表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Wine・Red  作者: 雪白鴉
四章
39/70

37、安堵

遅れてすみません!!

「ようこそお越しくださいました!」

「いらっしゃいませ!」


キラキラと輝く朝日に負けずと輝く白い歯に眩しい四人の笑顔が女性客の心を打ち砕く。


その近くには重たそうなカメラとマイクたち。そして面倒くさそうに立つ水瀬といつも通りの笑顔をしている白井がいた。


「笑顔が眩しい」


本日から一週間、ホテリエ体験をするアイドルグループの四人の笑顔を見た水瀬は隣に白井がいることもありその笑顔で存在がかき消されかけていた。


「水瀬さんが暗いだけです」

「あの人達が明るすぎるだけですよ」

「人のせいにしちゃ駄目です」


流石にアイドルグループを名乗るだけはある。

誰一人腹の底が見えない笑顔である。


 この一週間は警備隊も厳重警戒だ。

 今やストーカーが多発する時代、客なストーカーが混ざり込んでいてもおかしくはない。


「随分な厳重警戒ですね」

「昔もあったからなぁ」


 警戒はしているくせに全く警戒心を悟られないようにハッハッハと笑う宇山。それでいいのかと思う水瀬だが、今まで芸能人が客に来たときの全ての騒ぎを打ち消し、鎮圧してきた宇山は水瀬だけでなく常連客にも信頼が厚い。


「今のところ怪しいやつはいなさそうだ。お前たちも一応警戒しとけよー」

「勿論です」


水瀬は人一倍揉め事が面倒な性格である。


「もうそろそろ二班に分けて仕事しませんか?」

「そうですね」


 今回の協力は一週間。そして四人。二人で一人を支えなくてはならない。


 そして、ホテリエの仕事はちょこちょこ移動する。

座る暇なんてないに等しい。


ずっと立って何時間も歌い踊り続けているアイドルにとっては良さげな仕事なのかもしれない。


「そろそろ各仕事に移ります」

「はい」


 行う仕事は全部で四つ。


接客、カウンター、掃除、その他。

今回はあらかじめ接客する客には許可をとっての撮影である。


水瀬の担当は接客、その他。

水瀬はカウンターにあまり立つことはなく、大抵雑務と接客、暇あらば掃除を繰り返している。

たまにバーのところでバーテンダーと話したり、ワイン調達をする程度である。


「えっと、まずは当ホテルのホテリエ、水瀬と申します」

「SERIOUS―4の岳山(かくやま)でーす!」

「同じく伊達です。よろしくお願いします!!」


おそらく二人とも二十歳(はたち)前後。二十七歳の水瀬からは歳の差はさほどないもののものすごく若く見える。


「もうそろそろ担当するお客様が来られます。名前、部屋の場所をちゃんと覚えておいてくださいね。それと、うちの常連なので失礼の無いようお願いします。指示は私がしますのでご安心を」


元気よくやる気のある返事をした二人は名前と部屋の場所を覚え、客を待った。


 しばらくすると赤いザ高級車がやって来た。


「あの車です」


水瀬が歩きだすとそれと一緒に二人とカメラマンが着いてきた。


色々と説明はしておいたので変な行動をしはしないだろうが、一応よく観察しておかねばならない。


 車から出てきた客に水瀬より随分と元気よく挨拶をする二人。


 出てきた夫婦は中年より少し若い。常連でありどちらも医者の夫婦である。


「こんにちは。よろしくお願いします〜」


婦人が笑顔で二人に挨拶をする。旦那の方も優しそうでいいお客で安堵しただろう。


 客の荷物を持った二人は夫婦を部屋に案内した。


白井が担当している二人もカウンターでいい感じに接客をしていた。水瀬の予想であった嫌な予感は当たりそうになかった。


少々ぎこちなくやらかしそうになったこともあったが水瀬の手に助けてもらうようなことはあまりなかった。


医者夫婦も二人の素人っぷりに大笑いで今のところなにも迷惑沙汰は起こっていない。


(今回はなにもなさそうだ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