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Wine・Red  作者: 雪白鴉
一章
6/66

6.人手不足

「理恵・・・」


坂根はおとなしく警察に連れて行かれた。


そして、友情とともに結婚式は終わりを告げた。



その後・・・


「災難だったなぁ〜」

「宇山さん・・・」


一連の騒動のあと、水瀬を哀れに思う宇山。


「お前の名推理のおかげで犯人がわかったんだろ?」

「あの犯行は色々と手がかりが残りすぎてましたので」

「手がかりって?」


水瀬が犯人を見つけられたのは多くの手がかりがあったからだ。白井が見つけた光る何か、カチャッという磁石が外れる音、指紋のついていないナイフ、そして、位置のずれた一つのテーブル。


「ずれたテーブルって手がかりに入るのか?」

「まぁ、ちょっとはですけど」


ずれていてたテーブルは犯人の坂根が座っていたテーブルだった。多少ではあるが位置の違うテーブルに水瀬や白井、西野が気づかないはずがない。

テーブルは新婦からシャンデリアを通った一直線上に位置していた。それに、坂根が座っていた席のすぐ後ろには灯台があった。坂根が事前に動かし、犯行しやすいように調整したのだろう。


「頭良いんだなぁ。よく思いつくもんだ」

「ありがとうございます。これでも元税関希望だったんですから」


水瀬は元々、税関希望だった。成績は優秀だったものの、水瀬を妬んでいた同期の一人に、赤眼だということがばれ、それを良いように使った同期に追い出され、今に至るのである。


「水瀬先輩!!支配人が呼んでいます!!」

「あ、わかりましたか。すぐ行きます」


今では先輩、後輩、同期ともなんとか良好関係を抱いてはいるものの、一部の男たちからは嫌われている。

理由は、成績優秀・・・ということもあるが、それ以外に大きな理由がある。


顔がいい!!


二十七歳とは思えないほど美少年の顔である。シミ一つない薄肌、整った唇、男としては長い睫毛、ストレートの黒髪。イケメンは女の敵でもあるし男の敵でもある。イケメンはイケメンなりに大変なのである。


「それではまた」

「おう」


宇山とわかれ、支配人部屋へ西野に連れて行かれた。


「今日は大変だったな。復帰早々、大変な仕事を任せてしまってすまない」

「いえ。滅相もない」


水瀬の笑顔に関しては厳しい支配人だが、実際は聡明な人でホテリエの人からも良い評価を貰っている。


「本当は休ませてやりたいんだが、この人手不足で優秀な人材を欠けさせるわけにはいかない」


現在、当ホテルでは人手不足が問題視されている。


「そこでだ。お前にホテリエの教育責任者を任せたい」

「私が?」

「勿論お前だけではない。このホテルでお前と対等に並ぶ白井にもな」


このホテルが人手不足なのにはちゃんとした理由がある。

最近、ホテリエの就職面接で多くの人が落とされている。更には現在、ホテリエとして働いている人が優秀な人材ではないということ。ホテル利用者からホテリエの再教育を要請されたことだってある。


「周辺で一番の人気を誇るうちの評判を更に下げたくない。今、近くのホテルの評判が上がってきている。落ちる前に対処をしたいんだ」

「そうですか・・・」


水瀬が見てきたこのホテルのホテリエだが、水瀬が判断した中では、凡人が約五十%、優秀な人材が約二十%。その他、三十%が暴落人である。


「承知致しました。ご指示にお答え致しましょう」


支配人のお願いを受け取った水瀬は支配人部屋から出て早速、ホテリエの観察を始めた。


(笑顔ができない私は白井さんに笑顔のコツを教えてもらおうか・・・)


優秀な水瀬であるが前から言っているとおり、水瀬は笑顔ができない。笑顔ができないため、その他で優秀な成績を修めている。

 

「みーなーせーさん!」

「!」


ホテリエを観察しながら仕事を行っている水瀬に白井が話しかけてきた。


「皆さんを観察していらっしゃるんですか?」

「えぇ。誰にどんな否があるのかわかりませんので」

「なるほど。私も観察しておきます!!」


一流ホテリエには見えない白井だが、それがお客の緊張感を和らげている。子どものような優しい笑顔は誰もを癒し、接しやすくする。まったく水瀬とは正反対である。


(見習わないとな・・・)



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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすいです。 [一言] 楽しく読ませていただいています。 水瀬さん名探偵ですね!
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