番外編1 見栄っ張り
本日二度目の更新です。
「お前さぁ〜、好きな飲み物とか無いのか?」
現在、宇山とカフェテリアにやって来ている水瀬。しかし、水瀬は超適当に珈琲を選んだのだった。
「ありますよ流石に」
「ふーん。何なんだ?」
「赤ワインです」
「は?」
カフェテリアで放つ飲み物の名前ではない。
「アルコール派?」
「甘いものは苦手なのでまぁアルコール派ですかね」
「なるほどなぁ・・・」
水瀬からは予想ができない飲み物だった。甘いものが苦手というのも初めて知ったし、ワインが好きというのも初めて知った。
「お前はいくらなんでも高級すぎだろ」
「安心してください。お金の使い方は間違っていませんよ」
「そういう問題じゃねぇよ・・・」
ブラックの珈琲を優雅に飲む水瀬を見て、やっぱり甘いものは好きではないということがわかる。格好つけではなさそうだ。
まだ宇山が学生の時、友達何人かとカフェテリアに行く機会があった。宇山は甘党で苦いものは苦手であった。
『龍〜。お前、何にする?』
友達にそう聞かれた宇山はとっさに、
『珈琲。ブラックで』
と、格好つけに答えてしまった。
その時は頑張って飲んだが、友達と別れ、家に帰ったあと、板チョコにかぶりついた。
宇山の苦い思い出である。
「馬鹿ですか宇山さん・・・」
「だよなぁ〜・・・」
昔のことを水瀬に話すと、水瀬は呆れた顔をした。宇山も自分の過去に呆れていた。
「なんかイメージ的にビール飲みそうな感じでしたけど・・・」
「あ〜、無理無理。ビールなんて一生飲めんわ。俺は甘党なんだ」
「ココア頼んだところで驚きました」
宇山の手には温かいココアがあった。しかもミルクココアである。
「糖尿病になりますよ」
「気を付ける。お前も酒に溺れるなよ」
「アルコール中毒ではないのでご安心を」
「さぁな。どうなるかはわからんぞ」
おっさんの話で盛り上がっている二人の間にもう一人、おっさんがやって来た。
「よぉ、おっさん二人でなんの話してんだぁ?」
「宮河・・・」
「おっ、この前の察じゃねぇか」
「ども〜」
やってきたのは警視庁捜査一課の宮河恭介だった。
「私はまだおっさんじゃないです」
「三十いったらおっさんだろ?」
「私と宮河はまだ二十七です」
「俺は三十五だなぁ」
水瀬、宇山、宮河の三人が並んでみるとダントツで水瀬が一番若く見える。その美貌のおかげだろうか。
宮河はカウンター席に座ると、紅茶を頼んだ。
「相変わらずお前は好きなものまでイケメンだなぁ」
「どういうことです?」
珈琲を飲む水瀬を見た宮河が言った。
「警備隊のその人は甘党か?」
「みたいです」
「へぇ〜」
ちょっと話している間に紅茶がやってきた。
「紅茶、好きですね」
「なんか上品だろ?」
「理由・・・」
見えっ張りなのは宇山と似ている宮河だった。