23、男と女
「髪、短いな・・・。」
「・・・だからなんですか・・・。」
休みの次の日、水瀬は支配人部屋へ来た。
そこで支配人の鈴木が髪の短くなった水瀬をまじまじと見つめる。
まるで水瀬は彫刻になったようだった。
「・・・まぁ、水瀬だけならあれなんだが・・・、白井もどうした・・・?」
「え?」
「・・・。」
水瀬の隣には今日も白井がいた。
そして、白井はいつものポニーテールではなく、ハーフアップだった。しかも、昨日、水瀬がプレゼントしたあの髪飾りをつけて。
「ポニーテールに飽きただけですよ〜。」
「それにしてもなぁ・・・。」
鈴木支配人が驚くのも無理もない。
水瀬の髪が短くなり、白井がハーフアップに変わっている。しかも、同時にだ。
「本当に昨日は二人で出かけたんだな?」
「はい!」
「えぇ。まぁ・・・。」
支配人は昨日二人が出かけたことを確認すると、一つ、ため息をついた。
「お前ら、昨日のこと、同僚に話すんじゃねぇぞ。」
「なんでですかぁ?」
白井がキョトンとする。
「・・・俺が大変になるからだ。」
「?」
「?」
二人とも理由がわからないまま、支配人部屋を追い出された。
支配人が何をいいたかったのか、さっぱりわからなかったが、二人は自分の今日の仕事を確認し、分かれた。
「先輩!!」
どこからともなく、石川が水瀬のもとへ走ってきた。
多分、今日の水瀬の仕事を一緒にするのは石川だ。
ただ、今日の水瀬の担当客はまともや厄介である。
「今日のお客様は厄介なんですか?」
「・・・えぇ。まぁ。こより様よりはマシかなとは思うんですけど、それでも大変なお客様ですよ。」
「へぇ〜。」
このときの石川はまだ、その客を甘く見ていた。
「・・・いらっしゃいませ、ホテル・グランド・リリスヘ・・・。」
「・・・あ、い、いらっしゃいませ・・・。」
水瀬でさえ汗を隠すのに必死のため、石川は深いお辞儀でその汗を隠すしか無かった。
「んもうっ。さっくんったら〜。」
「だってもっちぃーが可愛いんだもん。」
「いやん。さっくんだってかっこいいよ〜。」
「もっちぃーはお世辞が上手だなあ〜。」
おい、聞いているのかと言いたくなるほどのイチャつきっぷり。
水瀬と石川の前ではラブラブなカップルが二人だけの世界に入ってイチャついていた。




