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Wine・Red  作者: 雪白鴉
三章
21/70

19、イメージチェンジ

 賑やかな都会の街、歩く人達の視線は一点に集まった。


「ねぇ、あの人、めっちゃイケメンじゃない?」

「私知ってる。すぐそこのホテルのホテリエさんだよ。」

「まじ〜?今度行ってみよ〜。」


視線が痛いと感じるのは水瀬だけではないようだ。


「なんか視線を感じるんですけど・・・。」


白井がキョロキョロとあたりを見渡す。


 水瀬と白井は日本人枠では絶世の美人と言っても過言ではないほど整った容姿をしている。

水瀬は高身長、クールで質素な格好、そして男とは思えないほどの美顔。

白井はそこまで低くはないが低身長、明るく優しげな顔立ち、よく似合う服。

二人とも男女受けのよい容姿だ。


「気にせず行きましょう。」

「・・・そうですね。」


二人とも視線が痛いが、気にせず先を進むことにした。


 白井が通っている美容院はホテルから徒歩十分といったところにある。


「あ、あそこです。」


しばらく歩くと見えてきた。

お洒落な外見でどうにも水瀬には目がチカチカした。


「ここで働いている人、ものすごくいい人ばかりなんですよ。腕も良いので私のお気に入りです!」

「そうなんですか。」


白井が美容院のドアを開けると、ベルがかってに鳴った。それにちょっとびっくりする水瀬。


「いらっしゃいませ~。」

 

店員が笑顔で出迎えてくれた。

見た感じ、雰囲気も良い。


「あら、なっちゃん、いらっしゃ〜い。今日はなんだか気合、入ってるわねぇ。」

「そうですか〜?」


行きつけだからか、定員の数人が白井のことを知っていた。


(・・・なっちゃん・・・。)


「あら。」


店員が水瀬に気づいた。


「なっちゃんのお知り合い?」

「・・・えぇ。」


店員がちょっとニヤつき、白井と水瀬を交互に見た。


「もしかして、なっちゃんの彼氏さんだったりして。」

「〜!!」


白井が店員の口を塞いだ。


「ち、違います!!水瀬さんは同僚ですっ!!」

「あら。そうなの。」


白井が赤面した。


「イケメンさんだからてっきり。」


水瀬の顔をまじまじと見ながら店員が言った。


 

 その後、水瀬と白井は椅子に座らされた。

水瀬はカット、白井はちょっと髪を整えてもらう程度だ。


 水瀬の担当にあたった店員が水瀬の髪からゴムを取った。


「髪が長いですね。伸ばされていたんですか?」

「いえ、こういう場所で切ってもらったことが無かったので・・・。」

「そうなんですか。」


流石は店員だ。客が退屈しないようにと普通に会話しながらカットをしている。


「どのくらい切りましょうか?」


店員が聞いてきたがイマイチ、水瀬はどの髪型が似合うのかもわかっていない。


「どのくらいがいいんでしょうか・・・。なんせ、容姿には無頓着なもので・・・。」

「なるほど・・・。」

「お好みでしていただいて結構です。」

「わかりました。」


水瀬は髪型のセンスを店員に預けた。

本当にそれが良いのかもしれないが。

 水瀬の場合、別に坊主でも良いし、女子みたいにロングでも良い。無頓着故なのかは知らないが。


「暁さんは夏希さんと同じ、ホテリエでしたよね?」

「はい。」

「お仕事、大変ですか?」

「まぁ。大変なときもありますし、楽なときもありますが、絶対に手は抜きませんよ。」

「そうですよねぇ。いくら楽だと言っても手を抜いちゃ、お客様に失礼ですね〜。」


 初対面だというのにこの話やすさ。美容院に来たことのない水無瀬には驚きの代物だった。


 一時間後、水瀬のカットが終わった。


「おわりました〜。」

「ありがとうございます。」


水瀬は前にある鏡で自分を見た。

そこには自分が自分ではないように写っていて、少々鬱陶しかった長い後ろ髪は消え去って、耳が半分見えなくなるくらいの短さになっていた。


 美容院にいる女は全員が釘付けとなった。


元から容姿の良い水瀬だったが、あの長い髪のせいで少し子供っぽく見えていた。しかし、髪を切ることにより、大人っぽさが増した。

水瀬のカットを担当した店員はどうだ、と、ハナタカである。


「水瀬さん、なんだか一気にセクシーさが増したんですけど。」

「なんですか、それ。」


髪を切った水瀬を見た白井の一番最初の感想がこれだった。


「でも、水瀬さん、すっごく似合ってます。かっこいいです!」

「・・・ありがとうございます。」


水瀬の前で白井がニコッと笑った。


「あれ。」


水瀬が白井の髪型が変わっていることに気づいた。ついでに、前髪が少し短くなっていることにも。


「これですか?これはハーフアップっていう髪型です。」

「ハーフアップ・・・?」


ハーフとは、後ろの髪の上半分のことを指す。そこにアップがついていることから、水瀬は瞬時に髪型の名前を覚えた。


「ハーフアップなら何か髪飾りがあると良いわねぇ。」

「確かに。水瀬さん、髪飾りも買いに行っていいですか?」

「私に権限はありません。白井さんが行きたい場所ならどこでもついていきますよ。」


それを聞いた白井はちょっと笑顔になった。


「元は水瀬さんの私服を買いに行くためだったんですけどね。」

「その前に、私が休みを取るためのものでもありますからね。」

「そういえばそうでしたね!」


今日は支配人の指示で補われた休暇である。


「明日、ホテルに行ったら支配人も西野さんもびっくりしますよ、水瀬さんの髪に。」

「そうですね。ずっと長いままでしたから。」


誰だってそうだ。髪の長い人が休み明けに短くなっていたらみんなびっくりする。


「また、髪切りたくなったら言ってくださいね。一緒に行きますから。」

「・・・それは心強いですね。」


代金を払い、水瀬と白井は美容院から出た。


「近くに大きなショッピングモールがあるのでそこにいきましょう。きっと水瀬さんにあった服が見つかりますよ。」


白井はウキウキとショッピングモールへ向かった。


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