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Wine・Red  作者: 雪白鴉
一章
1/66

1.水瀬暁

はじめまして。雪白鴉です。

残酷な描写もあるため、苦手な方はお控えください。


 Wine・Red。赤ワインのような紫みを帯びた深い赤のこと。

その赤は上質で濃く、誰もの目がとまるように美しく儚げである。神聖である「白」よりも高く評価されることもある。


そんなWine・Redの瞳を持つ者がいた。


「水瀬。」

「はい。」

「もっと愛想良くできないのか?仕事は完璧だが、笑顔が全くできていない。営業スマイル、聞いたこと無いか?営業ス・マ・イ・ル!!」


ここは多くの客が訪れる有名なホテルだ。そこで働くのがこの男、水瀬暁だ。今は黒いカラーコンタクトで隠しているがその下にはうさぎのような赤い瞳がある。産まれた頃からこれなのだ。その目のせいで水瀬の過去は悲惨なものだった。


親に捨てられそうになった頃、その両親が殺害された。そして、警察はその場の状況下から犯人を当時まだ一歳だった息子と見立てた。しかし、まだ一歳。赤ん坊だ。殺人などおかせるわけもなく、息子は釈放。叔父と叔母にひきとられることになった。

そして、現在、その息子は水瀬暁としてこのホテルでホテリエとして働いている。


「・・・わかりました。頑張ってみます。」

「頼んだぞ。」


支配人部屋から出た水瀬は、玄関先にやって来た。ホテルの前では警備隊がいつも警備をしてくれている。


「宇山さん。」

「お、水瀬。」

「今日もお疲れ様です。」


宇山龍、警備隊の隊長だ。オールバックの大人っぽく頼りがいのありそうな宇山は、警備隊はもちろん、ホテリエたちからも信用されている。


日課の無駄話をしたあと、水瀬はホテルの中へ入り、仕事へ向かおうとした時、女性職員の悲鳴が聞こえてきた。すかさず、フロントへ出た。


「おいっ!!金をつめろ!!」


強盗だ。イラツイたような声をあげていたのは全身真っ黒の男二人だった。最近、近くの銀行がやられたばかりだ。おそらく、同一人物だろう。

外にいた警備隊が入ってきたものの、犯人はナイフを手にしており、ついでに女性職員を人質にとっていた。


「早くしろ!!この女がどうなってもいいのか!?」


人質がいる限り、警備隊も動くことができなかった。

すると、周りにいるお客の中の一人がスマホで警察を呼ぼうとしていた。それに気がついた男一人が客に襲いかかった。


しぃんと静まり返ったフロントの中央のレッドカーペットに血が落ちる。白いカッターシャツに滲んだ血が赤いネクタイに滲む。


「水瀬!!」


スマホを持った客の前には水瀬の姿があった。水瀬の腹にはナイフが刺さっている。驚いた犯人の男が一瞬ナイフから手を離した瞬間を水瀬は見逃さなかった。男の足に自分の足を掛け、後ろに体重がいったところを一気に後ろへ倒す。駆けつけた警備隊が男を拘束してくれた。


犯人の男と水瀬が格闘している間に、後ろの女性が警察に連絡をしてくれたため、大惨事にならずにことを終えた。水瀬の腹の傷もそこまで深くはなく、命に別状はなかったという。









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