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第百五十話 胡傷、魏を攻める

 白起は部隊を編成し、胡傷に率いさせ、魏へ反撃の侵攻を行う。


 白起は張唐に命じ、芒卯を華陽へ連行させた。そして白起は、騎馬別働隊を率いていた胡傷に命じ、魏への侵攻を命じた。

 司馬靳は白起へ尋ねた

「また秦王様へは、事後報告なのですか?」

「そうだ。将外に在れば、君命も受けざる所なり。戦局が動いたならば、君命に固執する必要は無い。秦王様はそれを受け入れるだけの度量を持ち合わせた名君でもあり、私もそんな秦王様へ忠義を尽くしている。理想的な君臣関係であると私は考えている。戦とは、刃を交える前から、既に始まっているのだ」

「肝に銘じます!」


 白起は胡傷に軍を率いさせるべく、部隊を編成した。そして予め命を与えていた張唐が華陽から戻り、数千の韓兵も、部隊に組み込んだ。

 白起は、胡傷に魏への侵攻を命じた。これは韓の国策である魏侵攻に、秦軍が援軍として協力しているという体裁を保つ為である。趙は、同盟国である魏が秦軍に蹂躙されているのを知った後も、本腰を入れて救援に向かうことはできなかった。それは、秦軍が韓の旗を翻らせていたからである。


 白起は、胡傷に魏を攻めているあいだに、数千の残存部隊を率いて華陽城へ入った。華陽は、既に魏冄によって統制されており、事実上の秦の城となっていた。

 魏冄は、白起を見るなり、どこかバツの悪そうな顔をした。白起はその瞬間、魏冄が自分を陥れようとしたのだと確信した。宮廷の勢力争いなど眼中にもなかった白起でさえも、最早魏冄という男が信用に値しないと、見限るには十分な出来事であった。

 白起は華陽城外に野営地を造った。幕舎の中で、早く秦へ帰りたいと思った。

「秦王様は丞相を忌み嫌っている。それは私の預かり知らぬことだと思っていたが、そうではなかった。丞相は秦の国益よりも、自身の益ばかり大切にする。この華陽も大梁の時と同じく、その情報や金は、丞相の下へ流れるのであろうな」

 白起は酒を呷りながら、独言を呟いた。下らない勢力争いによって、秦の天下統一という大志を阻まれている現状と、国尉でありながらそれを打開できない自分が、ただ情けなかった。

 しばらくすると、蒙驁が幕舎を訪ねてきた。

「なに用だ、我が友よ」

「こんな機会は滅多にありませぬ。共に酒を呑み、語らいたく」

「よかろう、座って話し相手になってくれ。誰か、肉を焼いて持ってこい!」

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