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Wine・Red  作者: 雪白鴉
一章
3/66

3.崩れ落ちる

 雨が降っていて暗い会場の天井には、輝く大きなシャンデリアがぶら下がっている。その下ではなんとも平和な結婚式が開催されている。水瀬、白井、西野は、会場の隅で式を見守っていた。


「何度か結婚式を見てきましたが、やっぱりいいですね」


白井が西野と水瀬に話した。白井は今まで、何度も結婚式に派遣されているベテランだ。水瀬はというと、これで3回目くらい。他のパーティーに多く派遣されるため、結婚式の派遣は少ないのだ。


「なにより、新郎新婦のお二人がとても嬉しそうで良かったです」

「そうですね」


教会で行わず、披露宴だけのこじんまりとした結婚式ではあるが、幸せさは大きそうだ。


「もうそろそろムービータイムですね。俺、行ってきます」


西野がムービータイムのため、準備に取り掛かった。


「私達はウェディングケーキの準備をしてきましょう」

「わかりました」


水瀬と白井は式場をでて、近くの厨房へ向かった。




少し経ち、ムービータイムやお祝いの言葉も終わり、続いて、ウェデングケーキを切るという初めての共同作業がやって来た。ウェデングケーキをカートに乗っけて、白井が運んできた。それを水瀬と机に起き、ナイフとフォーク、お皿を置いた。

その時、水瀬はふと気がついた。


「あのテーブル・・・位置が・・・」


水瀬が見ていたテーブルは一番奥のテーブルだった。2番目にあるテーブルと位置が被っている。本来なら1番前のテーブルとほとんど同じ位置にあるのに。


「見落としたんでしょうか・・・」

「本当ですね。私も気が付きませんでした」


不思議に思いながらも、水瀬は白井と式場の隅にまた移動した。


新郎新婦が大きな白いケーキを切る。お皿に切り分けたケーキを置くと、新婦がフォークで小さく切り、新郎の口へ運んだ。


「水瀬さん」


隣で白井が水瀬に話かけた。水瀬が返事をすると、白井がシャンデリアを指さして言った。


「何か光っているものが見えませんか?」

「・・・そうですね。何でしょうか・・・」


ところどころ、シャンデリアの明かりによって光っている。それは、後ろから前のカーテンまで繋がっていた。


「紐・・?」


すると、新婦の後ろにあるカーテンの上が微かに動いた。その時、同時に光も若干だが動いた気がした。


「そういえばあそこのカーテン、なんか変───」


ハッとした水瀬は走り出した。


カチャッという小さな音とともに、真っ白のカーテンが新婦めがけて落ちてきた。それと一緒に新婦の上に銀色のナイフが落ちてきた。


呆然とする新郎新婦の横にあるテーブルに乗った水瀬は、新婦にあたるギリギリのところでナイフをキャッチし、カーテンを新郎新婦に当たらぬようにはけ、着地した。

状況を理解した新婦が真っ青な顔でへたり込んだ。


「だ、大丈夫ですか!?」


白井と西野が即座に駆けつけた。会場は壮絶としている。

そんな中、新郎新婦の両親と親友たちが駆け寄ってきた。


「紗和、大丈夫!?」

「う、うん、大丈夫だよ・・・」

「全然大丈夫じゃないじゃない!!」


新婦の親友が新婦の背中をさすって落ち着かせようとしていた。


「水瀬さん、事の状況が理解できないんですが・・・」


掴んだナイフをテーブルに置いた水瀬に白井が言った。カラーコンタクトの目を細めた水瀬はシャンデリアを見上げた。


「白井さん、警察を呼んでください」

基本的に火曜日の朝、更新します。

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