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Wine・Red  作者: 雪白鴉
四章
41/70

39、うれしはずかし

「なんて?」


女子大生が白井にキレ気味に言う。

しかし、白井はそれに全く屈することなく淡々と話し続ける。


「これ、営業妨害なの、わかる?」

「はぁ?こっちは推しに命かけてんの。推しに会いにきたいって思っちゃダメなわけ?」


女子大生の言葉に他の女子達もそうだそうだと女子大生の味方をする。


「命?でも、さっき水瀬さんに言い寄ってましたよね?」

「・・・っ」

「命かけてるのに推し変って・・・本当に命かけてます?」


白井のキレる言葉に女子達が気まずそうに黙った。


「あ、・・・アレは、ちょっと近くのイケメンに目が泳いだというか・・・。イケメンだから仕方ないの!!」

「そうです!!」

「!?」


女子大生の言葉を白井が突然肯定した。

驚いた女子達と警備隊、水瀬、アイドルグループ、西野の視線が白井に集中した。


「水瀬さんはイケメンです!!」

「!?」

「!?」

「白井さん!?」


白井の大きな声に客やホテリエ達が一斉に玄関へと注目した。


二つの自動ドアの先で見守る水瀬は目飛び出そうなほど目を開いた。黒いコンタクトレンズが乾きそうでならない。


「イケメンに目が眩むのは共感です!!」

「はぁ!?なんなのおばさん・・・!!」

「水瀬さんは顔はいいし賢いし気が効くし性格もいいし優しいし、完璧なんですよ!」

「だ、だから・・・!?」


おそらく今、白井以外は大混乱中である。

そして水瀬は超大混乱中である。


「ちょっと無愛想なところがあるんですけどほんっとうに稀に見せてくれる笑顔が素敵で・・・」

「あ・・・・・・え・・・?」


白井の水瀬語りに何を言えばいいのかわからなくなった女子大生は色々な表情を見せながらただ白井の話を聞く事になっていた。


「水瀬さんって笑顔できるんだ・・・」

「見たことない」


ホテルの中では水瀬を知るホテリエや客達がざわつき、水瀬の話で大いに盛り上がっていた。


「あと、立ち居振る舞いとかものすごく綺麗なんです!前世が執事かってくらいお上品で誰もが見習うべきです!」

「お、おばさん・・・」

「それにー」


まだまだ続く水瀬語りを見ながら支配人やアイドルグループの四人、後輩達が話していた。


「僕たちのために追っ払ってくれようとしてくれたのは嬉しいんですけど・・・なんでああなったんですか?」

「わからないです・・・」


本当に誰もよくわかっていない。


「白井さんは水瀬さんの前であんなこと言って恥ずかしくないんですかね・・・」

「白井はああいうやつだからな。それより、ほら、見てみろ」


支配人に言われ、西野達が玄関をよく見てみると、自動ドアの前に立つ水瀬が両手で顔を覆っていた。


「あれっ!?水瀬先輩、照れてる!?」

「・・・みたいだな」


もっとよく見るとほのかに耳が赤い。高身長の水瀬が今日は縮こまって見える。

大声を上げるでもなく、ただ動けずに恥ずかしがっていた。


「先輩が恥ずかしがるなんて案外意外です」

「俺も見たことないな」

「水瀬先輩に勝てそうなの白井先輩しかいないんじゃないですか?」

「かもなぁ・・・」


いつまで経っても終わらない水瀬語りにくたびれたのか女子達は気力を無くしていた。


「いこ」


女子大生が呆れて全員を引き連れホテルを去っていった。


間近でそれを見ていた警備隊は「まじかよ」と連呼していた。


女子達を追っ払うことに成功した白井は上機嫌である。


そんな白井の元に自動ドアの後ろで待機していた水瀬が近寄る。


「あ、水瀬さん!追っ払いに成功しましたよ!!」

「・・・」


満面の笑みで水瀬を見つめる白井に対し、水瀬は今にも泣きそうな渋い目と顔を赤く染めていた。


「水瀬さん・・・?」


何も喋らない水瀬を不思議に思ったのか、白井が水瀬の顔を覗き込む。

そして水瀬はすかさず顔を逸らした。真っ赤な顔を見られたくないのだろう。


「水瀬さん、水瀬さん、どうしたんですか?」

「・・・」


白井の問いかけに水瀬の反応はない。


ホテルの中では支配人や警備隊が二人を見て大笑いしていた。


「あっはっはっは、あいつがあそこまで照れるとはなぁ〜」

「やりますねぇ、夏希さん」

「鈍感には敏感な大げさか〜」


アイドルグループの四人もくすくすと笑っていた。


「水瀬さん、どうしてそっぽ向いてるんですか?」

「・・・いえ・・・」

「こっち向いてください!!」


突然、白井が水瀬の顔を自分の方に向かせる。


白井の目に入ってきたのは真っ赤に染まった美しい顔だった。


「え・・・」

「・・・白井さん・・・」


水瀬の顔を見て一気に自分がしたことを振り返り顔が熱くなる。

本人の目の前で自分のことをあそこまで熱く語られたら誰だって照れる。白井だってそうだ。


「うわぁ!す、すみません!!」

「・・・い、いえ・・・大丈夫ですので・・・。ちょっと、冷やしてきます・・・」


そう言って水瀬はトイレへ駆け込んだ。


一人ぼっちになった白井はホテルの中に入るないなや恥ずかしさのあまり小さく丸まった。


手洗い場の水で顔を冷やした水瀬はハンカチで綺麗に拭き取った。


「うわぁぁ・・・恥ずかし・・・」


史上初めてここまで照れた。

嬉しいけれど恥ずかしい。今、一番の水瀬の心情である。


トイレから出るのが嫌になった水瀬だった。



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