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第百八二話 長平の戦い 七

 廉頗は秦軍との戦いに敗れた後、戦闘で多くの損害を出した楽乗と扈輒を罰する。

 同年 1月(開戦1年4ヶ月目) 廉頗


 敗戦後、廉頗は趙軍を第三の戦線へ退かせた後、体制を整えた。邯鄲への報告を行う前に、彼は将軍楽乗と将軍の扈輒こちょうを捕縛し、本陣へ連行させた。

 暴れながらも数名の兵に縄で縛られながら、本陣に入ってきた二人を、廉頗は鬼の形相で睨みつけた。

 扈輒はケロッとした顔で、廉頗にいった。

「廉頗将軍。縄を緩めてはくれませぬか。少し、キツいのです」

「黙れ扈輒! そなたは自分が犯した罪に気づいておらぬのか! 半笑いなのは私を馬鹿にしているのか、それとも気が触れたのか!」

 扈輒は黙った。怒鳴られて意気消沈するその姿を見た楽乗は、ふっ、と鼻で笑った。

 それから廉頗を、彼がしている様な、凄まじく尖った目で睨んだ。

「廉頗よ、よもや敗戦の責任を、我らに押し付けるつもりか」

「真っ当なことだ。そなたらは敵将張唐を防げず、大局が傾く原因を作った。それだけならばまだよかった。だが撤退戦に移った時、敵将楊摎の騎兵が追撃してきた際、殿しんがりの役目を捨てて、我先にと逃げ出した!」

「あの場で逃げなければ、将二人を失うことになったのであるぞ。そうなれば、そなたがどれ程の功労者であろうとも罰を受ける憂き目を見ることになったのだぞ! 爵位は降格し俸禄は減らされ、召使いは暇を出され路頭に迷うことになる!」

「そなたが気にすることではない。詭弁を弄するでない。正直に申せ! そなたは命を惜しんで責務を放棄し、味方の被害を拡大させたのだ!」

「では私が死ねば良かったのか!」

「それもやむを得ないであろう。これは戦なのだぞ……! 誰か!」

 廉頗が人を呼ぶと、近衛兵の一人が「ここに!」と名乗りを上げた。

「廉頗よ、我らの首を刎ねるのか!」

「二人を棒打ち百五十回だ! 手加減するな!」

 楽乗は「ふざけるな!」と喚き散らし、扈輒は「感謝申し上げます!」と、助命に感謝した。


 二人が連行された後、廉頗は頭を抱えた。

 楽乗がいっていることは、表面だけではあったが、核心を突いていたのだ。

 今、将軍の首を刎ねれば、軍が維持できなくなる。つまり、恥を忍んで敵に背を向け逃げ出した楽乗らの行動は、正しかった。

 しかし、楽乗と扈輒の力量不足が、敗戦のキッカケであることは間違いではなかった。だからこそ、今後他の将軍に逃亡癖がつかない様にする為にも、両将軍には厳罰を処す必要があった。

「もう後がない……。今回のことで、邯鄲に報告をした後に、私が罷免されることはないであろう。しかし根本的に、秦の攻撃を防ぐ手立てが……いや、ある。秦はもう、国内の兵の大多数を動員している。その大半を消耗した今、下手を打たなければ必ず防ぎきることが……できる!」

扈輒(生年不詳〜没:紀元前234年)……戦国時代の趙の将軍。

期限前234年、秦将桓騎に攻められ敗死した。

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