30、懐かれたいパパ
「暁お兄ちゃんっ!!」
待っていましたというように宮河の娘、朝陽が水瀬に抱きついてきた。
「こらっ!朝陽!失礼でしょ!!」
「いえいえ。大丈夫です。」
「でも・・・。」
宮河の妻、蕾が朝陽を怒ったが水瀬は大丈夫だと伝えた。
「どちらかというと、私より宮河の方が・・・。」
「あらら〜・・・。恭介ってば・・・。」
宮河は車から降りて今にも泣きそうな目で朝陽を見つめていた。よっぽど自分より水瀬を好いている朝陽を見て泣きたくなったのだろう。
親馬鹿だろうか、今の時期、子どもが親に甘えてくるものだ。
「仕方がないですよ。子どもはお母さんっ子が多いですし、特に女の子なんてパパ嫌い状態が続きますから。」
「・・・そうですねぇ。」
「朝陽ぃぃ〜・・・。」
今でも笑顔で水瀬に抱きつき、宮河には目もくれない朝陽は本当に父親を蔑ろにしている。
無邪気な幼子というものは怖いものである。
「水瀬ぇぇー!!お前からなんか言ってくれよぉ!!」
「えぇ〜・・・。」
友人に娘が懐いてくれるよう頼むのはいかがなものか。
「あ、朝陽ちゃん・・・?お父さんが朝陽ちゃんが懐いてくれないから寂しいんだって。」
「や・だ。」
「っ!!」
やたらと今日は宮河の精神がえぐられる。
「ねぇねぇ、来てきて〜!!」
「あ、あー・・・。」
「朝陽!!」
朝陽が突然水瀬の手を引っ張り、家へ連れ込んだ。宮河は車の中から自分の荷物と水瀬の荷物を取ってから追いかけた。
「珈琲、飲む?」
「では、お言葉に甘えて。」
水瀬は椅子に座り、珈琲を待った。
ちなみに甘党の宮河は砂糖入りである。
「朝陽、みかんジュースでいい?」
「うん!!」
水瀬に会えて朝陽は現在ご機嫌である。
水瀬は蕾に淹れてもらった珈琲を貰った。
宮河は大量にグラニュー糖を入れたのに対し、水瀬と蕾はブラックである。
「パパ、甘党〜。」
「朝陽も甘党かなぁ。」
宮河はなんとか朝陽と話したい気が悶々と出ている。
「なんかもう朝陽ちゃん、反抗期なんじゃないですか?」
「かも・・・。」




