ジテン

「必殺技の練習しよ…」




     ≪CAN・DAY・A・SORT≫



ぽよんぽよんぽよん。


落着したキャンディさんはそんな音を立てながら、火星を弾みます。


キャンディ

「およよ~ん。ジテンのやつ遠くに蹴りすぎだろぃ」……ギャグで「まあ、あいつも火星の重力に慣れていないし、仕方ねーか」


タコタコタコタコ~っ。


不意にそんな音が聴こえてきました。


キャンディ

「んお?」


キャンディさんの前にタコが走ってきます。


キャンディ

「あれは――火星――」


タコ

「タコ!」


目の前に現れたタコはキャンディさんにそう挨拶します。八本中の一本の触手を挙げ、先端をぷるぷるぷる~。

彼なりのあいさつみたいです。


キャンディ

「んおおお~ん♡ めちゃめちゃかわいめんこいのう~」


キャンディさんはそういって弾み寄ります。まだ球体なので(*^▽^*)


ずどどどどどど~っ


その時、大きな音が聞こえてきました。


キャンディ

「んお?」


タコ

「タコォ……」


キャンディさんの傍らで怯える小タコを尻目に、その大きな音が近づいてきます。


もくもくもくもくずどどどど~!


それは雲! 地表を這いずる雲ももも!!


茶色い雲!!


いや、雲ではない!


イカだ! イカなんだこやつらは~!!


煙の中に潜む大量の影!! 魚群!! それを心の目にてキャンディさんは見据えたッ!


キャンディ

「んおおおおお!! 魚群リーチぃぃ!!」――DHA豊富な集団だこと~!!


タコ

「タコタコタコ……」


キャンディ

「ええ?あいつらは魚じゃないってえ?」


タコ

「タコタ~」


キャンディ

「わ~ってるよ。イカだろい??」――DHAよりコラーゲン豊富ってこったろ?


タコ

「タコタコ!!」


キャンディ

「分かってるよ(*〇 〇*)」


少しだけほくそ笑んだキャンディさんはにゅにょ~んと触手を伸ばすとタコを掴み――抱っこします。


キャンディ

「うんにゃ。こりじゃハシリニクソーだ」


それからキャンディはぽこんと頭頂部をへこませると背もたれを生み出してタコをそこに乗せます。


タコ

「タコォ~」


どうやらそこは、ほど温かく大変気持ちのよいスポットのようで、タコ坊やはピンクの斜線をすすすすいと走らせ、至福の笑みを浮かべます。



キャンディ

「おっと。しっかり捕まっててくれよ~走っからな~☆」


ずばずび~。


その背もたれを二本の触手で支えて走り出すキャンディ。猛スピード!!



爆煙、噴煙を付き従えて、ひた走る茶色い雲が火星にふたつ。




      ~CAN・DAY・A・SORT~




荒涼砂煙舞う砂漠の一遍でジテンくんはひとり技の特訓に精を出しておりました。


一心不乱に身体のポーズを違えては、チョコボール座だのペコちゃん座だの思い思いのそれに対応する正座の技を叫んでおります。


ペコちゃん座はまだ分かりますが、(おそらく舌をぺろりと出しているのでしょう。叫びにくいですが)チョコボール座なんてものは一体どんなポージングなのでしょうか。


――丸まっております。身体を丸め、四肢で以て包み仕舞うポーズでチョコボール座なんぞと叫んでおります。


……何も起こりません。


ぴくりともぴかりともしません。身体の一片も。光が宿りません。


ジテン

「さあて。お遊びはここまでだぜ――」


誰に言うでもなく立ち上がるジテンはふぅと小さく呟き袖で額を拭きました。


どうやら休憩していたようです。確かに悪ふざけにもほどがあります。ペコちゃん座だのチョコボール座だの……


ですが、そこで掴んだものもあります。


                  

      ジテン(――アルマジロ座で行こう……)



そうジテンが思うと、身体を丸めて足で蹴って転がり出します。少しの勢いの前転の最中、ジテンは


        ☆「アルマジロ座ァ!!」☆


そう叫びました。するとどうでしょう。

たちまち転がるジテンの身体が輝き出し、それと同時にスピードが上がります。――ノってゆきます。


そのままごろごろごろごろと転がり続け、どがっしゃああんのどんがらがっしゃんこ~い!!


