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Wine・Red  作者: 雪白鴉
四章
45/70

43、奮闘

「先輩!!」

「・・・西野さん」


 一度休憩に戻った水瀬のもとへ西野達がスマホを持ってやってきた。


「どうしたんですか?そんなに笑顔で」


 自信満々の笑みで西野が水瀬にスマホの画面に映った写真を見せた。


「・・・これは、山田さん、ですね」

「そうなんです!」


 西野が見せたのはルームサービスに伺った山田の姿が映った写真だった。つまりはこの部屋の宿泊者を特定すれば犯人が見つかるということを水瀬は一瞬にして理解をした。


「なるほど・・・。よく見つけましたね」

「西野先輩が見つけたんですよ!凄いっすよね、凄いっすよね!!」

「え、えぇ・・・凄いと思いますよ・・・?」


 なんとなくだが無理に山田が熱い。西野に対しての熱意が熱い。若干西野は照れているように見える。


「確かにお手柄ですよ、西野さん。私がいない間に凄い証拠を見つけられて」

「いやあぁ〜」


 山田と水瀬に褒められて西野はより一層嬉しそうだ。とはいえ、西野でなくとも水瀬に褒められたらとことん嬉しいのだろう。なんせ、水瀬は怖がられているのだから。

 飴の白井、鞭の水瀬と影で言われるほどである。


「ところで、私にこの情報を提供したということはすでにこの投稿者、つまり犯人の女性を特定していらっしゃると認識しても構いません?」

「勿論です!山田くんがメモをとってくれていたんですよ」

「素晴らしいですね」


 倉橋が水瀬の問いに答えると山田がいかにも鼻高でたたずんでいる。


「俺、偉いですか!?」

「そうですね。日常生活でメモを取ることは必要ですし、無理に記憶しようとする半端なナルシストもこの世にはいらっしゃいますからね。偉いですよ」

「やった!」


 今度は山田が水瀬に褒められて上機嫌である。


 ご機嫌の山田は自分が以前とったメモを水瀬に手渡した。


「1412号室板浜雨佳様・・・。白井さん」

「了解です!!」


 何を察したのかなぜか近くにいた白井は水瀬の思うことを瞬時に理解し、フロントへ向かった。

 

 フロントへやってきた白井は他のホテリエには諸々説明し、板浜雨佳を宿泊者名簿から探し出した。


 宿泊者名簿は法律で定められているものである。宿泊者氏名、住所、職業など。それは自治体によって書く内容は異なるが、「リリス」では年齢やホテル到着および、出立日を記入しなければならない。そして名簿はホテルが三年間保管しなければならない非常に重要な代物である。


「い・・い・・板浜、雨佳・・・白井さん、ありました!」

「あ、ありがとうございます!!」


 名簿にはしっかり名前と部屋番号や電話番号などが書かれてあった。

 そして水瀬に重要なのはホテル到着日と出立日である。


「水瀬さん!」

「白井さん」

「板浜様の名簿にしっかり書いてありました」

「到着日、出発日はいつですか?」

「到着日は一昨日、そして出発日は明後日です!」

「しっかりアイドルグループと同じ日じゃないですか!!」

「・・・えぇ、これは当たりですね」


 そうである。水瀬が必要としていたのは板浜雨佳のホテル到着日、出立日である。アイドルグループのファンであるならアイドルがホテルを帰る日に自身も帰るだろう。ただ、これはただのでかい証拠に少し付け加えただけの小さなものである。この日ずけに関しての情報は証拠ではなく、証拠をより引き立てるためだけの引き立て役なわけである。


「思ったより早く大きな証拠を手にできましたね」


 今回、水瀬はあまりこの事件の捜査に加われなかった。

 アイドル四人の企画、テレビスタッフ櫻田の企画のために奮闘していたのだから。

 白井も同じで水瀬と一緒に安全に企画を遂行できるよう尽力してきた。いつもなら水瀬の出番だが今回ばかりは後輩たちのお手柄である。


「ホテリエさんって本当にすごいんですね!」

「三日間、こうやってホテリエの仕事を微力ながらやっていてもすっごいわかりました。かっこいいです!」


 休憩に入ったアイドル四人が六人にそう言う。自分がしている仕事をそうやって知ってもらって嬉しい言葉を投げてくれることが仕事をする者の醍醐味である。


「でもアイドルも大変でしょう?第一、こんな事件も勃発しましたし・・・」

「それはそうなんですけどね〜」


 アイドルは何があっても笑顔を費やすことはない。辛いこと、苦しいこと、それを思い叫ぶのはファンや世間を裏切る行為となる。自分が好きな相手と結婚して思ったことを口に出して、それを無理やり脚色されて。

 結局のところ、生きている限り、「思い通り」ということは起こり得ないと言っても過言ではないのである。


 人は人それぞれの思いで自由に生きることは死ぬ以外できないのである。



 皆さんのお仕事の醍醐味ってありますか?私は仕事ではないですがこうやって小説を書いているとやっぱり読んでもらいたい、という気持ちになりますね。時間をかけて考えて作った作品です。見てもらわねば何も得られませんよね。

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