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Wine・Red  作者: 雪白鴉
六章
73/74

71、疑惑

「ねぇ、どうなの?正直」

「何が?」


 昼前にカフェで友人二人と団欒しているのは椎奈真知だった。その友人というのは、この前、水瀬が合コンに行った時の女性陣三人の中の椎名を除いた二人である。


「だから、水瀬さんとだって」

「前に一緒に図書館行ったんでしょ?」

「・・・うん」


 椎名は小さく返事をして珈琲をコースターの上に置いた。


「進展は?」

「ううん、女友達って感じ」

「まぁ、なんだろう、あのタイプってさ、恋したことないモテ男って感じじゃん。合コンに来たこと自体が奇跡だよねぇ」

「あれって宮河さんの旦那さんが水瀬さんのために開いたやつでしょ?」

「そうそう。いやいや連れていかれたらしいよ」


 水瀬が行きたくて行った合コンではないのは知っているし、合コンというものを理解していないのも知っている。


「せっかく真知が頑張ってアピールしてるのにさぁ」

「好きな人いないんなら付き合ってくれてもいいじゃんか。一緒にいたらだんだん好きになるかもじゃ」


 二人の友人がこう言うが、椎名は首を振った。


「違うよ」

「え?」

「何が違うの?」


 椎名は二人の目を見て言った。


「水瀬さん、多分好きな人いる」

「えぇ!?」

「マジで!?」


 椎名は最初から薄々わかっていた。

 図書館に一緒に行った時も、メールでやり取りしている時も。水瀬はいつも客に接する人のようだった。ホテル業の人というのもあるが、水瀬は一切、椎名のことを異性として見ていない。本当は、女友達という言い方も正しくはないんだろう。

 だけれど、あの日、合コンの終わりに水瀬に告白した時、水瀬の言う「白井さん」が現れた。彼女との接し方はどこか椎名とは違った。壊れそうなガラスの花を見るような、優しい声色。今思えば、水瀬の話から出てくるのは白井ばかり。無意識なのだろうが、それほどよく見ているのだろう。


「思い違いとかないの?」

「多分あってる」


 ずっとニコリとしている椎名だが、二人には我慢をしているように見える。付き合いは短いものの、好きになった人に好きな人がいるかも知れない状態で、平然としていられるわけがない。


「・・・ねぇ、もしかしてなんだけど、その水瀬さんが好きな人って、電柱に隠れて全力疾走していったあの人?」

「・・・」


 友人の一人が小さな声で椎名に言う。まさに図星であり、椎名は俯いて小さく頷いた。


「待って、それはないでしょ!」


 しかし、どうも腑に落ちないもう一人の友人が真剣に否定した。


「だって、水瀬さんお酒好きなんでしょ!?あの時、どう見てもあの人酔ってたよね?水瀬さん、お酒強いからお酒強い人が好みなんじゃない?じゃなかったら一緒に晩酌できないじゃん!!」

「ちょっ、それ完全に偏見じゃん・・・」

「・・・」


 確かに完全なる偏見だが、こう言ってくれるのは元気付けようとしているのだ。つくづく、良い友人を持ったと思う。


「それに、あんな大きな声で啖呵切って、連れの人置いて全力疾走していく女性ってどうなの?」


 確かにあの時は驚いた。しかも、水瀬がはっきりとした回答を言わないことに関して怒っていた。水瀬は椎名が白井に似ていると言っていたが、椎名にはあんなことはできないだろう。


「私は真知の思い違いに一票」

「じゃあ私も!」

「二人とも・・・」


 せっかくの休日にこんな話を聞いてくれるだけでありがたいのに、真剣に向き合って一緒に考えてくれる。おかげでだんだんと椎名の顔に笑顔が戻ってきた。


「なんかこんな話してたら白井さん?に会ってみたくなっちゃった」

「えっ!?」

「確かにあってみたいかも。そうしたらなんだか色々解決しそうだし」


 突飛なことを言い出す友人と、それに乗ってしまう友人。いつものことながらとてつもなく大変なことを言い出した。


「確か、働いてるのホテル・グランド・リリスだったよね。あそこ結構お高いけどビュッフェとかカフェなら行けるんじゃない?口実にさ」

「ホテルに押しかけるつもり!?」

「じゃないといつまで経っても会えないよ?」

「それはわかってるけど・・・」


 友人二人は早速ホテル・グランド・リリスを調べ始め、いく前提で話が進められていった。


「もしかしたら水瀬さんに会えるかもね」

「水瀬さんが働いてるとこ見てみたいでしょ、真知?」

「まぁ・・・」


 確かに見てみたい。けれど、迷惑になるだろう。ただでさえ、職場に知り合いが突然来たら驚くのに。


「あ、カフェはお手頃の値段だよ。予約はしなくていいし、ドレスコードも無いし!」

「会えるかどうかは運だけどね〜」

「行って見なきゃわかんないでしょ」


 そうやって、いつの間にか、今度三人とも休みの日にホテルへ行ってみることになった。椎名は水瀬に連絡をして良いのか迷ったが、こんなこと話して嫌われでもしたら生きていけない気がしたので、やめたのだった。


 書いていて、なかなかすごい友人ですね。自分でも驚きです。名前を付けようか迷いましたが、キャラクターが多いと覚えるのが大変ですよね。特に読者様が・・・。やめておきます。

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