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#16 妹のために

「なるほど……では、あなたが妹さんのプロデュースを?」

「ええ、その通り……私はただ、妹に好きにさせたくて。」


 控え室でお茶を出してもらい。

 私たちは秀光さんから、事情を聞いていたわ。


 あ、ちなみに。

 私たちはまだ変装を解いていなくて。


 秀光さんには、妹の同級生とその執事であることバレてないわよ?


「妹は昔から……実に色々なクラシック音楽やバレエなどを習わされて来た! 令嬢の、嗜みとして。」


 ええ、秀光さんそれは令嬢あるあるですね。


「だが! 妹は……自由を求めた! そんな矢先に出会ったのが」


 青汁……じゃないわね、ロックよね?

 いや、青汁をオンザロックにして飲むって意味じゃないわよ?


「そうだ! ロック……その悪魔的な魅力に、妹はどっぷりと浸かり! 今に至る……しかし。ロックとは悪魔崇拝を祖とする音楽と言われている……そんなことを、うちの父母が許せるかどうか?」


 いや、私たちに聞かれても……いえ、まあ答えはお分かりよね?


 答えはNO!


「そうだ! だから私は、彼女を覆面バンドマンとしてプロデュースすることにした! そうすれば妹は、きっと幸せになれると思って!」


 なるほど……

 それで、今に至るという訳ね?


「……だから、頼む! この通りだ、私の頼みを聞いてほしい!」


 はい、そこでまた土下座する秀光さん。


「……少し、考えさせていただけるかしら?」


 私はそこで、秀光さんにそう言う他なかった。


 ◆◇


「お嬢様……よもや。笹生の言葉通り、八象のご令嬢の件を同家の旦那様・奥様に告げられるおつもりでしょうか?」

「そうね……そうだ、と言ったらあなたどう思われるかしら?」

「そ、それは……」


 ライブハウスを出て。

 私や天尾、笹生たちは車の中で作戦会議の続きよ。


「おお! ではお嬢様、私に」

「まあお待ちなさい、笹生も天尾も! ……確かに、これは他の令嬢を陥れる格好の機会ではあるわ。だけど……私も鬼ではありませんからね、八象の執事にああも頼まれてしまうと。」

「何と……」

「おお! ええ、その通りですお嬢様!」


 私の言葉に、笹生も天尾も一喜一憂してくれているわ。

 だけれど。


「お嬢様……天尾に従われるもお嬢様ご自身の意思ならば私は尊重し申し上げたいのですが。どうやら事態はどちらにせよ、早く変えようとなさった方が良さそうです。」

「な……笹生!」


 何ですって笹生?

 それはどうして?


 私は、笹生にそう尋ねると。


「ええ、既に獣王と冨士谷のご令嬢は動き出しているからです! ですから天尾の奴がモタモタしていては、抜かされてしまわないとも限りませんが?」

「な!?」

「そう……また綺沙も獣王も、動き出したのね。」


 笹生の言葉に、天尾は驚いたけれど。


 私に言わせれば、あの人たちならやりかねないという思いだったから今更驚かないわ。


 ◆◇


「綺沙お嬢様……いかがでしょうか?」

「ええ、あなたの掴んだ情報通り! さすがは私の執事だわ、獣王!」


 その頃。

 ライブハウスには、綺沙と獣王の姿があったわ!


「さて……お嬢様、後は。」

「ええ、さあて……八象の旦那様と奥様に」


 あらあら。

 考えることは、私たちと同じなのね!


 ◆◇


「分かったわ……天尾! あなたに課題を与えます。」

「か、課題でございますかお嬢様?」


 再び、私たちの車の中で。

 私は天尾に、そう宣言したわ。


「ええ、私が話す期限内に……八象家の問題を解決するのよ!」

「な……か、解決ですか!?」

「おやおや……それはそれは。」


 私の言ったことは、笹生にとっても天尾にとっても意外過ぎたのか。


 どちらも、驚いた様子よ。

 でもね、二人とも。


「天尾、残念ながらあなたがまだ具体的な策を何一つ示せていないことは笹生の言う通りです! ですから、あなたにはそろそろ示していただかないと……そうね、あなたの首も賭けて!」

「なっ!?」

「ほう……?」


 そう、そろそろ一度目(あるいは最後)の決着ぐらい着けてもいいんじゃないかしら?


「は! そ、それは……」

「何だ天尾? 散々私の言うことに文句を言っておきながら、いざとなれば逃げ腰及び腰なのか?」

「くっ……」


 ええ、申し訳ないけれど。

 それもまた笹生の言う通りであってよ、天尾!


 少なくとも笹生は、自分の意見を私に聞いてもらうために色々やってくれている。


 だけど天尾、あなたはどうかしらね?


 あなたはいつも、こうすべきと言うばかりで具体的な方策を見出せていないじゃないかしら?


 ……ごめんなさい、少し言いすぎかもしれない。

 これこそ悪役令嬢まっしぐらかもしれないけれど、ここは悪役令嬢になってでも!


 あなたの、本当の覚悟を見たいのよ?


 私は、そう天尾に伝えたわ。


「お嬢様……」

「ええ、まったくお間違いございませんお嬢様! 天尾、お嬢様にここまでおっしゃってもらって尻尾を巻くなどないな?」

「……ああ、そうだな笹生! お嬢様も申し訳ございません、私は確かに口ばかりでございました。今度こそ、お嬢様にも笹生にも私の本気をお見せいたします!」


 あら……ええ、皮肉抜きにいい度胸よ天尾!


「ほう……それはそれは! その言葉こそ、口ばかりでは終わらないといいものだがな!」

「な……い、今に見ていろ笹生! お前にだってお嬢様にだって納得されるようなものを!」


 そう、本気になったのね天尾。

 なら……ここからはあなたのターンよ!


 好きにやっておしまいなさい!

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