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#24 洋館内部へ

「招待状が?」

「ええ……今しがた届きました。」


 とある昼下がり。


 それは突如として、このティータイムを楽しんでいた私たち吹子生家に舞い込んで来たわ。


「えっと……舞台は人里離れた場所にある古い洋館。そこに財宝がある。見つけられたし。」


 ……何かしら、これ?

 名家の令嬢を、財宝で釣る?


「お嬢様、これは」

「……はっきり言って、怪しいの一言ね。これは何かの、罠としか思えないわ。」


 ええ、私は天尾にそう言ったわ。

 そうよ、君子危うきに近寄らず。


 ……と、思っていたけれど。


「しかしお嬢様。私が掴みました情報によりますと、この洋館には既に冨士谷のお嬢様・執事と佐波木のお嬢様・執事が入っていると」

「な、何ですって!? 前言撤回するわ、天尾に笹生! 今すぐ洋館に急ぐわよ!」

「な……お、お嬢様!?」


 ええ、何を躊躇っていたのかしら私は!


 笹生、よくやったわ。


 危うく綺沙や獣王、砂葉や早乙女さんに先越される所だったんですもの!


 ◆◇


「さあ、ここね……」

「お、おお……み、見るからに怪しげな……」

「ええ……まさに、令嬢の試練の場として素晴らしいまでにふさわしき場所でしょう!」


 そうして洋館にたどり着いた私・笹生・天尾の三人は三者三様の反応をしているわ。


「よし……さあお嬢様、早速中へ」

「ふっ……だからお前は甘いというんだ天尾! いきなり正面玄関から入る奴がいるか、ここは別の場所から入るんだ!」

「な……わ、分かっているそんなことは!」


 あらあら、早速お叱りを受けちゃう天尾ね。

 まあ、でもそうね。


 ここは、気を引き締めないといけないわ天尾!


 ◆◇


「さあお嬢様、私の手を。」

「あら……ありがとう、笹生。」

「お、お嬢様……お足元にお気をつけください。」


 そうして私たちは、洋館裏手の窓から入り込んでいるわ。


「ふう! 何とか私たち入り込めたわね。」


 私たちは外同様かなり古い内装である、洋館の廊下に入り込めたわ。


「し、しかしお嬢様……さ、笹生の奴によるこの入り方ですが。これでは私たち、泥棒のようでは?」

「ふっ、お前は甘い尾っぽと書いて甘尾と改名した方がよいな天尾! 今さらそんなことを気にするまでもない、ここは安全に洋館の中に入ることが先決だ!」

「な……さ、笹生!」


 ええ、相変わらず喧嘩腰の笹生ね……


 でもごめんなさい甘尾、じゃなくて天尾。


 今回ばかりは少し笹生に同意よ。

 あなた、少し優等生すぎないかしら?


「な、お、お嬢様!」

「私たちはこれが罠であることをある程度承知で来ているんですもの……相手が嵌める気なら、その裏をかかなくてどうするとおっしゃりたいのかしら?」

「……は、も、申し訳ございません……」


 そういうことよ天尾。

 あなたには悪いけれど、やはり令嬢には強かさも必要ね!


「でも、いいわ……さあ、早く行きましょう二人とも。」

「ええ、さすがはお嬢様! ……ほら、ボサッとしていないで我々も行くぞ!」

「い、言われずとも! (くっ……お嬢様がどんどん笹生に似てきている!)」


 ええ、天尾。

 勝手に心を読むようで何だけれど、それは褒め言葉と受け取っておくわ。


 悔しかったら、あなたこそ私を自分に似せてご覧なさい?


 ◆◇


「ここは……」

「大広間のようですね。」


 私たちは行き着いた先の部屋の扉を開けるけれど。

 そこには――


「あら……吹子生さんたち、来ると思っていたわ!」

「……冨士谷さんに獣王さん、お揃いで。」


 笹生の情報通り、そこには綺沙と獣王の姿が。


「冨士谷のご令嬢に獣王執事殿、ご機嫌麗しく。」

「それに、佐波木のご令嬢と早乙女執事も。」

「ええ、ご機嫌よう!」


 そう、情報通りといえばこちらも。

 砂葉と早乙女さんもいるわね。


 ――……ようこそ、ご令嬢方にそのお付きの執事殿方! 私の館へ。


「! あなたかしら……私たちをご招待いただいたのは。」


 そんな私たちのいる大広間に、何やら変声機を通したような声が響いたわ。


 ――ああ、その通り……まあ、あなた方だけではない。あと二組のご令嬢方と執事殿方もだ。


 私の言葉に、果たしてその天の声?はそう返してくれたわ。


「あら、あと二組?」


 ――そう……八象家と鋼羽家の方々もだ!


 ……なるほど、そう来たのね。


 でも、これじゃあまるで私たち吹子生家に関わった家々の人たちを集めたみたいね……


 ――さあ……善は急げ! 一刻も早く探し出してくれたまえ、この洋館に潜む秘宝を……


 と、私たちの心の迷いを見透かしたようなその言葉が響くと共に。


 私たちの目は、半信半疑の状態から真剣なものに変わったわ!


 そうね……いちいち目の前のことに疑問を挟んでいる場合じゃない。


 一度戦場に足を踏み入れた以上、後は戦うのみよ!


 ◆◇


 それから少し時は経ち所は変わって、ここはその洋館内どこかにある監視室。


 後で知ったことだけど、そこにいたのは。


「首尾は上々ね……我が執事。」

「ええ、我がお嬢様……全ては、あなた様に恥をかかせたあの者たちに復讐するため。」


 そう、招待主だけど。

 どうやら彼らも、私たちと同じく令嬢と執事みたいね――

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