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4.カルボ島

マリエの異世界冒険第二弾です。

好き勝手に書いて行きますので、宜しくお願いしますね。



本作品に登場する国・人物は架空のものであり、現実とは何の関係もありません。

似たような物を見た記憶があっても、気のせいです。念のため。


 朝からいい天気です。きょうは石炭を採掘に行く船に同乗して海賊島から船で六時間の所にあるカルボ島に向かっています。

 海賊島に有る一番大きな船なので、思ったより揺れなかったので、酔わずにすみました。船旅って初めてだったんだけど、こんなに風が気持ち良いなんて知りませんでした。

 舷側の手すりにもたれてぼーっと遠くを見ていると、不意に後から声を掛けられました。この船の船長のコリンさんです。

「どうしたぁ?酔ったか?」

「んーん、海が綺麗なので見とれてましたの」

「そっかそっか、もう直ぐ着くからな。もうちっと待ってくれよ」

 そう言い残すと、船の後ろの方に歩いて行きました。船長さんは忙しそうです、、、、、、って、駄目だあぁ、こんな女の子みたいな話し方、あたしには向かないわ。肩が凝っちゃうよ。外見は八歳児でも中身は十九のおばはんさ。ぶりっ子は性に合わないさっ。

 ふと、隣にいる玄ちゃんと目が合ったが、何百面相してるんだ?的な顔をしてあたしを見上げていた。ふん、ほっといてちょーだい。

「島が見えたぞーっ!」

 マストの上の見張り台の人が前方を指差して叫んでいる。どれどれ、確かに前方に島が見えて来た。海賊島と違って、中央に山がそびえ立っている、なんかごつごつした感じの島。大きさは、海賊島よりやや大きいかな?島の上空には何やら大きな鳥が何匹も飛んでいるのが見える。この距離で見えるんだから相当大きいんだろうなあ。ワイバーン?〇ャオス?そんな感じがする。

 下から船員さんがわらわらと上がって来て前方を眺めている。

「嬢ちゃん、あの島に行くんだぞ。後、二時間位で着くからな」

 下から上って来た船員さんが、汗を拭きながら教えてくれた。

「ね、あの飛んでいる大きな鳥はなに?ワイバーンとかドラゴン?」

「あはははは、ワイバーンもドラゴンも大昔、古生代の生き物だから化石ならあるけど、現存している奴は居ないよ。しっかりしている様でも、やっぱ子供だなぁ。あれはロック鳥だよ、さらわれるなよお」

 大笑いしながら歩いて行ってしまった。ロック鳥だって架空の生き物じゃないかぁ。そんなものが生存するのか?ここは。ううむ、前回来た世界とは大分違うんだなぁ。

 そうこうしている間に、船は島に近づいて行った。近づくにつれ、島の外観が分かってきた。島の周りは高い崖になっていて上陸出来る場所は見当たらなかったが、船が島の南側に回り込んで行くと、小さな浜が見えて来た。あそこに上陸するのかな?

 船の舳先へさきの方で、高らかにラッパが吹き鳴らされると、船内は急に慌ただしくなってきた。上陸の準備が始まったのだろう。あたし達は、邪魔にならない様に端っこで大人しくしていた。

 そんな時だった。一羽のロック鳥が船に接近して来た。予想していたのか、何人もの兵士が槍を構えて甲板上で戦闘態勢を取って不意の来訪者に対応していた。

 すると、突然体がふわっと浮き上がった。

「嬢ちゃん、危ないから中に入っていなっ!」

 船員さんがあたしを抱えて船内に向かって走って行く所だった。

「あっ!玄ちゃん」

 あたしは、相棒の事が気になって、抱きかかえられながら後ろを振り向いた。ロック鳥は、あろうことか玄ちゃんに向かって急降下して来ているではないか。

「玄ちゃん、避けてぇぇっ!」

 あたしは、とっさに叫んでいた。すると玄ちゃんはおもむろに立ち上がった。そして、玄ちゃんを咥えようと降下して来たロック鳥の頭を左手で、、、、、張り倒した。

「・・・・・おまえ、立てるんだ」

 いや、突っ込む所はそこじゃないだろう。だが、あたしは、驚きのあまり、突っ込む所を間違えてしまった。驚いたのはあたしだけではなかった。甲板に居るみんなが固まって玄ちゃんを見つめている。鈍重なはずの亀が、素早いロック鳥の頭を、まさに張り手一閃で吹き飛ばしたんだから、みんな理解が追い付かないのも無理はない。張り飛ばされたロック鳥も何が起こったのか分かっていないだろう。ふらふらと飛び去って、そのまま海中に落下した。失神したのだろうか?四つ足に戻った玄ちゃんは何も無かったかのように、ゆっくりとあたしの方に歩いて来る。

