21、ファッションショー
試着室のカーテンを開け、いざ、ファッションショーの始まりである。いくつか白井が服を選んでくれたのでその服を一着一着着ていく。
「沢山ありますね。」
「数個に絞れなかったので。」
この量を着なければいけないのは大変なことである。女性というものは誰でもこういうものなのかとちょっと水瀬は考えた。
白井が水瀬に服のセットを渡してくる。これを着てみろという命令だ。
「サイズは多分大丈夫なので安心して来てみて下さいね!」
「・・・はい。」
水瀬には白井の期待の目は痛いものだった。
試着室のカーテンを閉め、初めて見るような服を着てみる。
(ほんとにサイズ、ピッタリ・・・。)
実際に着てみると、白井の言った通り、サイズはぴったりだった。ちょっとした彼女の特技らしい。運が良いのか、何かと何かを重ねるのが得意なのか、どうなのかはわからない。
「あの・・・どうでしょうか・・・。」
そっとカーテンを開けた。
白井が選んだのは赤っぽいボタンのシャツに薄めのズボン。夏にはピッタリである。
「水瀬さん、元から脚長いのにもっと長くなってませんか?」
「・・・。」
褒めているのか嫌味なのか良くわからないが似合っているのは確実らしい。
「次!!」
水瀬は白井にまた違う服を渡された。
その都度、即興で着替えなくてはならない。
「パーカーも似合うなんておかしくないですか?」
「・・・え?」
「Next!!」
白井はちょっと着たらすぐに着替えるように指示をする。流石の水瀬でも疲れてきた。
(女性って・・・凄い・・・。)
外が暑いので水瀬もちょっと暑くなってきた。
「だからなんで、なんでも似合うんですか。」
「・・・睨まないで下さい・・・。」
毎回毎回、何やら嫌味を白井は言ってくる。しかし水瀬は嫌味を言われてもおかしくないくらいなんでも似合う。
「ワンピース、着てみますか?」
「なんでそうなるんですか。」
毎回思うが、白井の考えは読めない。
結局、水瀬は数着の中の二着を購入することにした。
「これで本来の目的は達成ですね。」
「はい。」
水瀬の服も買うことができたので目的は終了したかのように思えたが、白井はあることを忘れている。
(ハーフアップの髪飾り・・・。)
水瀬は白井の後ろを歩いていたため、思い出した。
髪を白井がハーフアップにセットしたとき、髪飾りを買うという目的も追加された。
「白井さん、白井さん。」
「はい?」
水瀬が白井を引き止めた。
「髪飾り、まだ買ってませんよ。」
「・・・あっ!!」
ようやく思い出したのか、ハーフアップの結び目に手を添えた。
「そういえばそうでした!!すっかり忘れてました〜!!」
二人はすぐにエレベーターに乗り、四階へ上がった。
四階には着物やそのアクセサリー、鞄、財布などが売ってあった。
アクセサリーなども多く売ってあるため、その場所へ足を運んだ。
「こんなに沢山あるものなんですか?」
「はい。このお店以外にも沢山ありますよ。」
「そうなんですか。」
店の中を歩き回ると、髪を止められるような飾りを見つけた。花が二つ重なっている髪飾りだった。
「ペチュニアと・・・ベゴニアの花に見えますが・・・。」
「そうですね〜。」
ペチュニアの花は基本的に赤色の可愛らしい花だが、白などの沢山の色も持つ多様な花である。
ベゴニアは薄い色が特徴的で、こちらも可愛らしい花である。
「これ、いいですね!!」
「えぇ。」
白井は気に入ったようだが、問題は値段だ。思ったより高く、ちょっと白井には手が出せなかった。
「では、私が買いましょうか?」
「え?」
水瀬が思い切った提案をした。
さすがに白井は驚き、却下した。
「いえ、こんな高価なもの、買っていただくわけには・・・。」
「お金に関しては大丈夫です。普段、生活費にしか負担しませんので。その他は宮河がなんとかしてくれてますので。お金の貯金はたっぷりあります!」
「・・・でも・・・。」
しかし、さすがに水瀬に悪いと白井は断ったが、水瀬は花の髪飾りを手に取った。
「では、今日のお礼ということで。」
「!」
水瀬はレジに髪飾りを持って行った。
髪飾りは確かに高いものではあったがためにためまくった金を持っている水瀬にはうんともすんとも・・・すんくらいはいったかもしれないが、安いものではあった。
「はい、白井さん。後ろ向いて下さい。」
何かと思ったが白井は後ろを向いた。
「はい。できました。」
「!」
白井がそっと後ろの髪に触れる。そこの髪には確かに二つの花が重なった髪飾りが付いていた。