前方の岩場に突撃!! もくもくとした砂煙と共に岩場が崩れ落ちます。


そこでむくりと起き上がるジテンくん。


その表情は確信に満ちていました。すこしのすすけ《・・・》を顔、身体に宿しつつ。


採用。そんな思いがジテンの中にありました。


アルマジロ座の完成です。いいえ。まだ完成とはほど遠いですがジテンくんの中で雇用が決まりました。いつかこの技を。もっと言えば来るべき近場の戦いにてこれを使おう――そんな気持ちがほんのりとだけ今のジテンくんを包みました。


最初は悪ふざけでした。ほんのお遊びのつもりでした。ですが、そんなところから生まれるものもあるのです。


悪くふざけてみるのも、たまにはいいものなのですよ。



        うおおおおおおおい!!


そんなジテンくんにどこからともなく声が聞こえてきます。それはどことなく輪唱――というかダブりのある、山彦染みた声でした。


ジテン

「なんじゃこの声」


        どばだばどばだばだ~


首を出して声の方を振り向くと、遠くの方にピンク色の球体が窺えます。


ジテン

「なんだよ、キャンディさんじゃん」


ジテンはこの時気付いていませんでした。自分の視力が良くなっている事に。


それは地球人サイズの視力では捉えきれないハズの小ささだったのです。


今のジテンくんの視力はワールドワイドを越えたスペースワイドな視力でした。


キャンディ

「じてええええええん!!」


手を振るジテン

「おお~いキャンディさ~ん!!」


キャンディ

「た~すけ~てくりぇああああ!!」


ジテン

「んあ?」――タスケテクレ??


ジテンは少しだけ横にずれました。股を開いてしゅぴっ☆それだけでは見えにくかったのでもひとつ大股。丁度真正面から駆け寄ってくるキャンディさんが何か乗せていることは気にはなったのですが、それ以上に気に掛かった事がありました。


キャンディさんが醸す走り・・・がいやに太く広く大きかったのです。


走り煙とは走った際に立ちこめる煙との事でした。


大きくずれた拍子にその正体が見えました。


走り煙はキャンディさんのものだけではなかったのです。


その後ろの煙の中に多数の影が透けてみえます。


ジテン

「イカ影!?」


ジテンはそれを見抜きました。三角頭巾の頭頂に、乱れる数本のほど太い触手が窺えます。


しかもそれが複数体の複数体じゃないのって! その数、視認した限りでは50!それ以上!!


ジテン

「な、なんじゃいこら!!」(火星にイカ!?大量のイカ!?タコならまだしも――)