「あのお、お兄さんや。申し訳ないがあたしを降ろしてはくれない?」

「あ、ああ」

 固まっていたお兄さんは、あたしをゆっくりと甲板に降ろしてくれた。

 ゆっくりと歩いて来る玄ちゃんにねぎらいの言葉を掛けてあげなくちゃ。しかし、あたしの口から出た言葉は労いとは縁遠かった。

「おまえ、強力な対空兵器にもなるんだな」


 先の一匹以外はこっちに来る気配は無さそうなので、上陸は粛々と進んでいった。

 石炭の採掘場は島の中央にそびえ立つ山のふもとで、谷の様になっている場所の地表に石炭層が露出している場所があって、そこで露天掘りをしているらしい。露天掘りなら坑道を掘らなくていいから危険も少なくて楽だよね。谷までは簡単な道が作られており、何台もの荷車が列を作って次々と森の中に吸い込まれて行く。この道は、雨が降るたびに水が集まり川になって流れた跡の様だ。長い年月、雨のたびに削られて今では深い谷になってしまったらしい。

 あたしも玄ちゃんの背に乗って荷車の後を追った。だって見たいじゃん、船に残っていても退屈だしね。

 そう二十分位で目的地の採掘場に着いた。まだそんなに掘られていない感じだったけど、初めて見た採掘場はなんか凄く迫力があった。十人くらいの屈強なあんちゃん達がツルハシやスコップをもってガシガシと黒い谷を削っていて、その後ろで数人のあんちゃんがスコップで荷車に石炭を積み込んでいて、一杯になった荷車は二人掛りで船に戻って行く。この谷間は一面が砂に覆われていて荷車が走りにくいので荷車が往復する所だけ板を敷いて道が造られている。谷の奥の方は砂の層が深くて底なし沼みたいになってるので決して近づくなって何度も念を押されちゃった。

 ん?みんなが石炭を掘っている脇で焚火をしている人がいる。何やってるんだろう?ああ、ああ、あんなに煙をだしたらロック鳥に気付かれちゃうじゃない。あたしは注意しに焚火をしている人の所に駆けて行った。

「ねえ、ねえ、なにやってるの?そんなに煙を出したらロック鳥が来ちゃうよ?」

 焚火をしていたのは、あんちゃんでなくねえちゃんだった。あっけに取られてあたしの事を見ていたが、突然笑い出した。

「あはははは、逆よ逆。今燃やしているのは、シトロネラ草って植物の葉っぱなのね。これを燃やすとロック鳥の嫌いな臭いが出るのよ。だから、盛大に燃やしてロック鳥が来ない様にしているの。分かったかな?」

「はい」

 あたしは、とぼとぼと離れて行った。物凄くショックだった。ちゃんとみんなにも生活の知恵ってあるのよね。鉄製の船やら火炎瓶やらであたしの方が賢いんだっていい気になっていた自分が恥ずかしい。知らない内にみんなの事を文明の遅れた未開人って見下していたのかも知れない。いけない、こんな事してたらみんなに見限られてしまう、人として最低だ。戒めなくてはいけない。そう言えば、母様も言ってたっけ、他人を見下す人間は最低だって。あたし、いつの間にか最低な人間になっていたんだ。鉄製の船も火炎瓶もあたしが発明してものでも無いのに、まるで自分の手柄の様に威張っていたんだ。きっと周りからみたら、卑しく見えたんだろうな。いや、周りがどうこうでなくって、あたしが恥ずかしい!母様が言って居た謙虚になりなさいって言葉が脳裏を巡った。

