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14.橋頭保確保

マリエの異世界冒険第二弾です。

好き勝手に書いて行きますので、宜しくお願いしますね。



本作品に登場する国・人物は架空のものであり、現実とは何の関係もありません。

似たような物を見た記憶があっても、気のせいです。念のため。


 初めての海戦で気勢の上るマリエ達は一路ハワード家所有のサルバトル島を目指していた。初めての海戦を経験した結果、海の上では圧倒的な戦力差があるので決して負けない事が分かった。また、戦争が悲惨で有る事を理屈でなく肌で感じる事が出来た。この二つが大きな収穫だった。

 次の戦いは、今回とは真逆の圧倒的に不利な戦いとなる。相手を殲滅せんめつするのも嫌なら殲滅されるのも嫌なので、十分に作戦を練って行かなくてはならない。

 とは言え、相手の出方次第で作戦も変わってくるので諜報活動の重要性がより高まってくる。

 海戦から四日後、艦隊はサルバトル島中部にある中核都市ブルストの沖合数キロにある無人島、ボーデンに入港した。ここは、一般人の上陸が禁止されている軍管轄の無人島なので、艦隊を隠すにも秘密を守るにも最適だった。

 一行はここにて、艦の修理や物資の補給、兵達の休養を取りつつ、ガリア国軍の動向を伺う事となる。なお、補給船のローズウッドはここまでの航海の途中で座礁してしまった為放棄。今後の補給はホーリーウッドとラングウッドの二隻で行う事となった。

 ハワード家の全面協力のおかげで、物資は次々と運び込まれ兵達も艦を降りて久々のバカンスを楽しむ事となった。島の内部には兵舎が建てられ、食堂や飲み屋も開設されており快適な環境であった。季節も夏に近づいて来ているので浜で泳ぐ者も見受けられた。

 

 数多く建てられた兵舎の一つは、司令部として機能していた。

「ここまでは予定通りです。問題はここからですね。マリエ様に言われた通り、父上にお願いして海岸に巨大な造船用ドックを作って貰っています」

 海戦では出る幕のなかったジョンが広げられたユタ海岸付近の地図を見ながら口を開いた。

「良く、あの疑り深いデミティアヌスが許可を出したなあ」

 不思議そうな顔をしてグレンが呟いた。

「そう不思議でもないですよ、エルトリア侵攻の為にはもっと多くの船が必要だから我がハワード家が全面出資してドックを作りたいって申し出たら、二つ返事でOKしたそうですよ」

 したり顔のジョンだった。

「でも、ただのドックじゃあないんでしょ?」

 身を乗り出して興味津々のオリビーだった。

「もちろん!外見は造船ドックですけど、中身は陽動部隊が立て籠もる防御陣地になっています。腕っ利きの職人を集めて貰いましたから国軍相手に結構持ち応えられる様な規模と強度になっているはずです」

「なるほど。では、ドックの完成を待って、セルの侵攻部隊の壊滅を知らせるのだな?」

「その通りです。そして、デミティアヌス達が山に登って少ししたら、陣地にランドル閣下の陽動部隊を送り込みます」

「お任せ有れ。これでも、大賢者とまで言われた誇りがあります。見事敵の注意を引き付けてご覧に入れましょう」

 もう、吹っ切れた表情のランドルだった。


 ドックに見せかけた防御陣地はもう少しで完成の予定だった。出来上がったら、ジョンは夜陰に乗じて陽動部隊を陣地に送り出してから、漁師に扮した部下を使って侵攻部隊の全滅の噂を吹聴して回るはずだった。

 しかし、ここで燃えた船の残骸が多数流れ着いたとの報告が王宮に上がったとの連絡がトリによってもたらされた。侵攻部隊が全滅したと判断した王宮では、宣言通り二百万の部隊に山越えの命令が下され、先遣隊が出発したとの事だった。又ハワード家にも王宮から赴き、直ちにドッグの建造を中止し、全力で山越えの支援をする様命じられたらしい。

 ジョン達は急遽今後の行動について話し合わなくてはならなくなった。

「ちと予定が狂ってしまったが、大した事ないのではないか?どうせ、全滅の知らせはしなくてはならなかったんだし、手間が省けたというもんだろう」

 グレンは、何をそんなに慌てているのだ?と言う顔でのんびりとお茶を飲んでいる。

「ところが、そう楽観出来なくなったんですよ。王宮からの使者は、ドッグはもういらないのだから直ちに撤去せよとの一点張りで撤去を見届けるまでは帰らないと大変な剣幕らしいんですよ。何でそんな事にこだわるんだか理解に苦しみますよ」

「融通の利かない奴じゃのう。どうするよ、マリエ殿」

「別にぃ、いいんじゃない?帰りたくないんなら帰らなくても。ドッグの視察でもして貰いましょうよ。その最中に何者かに襲撃されてドッグを占領されてもハワード家には何の関係もないんだし、巡視の最中に不慮の事故で命を落とすなんて良く有る事だしねぇ」