その時気付きました。


あのタコは火星人なのだと。


火星にいるタコ=火星人。


ジテンは今の今までその関連性に気がつきませんでした。いえ。もっというとあんなにタコだとは思っていなかったのです。


よもやあそこまでタコタコした生物だとは。火星人とはタコ型だタコ型だとはかねてより聴いておりましたが、あんなにタコだとは。


そしてアニメーションチックなタコです。リアルなタコではなく、アニメチックにディフォルメされたタコ。


そしてその時気がついたのです。


キャンディさんが乗せているなにかが、先ほどの小タコだと言うことに。


そしてもうひとつ気付いたのです。


大事な大事な、大事な事。


顎元をなぞろうとした《・・・・・・・》ジテンは。


自分もディフォルメされた存在だと言うことに。




      ☆CAN・DAY・A・SORT☆



ジテンはけっして顎元をなぞろうとしたわけではありません。本当はなぞりたかったのです。でもそこに顎がなかったのです。


本来はとんがって突出しているであろうはずのそこに腕を擦ろうと――そうした時に気がついたのです。


自分の輪郭が平面であることに。とにかく顎の部分が平行であることに。あらためてジテンはそこをすりすりとします。腕で。軍手を伴った手で。


ジテンの中にほんのりと確信が浮かびます。


キャンディさんや宇宙タコ(仮名)宇宙イカ(仮名)、これらが示す共通点に今し方気がついたのです。


宇宙生物とは、その姿にディフォルメを施されたものだと言うことに。


名実ともにジテンが宇宙の生き物になった瞬間でした。


キャンディ

「そのとおおおおおしいいいいい!!」


気がつくと縮まった距離のところのキャンディさんがそう叫びました。どうやらジテンの内情を念波によってくみ取ったようです。


宇宙生物は心で。テレパシーで会話が出来るもので。


キャンディ                タコ

「でもそんなものは後回しだぜええええ!!」 「たこおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


同時にジテンに語りかけてきます。


キャンディ

「はやいとここやつらを蹴散らしとくれええええええ!!」


キャンディ

(あーしは今、こんなみっともねー姿だから手も足もビームも出ないんじゃよおおおおお)


ジテン(汗)

(おいおい、ビームも出ねーのかよ……)


地球さっきん時よりひでーじゃん。


ジテンは手を構えます。


かめはめ波――ではなく、ティラノサウルス座。


地球の時は体当たりだけに終わりましたが、今の今なら。宇宙人としての確信、そしてそれに伴った覚悟が芽生えた今なら。


宇宙のパワー。


ジテンにとっては星座技――それが出せそうな気がしてならないのです。


ジテン

「ティ~ラノ~」


その声の進行と共に彼のポージングも深いものになってゆきます。深いもの――なんというか、それっぽくなってゆくのです。


もちろん、構えたポーズがこれから放り出る光線に向けてだんだんと腰が深まる――そういった面もあるのですが、とにかく発声と共にジテンの輪郭が筆で描かれたようにして太く――そしてちりちりとした空気感に包まれてゆくのです。


なのですが……


ジテンがそれを向けて撃つべき対象イカを確認した時です。


イカイカイカイカ~♪


そのような声は一切発していないのですが、ジテンにはそんな風に聞こえてきました。


そしてそんなイカ達の揺れ踊りめく様は非常にプリチィでかわいげを湛えたものでした


ジテン

「サウル~――」


あれあれ?本来なら尻上がりに声の調子があがってゆくハズなのに――軽減してゆきます。


ジテン

「ううう~」


ううう?


ジテン

「う、ううう……」


ううう……?


ジテン

「撃てないよおおおおおおおおおおお!!」


キャンディ&タコ

「どぢゅえええええええ!!??」「だこおおおおおおお!!??」


それは遠巻きのキャンディさん&小タコさんにも聞こえていました。


ジテン

「どぢゅええええじゃないよおお!だって撃てないよこんなかわいいのおおお!!」


キャンディ

「ぢゃどーしゅんだよおおお!!」


ジテン

「…………」


顔をしかめるジテンの頭の上に点々で描かれた透明の感嘆符エクスクラメーションマークが現れます。


キャンディ

「んあ!?」


それが時間経過と共に徐々に、底側からせり上がる赤い液体(??)に満たされてゆきます。


それがマックスまで来て、ぷぅわか!と感嘆符の頂点から溢れた時です。


ジテン

「!」


ジテンの顔もそんな表情につつまれます。


キャンディ             タコ

「んお!!なにかよろしい名案が!?」 「たこ~!」


ジテンはくるっとキャンディらに背を向けます。そしてまるで非常口ポージング☆


みつめるキャンディさんに向けてこう言い放ちます。


ジテン

「……げます」


キャンディ

「はい??」


丸形のキャンディさんはゾウのような片耳を剥き生み出し、遠くのジテンにそばだてます。


ジテン

「逃げんのよおおお!!」


そういって脱兎の如く、煙をたてて逃げ出します。これが月面ならば、もう少しサマになったのでしょうが。


――これを地球から目撃出来たら人はどんな思いに駆られるのでしょうか。我らが地球人代表は。


地球でも逃げて。


火星でも逃げ去る一方です。


ジテン

「うおおおお!!荒木飛呂彦さんより受け継ぎし、黄《 ゴールド》の精神エクスペリエンス逃旅行《 ダーッシュ》!!」


キャンディ

「うおおおお!! 違うからァ!!それはお前間違った受け継ぎ方だからあああ!!」


タコ(呆れ顔)

「……た~こ」


ずだだだだだ~ 3つの土煙立ちこめる中、ジテンらが向かう明日とは如何な場所なのでしょうか。

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