 落ち込んでいてうずくまっていたら、玄ちゃんが心配して擦り寄ってくれている。あたしは玄ちゃんの首に抱きついて声も無く泣いていた。

 しばらく泣いていたら少し気持ちが落ち着いてきたので、すっくと立ち上がりさっきのお姉さんの所に戻った。

「あら、今度は何かしら?」

 お姉さんは笑顔で迎えてくれた。あたしは恥ずかしさの為にひるみそうになったけど、勇気を出してお姉さんに申し出た。

「あ あの、あたしにも手伝わせてもらえませんか?何でもいいので手伝わせて下さい、お願いします」

「あらぁ、手伝ってくれるの?じゃあね、はいこれがシトロネラ草の葉っぱね。この近くの森の中に群生しているから集めて貰える?」

 あたしは、何故か嬉しくて見本に貰った葉っぱを握りしめた。シトロネラ草の葉は一メートル位の羊歯しだみたいな形をしていた。

「はいっ、直ぐに集めて来ますっ。玄ちゃん行くよっ」

 あたしは玄ちゃんを連れて、森の中へ駆け出した。

「あまり、遠くへ行ったら駄目よお」

「はああぃ」

 森に入ると、シトロネラ草はそこかしこに群生していた。見た感じ株で増えるタイプみたいだった。資源が無くならない様に一つの株の葉っぱを全部取らずに何枚か残して採取していった。採取した葉は、玄ちゃんの甲羅の上に寝かして重ねていった。植物採取って結構楽しいかも。あたしは夢中になって採取に励んだ。気が付くとお姉さんの呼ぶ声が聞こえたので一度戻る事にした。

「あらあ、随分一杯採ったのね。これで明日の分も賄えるわ、ありがとうね。そろそろ日が落ちるから上陸地点に戻るわよ。採掘のみんなもそろそろ引き上げるから一緒に帰るからねえ」

 上陸地点に戻ったらみんなで夕食を食べて船に戻った。あたしには個室が与えられたので玄ちゃんと一緒に寝る事になった。なんか、色々とあって疲れたかも。夕食は食事担当班が魚を釣ってくれたので魚料理が中心だった。ここにもお刺身文化があるみたいで、マグロのトロみたいなものや、イカみたいなものもあって美味しかった。醤油があれば文句無かったんだけど、それは言いっこなし。お刺身は塩を振って食べたけど、これはこれでいけるかも。魚の唐揚げみたいなものも美味しかったなあ。


 翌日も早朝から石炭の採掘だった。あたし達は一緒に下船してから島内の探索をする事にした。もっとも、ロック鳥が居るので煙の有効範囲での探索だ。探索を始めて気が付いたことがあった。ここの生物分布が海賊島とは全然違う事だった。森の木は同じ広葉樹だが、下草は巨大な羊歯の類が多い事。小動物は猿系が多く何種類か見掛けたがみんな全身緑だった。大きさは、日本猿より小柄で尻尾が長かった。顔面も緑一色でじっとしていると森に溶け込んでいて見付けるのが容易ではなかった。そして、子猿の数が多くみんな痩せていた。これもロック鳥の影響なんだろうか。鳥はロック鳥以外は一切見つからず、きっとロック鳥がこの島の生態系の頂上に君臨しているのだろう。猿以外で見掛けたのはアナグマみたいな奴だけだった。こいつは普段は穴を掘って地面の中に居て集団で狩りをするそうだ。全身茶色で短毛なのだが、尻尾の先だけが赤いふさの様になっていて、狩りの時はこの総を地面の上に出してフリフリしてロック鳥が房を掴んだ瞬間に周りから飛び出して来てみんなで襲う知能派らしい。大きさは壱メートル以上あって意外と俊敏だとか。あたしは見る機会には恵まれなかった。

 この辺の島は、島ごとに生態系が違うらしい。まるでガラパゴスみたいだ。

 海の中にも変わった物がいて、その筆頭はホーンヘクト。口が尖っていて光る物に向かって突進する習性があるそうだ。あたしの世界にも船に刺さる魚としてそんな魚が居たって聞いた事があったけど、ここのは桁違いな大きさで三メートル以上あって船なんかイチコロだって。だからこの世界の船はみんな暗い色をしているんだそうな。怖いねー。

 半日森の中をうろついてみたけど、何も収穫はなかった。午後からもうろついてみよっと。


 午後は海沿いを歩いてみた。

 砂浜という物は無く、島の周囲はほぼ断崖絶壁に覆われているようだ。海沿いを歩くと言っても海は遥かに下方に見えるだけで、高い崖の上を歩くばかりだった。

 特に目に付いた物も無かったので、しょうがないから上陸地点に戻る事にした。途中、緑の猿軍団に囲まれたが遠巻きにして様子を見るだけで一切近づいては来なかった。ひたすら遠巻きにこちらを観察していて時折登った枝を揺らして牽制して来るのがせいぜいだった。でも、五十を超える数の猿に囲まれるのは気持ちの良いものではなかったが向こうも見慣れない奴がやって来たので怖かったんじゃなかったかと思う。

 特に成果もないまま二日目が終わった。明日一日採掘をしたら明後日には帰る事となって居る、明日はどうしようか。森で猿と戯れるのもなあ、かと言って一日ゴロゴロしていてもなあ。やはり、山登りか。ベッドで横になりながら明日の予定を考えつつうとうとしていたら、突然轟音と共にベッドから投げ出されて壁に叩きつけられてしまった。

