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魔法修行の砂時計
こちらの話は、第6回300字SSポストカードラリー(お題:時計)の参加作品です。
母にして魔法の師からもらった砂時計。これが、私の修行の相棒だ。
最上の魔法には、魔力の質に加えて、魔法陣を描く時間もまた重要だから。
砂時計をひっくり返して、私は今日も魔法の鍛錬に励む。
何度か練習して、どうにか丁度いい時間に魔法陣を描けた。
せっかくなので、砂時計を見ないで描いてみる。
魔法陣を描き終えてから時計を見ると、砂はとっくに落ちていた。
「砂時計を見なくても、速く描けるようになりなさい」
と母は言ったけれど、その領域にはまだ遠いようだ。
どれだけの砂が落ちれば、魔法を完璧にできるのか。
どれだけの砂が落ちれば、あの人を守れる魔法士になれるのか。
私は遠き夢を見据えて、また砂時計をひっくり返した。