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Wine・Red  作者: 雪白鴉
四章
44/70

42、お手柄後輩

 現在、手がかりは茶髪で身長は百四十から百六十の女性であるということ。

 あと三日という数日でその女性を山のような数の中から炙り出さなければならないが、ホテリエたちやアイドル四人、スタッフも仕事があるため、なかなかそこに手を回せずにいた。


 が、しかし、現在、一つのスマホの前に四人のホテリエが立っていた。


「石川」

「ん?」

「なんかわかったか?」

「もう全然」


 山田が石川に尋ねる。

 ここは今、水瀬から見た新人の集まりである。


 西野、石川、倉橋、山田の四人である。

 なんだかだんだ忙しい忙しいとは言われているもののこの四人は今、一番仕事がない。昼過ぎごろでは客の何人かが出かけているので接客が本日少ないこの四人は犯人探しに集中できるようだった。


「西野先輩、何かヒントになるようなものありました?」

「全くないです。俺は水瀬先輩みたいに賢くないから・・・」

「そんなことないですよ」


 西野は己の不甲斐なさを悔やみ、なぜか後輩三人に元気付けられている。


「水瀬先輩は今、アイドル四人の相手してますから無理には呼べないですね」

「そうですね・・・」


 初めは怖がられていた水瀬だが、今や人気者とまではいかないが頼れるイケメン先輩のような存在になっている。そして白井は優しい先輩。西野はなんか馴染める話しやすい先輩という感じである。


「私、SNSとかあんまりやらない人なのでやる人の感情とか読み取れないです」

「そんな国語のテストみたいな感じじゃないよ」


 相変わらず倉橋は面白い。


「西野先輩、この人がホテルにやってきた時の投稿ってありますか?」

「あぁ、確かに。それがあるかも!」


 ナイスな石川の思いつきに基づき、西野がホテルに来たという報告の投稿を探す。


 ずいぶん、このホテルに来てからの投稿が多いらしく、朝昼晩のご飯の投稿はもちろん、ルームサービスまでしっかりとあった。


「昨日の朝食の投稿・・・ランチ・・・ルー・・・ルームサービス!?」

「!?」


 ルームサービスの投稿を見て西野が声を上げる。


「ど、どうしたんですか先輩!!」

「いや、これ・・・」


 そういって西野は持っていたスマホを三人に見せた。そこには投稿者のルームサービスが映っていた。そして、それと同じ画面に


「これ、僕っすか・・・?」

「いや、そうでしょ・・・」


ルームサービスでやってきた山田の姿が映っていた。


 山田の姿はとても小さく、パッと見てすぐにはわからない。目の良い水瀬ならわかったかもしれないがあいにく水瀬はあまり投稿を見る機会がなかったため、誰も気づかなかったのだろう。


「これ、昨日のルームサービスですよね・・・」

「そうです」

「じゃあ、僕、覚えてるかもしれないっす!」


 山田は早速鞄の中から手帳を取り出した。


「僕、絶対にメモ取らないと頭で記憶できないんでルームサービスの時は絶対に手帳にメモしてるんです!」

「すごい!お手柄だね山田君!」


 山田が手帳をひいらく。メモページまでくると、部屋番号にお客の名前、ルームサービスのものがびっしりと書いてあった。


「えっと・・・昨日のは・・・あった!」


 昨日のルームサービスは合計四回。そして頼まれたものの品が投稿と一致するのは1412号室の女性、板浜雨佳であった。


「茶髪だったとか覚えてる?」

「うーん、あんまし覚えてないっすけど派手な髪色じゃなかったと思います」


 山田のメモと西野の発見が見事に役に立った。初めてここまで水瀬を頼らず真実かどうかはさておき、突き進められたことに四人は歓喜した。それはもう十年前に埋めたタイムカプセルが見つかった時のように。


「多分ちゃんと罷り通るけどちゃんと先輩たちに伝えてみよう」

「そうですね。このまま全部私たちで解決しちゃいたいくらいですけど」

「なんかあった時、ものすごく水瀬先輩に叱られそうだから」

「それな!」


 やはり、水瀬は怖がられていることに変わりはないようだが、それでも信頼はされている。誠実で高潔だからだろうか、叡智で聡明だからだろうか。自分を低く見る水瀬には到底こんなに思われているなど思ったことはないだろう。


「くしゅっ!」

「どうしたんですか水瀬さん」

「・・・いえ、なんだかくしゃみが出ただけです。風邪でもひいたのでしょうか・・・」






先輩後輩の仲って案外大変ですよね。

学校でも会社でも、社会は段々と厳しくなる。

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