 しこたま壁に打ち付けられて痛む背中をなぜながら立ち上がって部屋から顔を出すと船内組の乗組員達が走り回っていた。

「嬢ちゃん、まだ状況が分らないから部屋に入ってなっ!」

 みんな慌てふためいていて、何が起こったのか把握出来ていない様だった。あの感じだと、何者かが船を殴った?いやいや、表現がおかしい。何者かが船にぶつかったって言えばいいのかな?そんな感じだった。敵の襲撃なら直ぐに対処出来るだろうけど未だに状況が分からないから敵ではないんだと思う。せっかく寝ようとしていたのに。ぶー。

 気持ちの悪い事に、さっきの激震の後からまだゆさゆさと不規則な振動が続いているので、あたしは部屋の窓、窓と言ってもガラス窓では無くて壁を三十センチ四方の大きさにくり抜いて板の蓋をしてあるだけなんだけど、蓋を持ち上げて表を覗いて見たんだ。

 基本的に夜なので外は真っ暗なんだけど、みんなが松明で海上を照らしているので、船の周りはそれなりに視界が確保されていた。松明に照らされた海上にあたしは巨大な物を認めてしまった。あたしは、とっさに駆け出して部屋を飛び出した。甲板に上がって船長を探すと舷側から身を乗り出して海上を見ている姿を見つけた。

「船長っ!錨上げてっ!急いで錨上げてっ!」

 急に後ろからあたしに怒鳴られた船長は驚いて振り返った。

「ビックリしたなあ、どうしたんだ一体」

「なんでもいいから、急いで船を前方に出してっ!早くっ!」

 なんだか腑に落ちないって顔だったが、真剣なあたしの顔に何かを感じたのか、船首の方を向いて

「錨を上げろーっ!!急げーっ!!」

「それから、漕ぎ手を総動員して前方に動いてっ!少しでいいのっ!早くっ!」

「分かった!みんなぁ、いそいで船前方に出すぞーっ!いそげーっ!!」

 そう言った後、船長もみんなと一緒にかいのある下層の階に向かい船に残った人員で櫂を漕いで前進を始めた。あたしは、船尾に行って海面を凝視している。

 船が少し前進した所で船内に向かって叫んだ。

「もう、大丈夫。漕ぐのを止めていいわっ!錨を降ろしてえ」

 あたしは、船尾から後方の海面を眺めていた。すると、ぞろぞろとみんなが上がって来た。

「何がどうなったのか説明して貰えるかな?」

 汗をふきながら船長のコリンさんに問われた。

「あのね、さっきの衝撃の原因は、巨大なウミガメの体当たりだったの。どうやら、石炭を掘っていた谷は亀さんの産卵場所だったみたいで、お母さん亀が産卵しに島に来たんだけどあたし達の船が塞いでいて上陸しようとした亀さんとぶつかってしまったの。ほら、見て。亀さんが上陸しようとしているから。あ、島のみんなにも道を開ける様に言って下さります?攻撃したら駄目だよって」

「亀?亀だったのかあ。よく分ったなあ。おいっ!島の連中に退避する様に連絡しろっ!」

 部下に伝令を頼むと船長は亀に見入っていた。

「亀だなあ、ギガントステガだなあれは。しかし、なんて大きさだ。十メートル以上あるなあ。いやあ、船が壊れなくて良かったよ。日が昇ったら破損個所の確認をしないといかんな」

「亀は基本的に温和だから、こちらから手を出さなければ攻撃はして来ないはずよ。産んだら、海に帰るから暫く様子見ね」

 乗組員達がみんな船縁ふなべりに集まってきた。さっきまでのパニックとは打って変わってみんなリラックスして亀を観察している。

「兎に角、助かった。君が落ち着いて指示を出してくれたから、みんなパニックにならず的確に対処出来た。乗組員を代表してお礼を言う。ありがとう」

 コリンさんは深々とお辞儀をしてくれている。なんか、小っ恥ずかしいよお。だって、みんなもそろってお辞儀してくれているんだもん。

 結局、みんな寝そびれたみたいで、このまま亀のお産を見守る事になった。

「コリンさん、こんな事って良く有るんですか?」

「ないない、こんなの初めてだよ。それも、あんな馬鹿でかいのなんて聞いた事ない。記録的な大きさだよ」

「そうなんだ。あたし、ビックリしちゃった。島が動いているのかと思った」

「あはは、俺も腰が抜けるかと思ったよ。はははは」


 空が白み始める頃、巨大な亀さんはゆっくりと海岸に顔をだした。そして、周りに居る人間に目もくれずに海へと帰って行った。

 亀さんが帰って行ったのを確認すると、急に慌ただしくなった。被害状況の確認と修理が待って居るからだ。みんな、事前に決められていた担当ごとにそれぞれの持ち場に分かれ作業に取り掛かっていった。あたしは、、、、寝る。睡眠不足は美容の天敵だからね。おやすみなさーい。


