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山の守護者と翔ける空
こちらの話は、第8回300字SSポストカードラリー(お題:架空生物)の参加作品です。
岩のような肌を持つ山の守護者は、木の葉の羽を羽ばたかせ、ソルシア王国の空を巡る。その巨大な背に跨るのは、第二王子とその恋人だった。
「また君と空を飛べて、嬉しいよ」
風を感じながら、王子は守護者に声をかける。王子と恋人は多忙を極めている故、状況が落ち着き、時間が取れる頃合いを見計らって、守護者に会いに行った。
守護者には二人の縁を結び、危機を救った恩があった故、二人が元気にしているかと思うのも自然であったし、変わりない様子に安堵していた。
「ぎぃ」
守護者は、心地よさそうに鳴きながら、天へと羽ばたいた。そして、王都の街並みが一望できる方角へと向かった。そこに炎と破壊無きことが、彼らの幸福であった。