 実に悪い笑みを浮かべているマリエであった。だから魔王だって言われるんだよとは、誰も思っても言えないのではあったが。思ってもね。

「取り敢えず、二・三十人送り込もうよ。でもって、その使者を黙らせてドッグを占拠すればいいじゃない。ハワード家の人達には、追い払われた演技をして貰えばいいから。心配なのは、山越えの二百万がこっちへ来ないかって言うその一点だけだけど、もし来たら、、、」

「もし来たら?」

「ランドル閣下には撤収して貰って、奴らにドッグに入って貰いましょうよ。でもって、我々が四隻で海岸に接近して直接叩く。連中の武器じゃあ反撃出来ないから一方的に叩けるでしょ。危なくなったら沖に逃げればいいんだし。人的損害は極力出したくなかったけどこうなったらしょうがないわね。ま、最悪の場合の事だけどね」

「本当に余計な事をしてくれたもんです。分かりました、直ちにトリを飛ばします。我々も大至急出撃の準備に入りましょう」


 突然の事態で一時大騒然となったジョン達であったが、その後の動きは素早かった。トリによって情報がもたらされて二時間後には艦隊主力の四隻は港を離れ遥か洋上を航行していた。補給船の二隻は主力艦より先に出航したものの手漕ぎで速度が出ない為、直ぐに追い越されて後から追い付く事となる。

 最初に上陸するランドル以下の三十名は四番艦のカブールに乗っていた。この艦には、以前遊びで造って居た小型の蒸気船が六隻甲板に係留されていた。この小型ボートはシンヨウと呼ばれ定員は十名で上陸する際、海岸と母艦を往復する事になっていた。

 艦隊は全速でキレーネの港近くにある造船ドッグに向かっていた。上陸は日が落ちてからになる。全速航行していると甲板上では台風並みの風をまともに受ける事になるので、基本乗組員は艦内で待機している。見張り当番だけはマスト上に造られてある見張り台の上で暗くなりつつある前方海面を睨んでいた。

 艦橋内には、ジョンをはじめとした主要メンバーが詰めていたが、造船ドッグの様子が心配でみな険しい顔をして前方を凝視していた。マリエを除いて。

 マリエはというと、連れて来たリクガメの玄武に餌をやっていた。いついかなる時も緊張感の無いのがマリエだった。

 次第に夜のとばりが下りてきてあたりは暗闇に支配されつつあった。しばらく進むと見張り台から報告が入った。

「前方に灯り三つっ!ドッグですっ!」

 艦橋から飛び出して前方を凝視すると遥か前方にかすかにではあるが、小さな灯りが三つ並んで見えた。目印の為にドッグで灯されている松明の灯りの様だった。

 暗くて見えないが、カブールでは、シンヨウ三隻に上陸部隊第一陣を乗せる準備がなされている頃だろう。やがて、速度を落としたカブールから兵を満載したシンヨウが降ろされ海岸に向け発進する予定だった。灯りは次第に大きくはっきりと見えてきた。ジョンが艦長のコリンを見て頷いた。

 コリンはマストに続く伝声管を掴んで叫んだ。

「上陸部隊、発進っ!」

 間髪を入れずマストの上でランタンがくるくると回された。すると、ぐぐっと加速が鈍り海上に停止した。おそらくやや右前方に居ると思われるカブールがシンヨウを海上に降ろしている頃だが、真っ暗で見えない。

 この後艦隊は、海岸に静かに近づき投錨して上陸部隊の支援に回る事になる。現時点では、まだデミティアヌス率いる二百万の動向は不明で不気味ではあるが、もう歴史は動き出してしまっている、立ち止まる事は出来ない。

 アルビオンの艦橋内は緊張に包まれており、口を開く者はだれもいない。ただ、重苦しい呼吸の音だけが暗い艦橋内に響いていた。


 その頃、ドッグ内ではひとつの戦いが終わっていた。まったく疑いを持たない王宮の使者一行をドッグへ視察と称して誘い込み、取り囲んで全員を武装解除してしまった。これで当初の予定通りとなったので、二千名の陽動部隊も無事に防御陣地に入場して配置についた。

 国軍がこちらに向かってくる気配が無いのでランドル達陽動部隊は安心して防御陣地の強化にいそしめた。

 そして半月が過ぎ、侵攻部隊は遥かに続く山脈の中に飲み込まれていった。




『異世界転移は義務教育 ふたたび』

始まりました。

今回は、海戦物となるみたいです。

みたいと言うのは、マリエが勝手に動き回るのを、書き留めていくだけの作者なので

話しがどこへいくのかは、作者も知らないのです。

頑張ってマリエの活躍を書き留めていきますので

応援宜しくお願いします。

宜しければ、ブックマークお願いします。


P.S.

『異世界転移は義務教育 ふたたび』は、毎週金曜日か土曜日にUPする予定です。

余裕があれば、週の半ばにもUPしたいです。

勉強しながら書き進めて参ります。


 本年は年末に身内の不幸が続いたので喪中となります。

皆さまは、素晴らしい一年を過ごせます様にお祈り申し上げます。


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