 居残り組は船の修理をして、上陸班は石炭の採掘を再開していた。あたしは、昼迄寝ちゃった。えへへ。

 亀さんが産んだ卵が気になるので、あたしは他の人達と一緒に再度上陸した。谷に着くと、予想通り谷の最深部にあった巨大な砂場が盛り上がっていた。きっとあそこに産んで行ったんだろうなあ。砂で卵は見えないんだけど、きっと大きいんだろうなあ。孵化する所を見たい気もするけど、きっと孵化する頃はこの辺は戦場なんだろうなぁ。この島は戦場にならないでほしいなぁ。連中が攻めて来る前に徹底的に叩いてしまえばいいんだろうけど、難しいよなあ、きっと。


 この日も日暮れまで採掘した。思った程作業は遅れていなかったので予定通り明日の朝に海賊島に向けて出港だ。最初は居残り組が櫂を漕いで採掘組を休ませる。後は、元気な者が交代で櫂を漕ぐ事となった。一応小さいながら帆もあるんだけど、かえりは向かい風なので役に立たないから、ゆっくりでも人の力に頼るしかないのは歯痒いところね。早く蒸気機関を完成させなくちゃあね。

 帰りの航海の間、あたしは部屋に籠って考え事をしていた。新しい艦載兵器を思い付いたの。それをどうやって形にするかずっと考えていたのでした。途中、何人もが心配して様子を見に来てくれたのは嬉しかったけど、、、、はっきり言って、邪魔だった。勿論そんな事は言わないですよ、あたしも大人ですから。思っても言いません。

 途中、煮詰まったあたしは、気分転換に船内を歩き回ったんだけど、櫂で進むこの船は、帆船に比べて舷側が低いのが欠点ね。当然、船倉の高さが低ければ積載量も少なくなるし、漕ぎ手を大勢乗せるから、その分更に積載量が減る。二隻の鉄甲船が出来たらこの船にも蒸気機関を乗せようかな?そして、舷側を高くして階層を増やして積載量をもっと増やせば輸送船として十分使えるんでないかな?やることいっぱいだああああぁ。知らず知らず、あたしは髪の毛をかきむしっていた。ストレス溜まるぅぅぅ。


 船は途中問題も無くお昼過ぎには海賊島に帰還を果たした。波止場に着いた後、積み荷の石炭を降ろす作業で港は賑わっていた。あたしは、船長と一緒にジョンの所に報告に行った。船長は報告を済ませるとそそくさと退出して行った。部屋にはジョンと二人だけになったので、秘密兵器について相談した。

「ホーンヘクト でしたっけ?突撃して来る魚」

「うむ、あれは危険な魚だぞ」

「そうそう、あの魚が味方になってくれたら戦いが楽になると思いません?」

「味方に?あの魚が?そんな事が可能なのかい?」

「正確に言うとその習性を利用して敵の船を攻撃させようかな と」

「ほう、聞こうじゃないか。またとんでもない事を考えているみたいだね」

「えへへ、あの魚って光る物に向かって突撃するんですよね」

「そう言われているな」

「まず、ホーンヘクトの居る海域で夜間の戦闘を行うんです。そこで、敵の船を照らしてやるんです。それだけで、ホーンヘクトが敵船に突撃して沈めてくれると」

「なんと、簡単に照らすって言うが、そんな事が出来るのかい?」

「出来るんですよ。もっとも事の正否はマックスさんの腕に掛かっているんですけどね」

「分かった、準備を進めてくれたまえ。わたしが許可しよう。宜しく頼むよ」

「はーい。出来たらテストしますから、見に来て下さいね」

 あたしは、直ぐにマックスさんの元へ向かった。





『異世界転移は義務教育 ふたたび』

始まりました。

今回は、海戦物となるみたいです。

みたいと言うのは、マリエが勝手に動き回るのを、書き留めていくだけの作者なので

話しがどこへいくのかは、作者も知らないのです。

頑張ってマリエの活躍を書き留めていきますので

応援宜しくお願いします。

宜しければ、ブックマークお願いします。


P.S.

『異世界転移は義務教育 ふたたび』は、毎週金曜日か土曜日にUPする予定です。

余裕があれば、週の半ばにもUPしたいです。

勉強しながら書き進めて参ります。


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