恋は一進二退
映画デートだが優斗と千鶴にとっては「デートだったら最高だった」という二人の表上ではデートではないが実際傍から見ればデートだった謎のデートが終わって次の日、学校では。
「(うわーーーー、めちゃくちゃ最高な一日だったのに何にも進展してねぇーーーー!!)」
優斗は頭を抱えて心の中で悶え叫んでいた。
「(誰か昨日の私を殺してーー、何にも進展してないじゃない。せっかくの二人っきりの時間だったのにゲームだとあの時間こそが親密度激アップというめちゃくちゃ大事な時間でしょ!!)」
同じく千鶴も悶え叫んでいた。
「優斗!再来週テストだけど勉強教えてくんね?」
桐谷が優斗の背中を叩いて人の気も知らないで話してくるがもはや優斗にとっては慣れたこと。
「え?ああそうか、というか桐谷お前、前回自分でやるとか言ってなかったか?」
「さ、さぁ〜〜知らないな〜〜覚えてな〜い」
口笛吹いて明らかに覚えているが覚えてないフリをする桐谷にほんの少し睨む優斗だったが断る事に泣きながらすがりつかれるため結局分かったと答える。
「しゃあ!よし、今週の土曜日優斗ん家集合な!!」
「容赦ねぇな。少しは遠慮するとかしろよ。その前に俺の身にもなれ」
「遠慮なんかしていたら後悔するぜ、じゃあよろしく!」
桐谷はもうテストに勝った気で大笑いしながら他の友達とどこかへ行ってしまう。
「本当にアイツは……(だが、遠慮なんかしていたら後悔するか、桐谷にしては地味にいい事言うな)」
ふと桐谷の言葉に突き動かされたのか優斗は不意に席から立ち上がり千鶴の所に行っていた。
「ち、千鶴?」
「ん?え……ゆ、ゆゆ優斗!?(急に現れたからビックリした〜)」
「えっとその〜〜テスト勉強一緒にしないか?」
「テスト……べんきょう?」
「ああうん、その桐谷の奴がまた頼んできてさ今回は桐谷の他にも真理も呼ぼうかなと千尋は学年は違うけど一年下だから教えることも出来るしいいかなって……(桐谷お前をダシに使わせてもらったが正直いらない。なんかありがとうとごめん)」
勝手に風評被害を受け勝手にお礼を言われた桐谷はクシャミをしたがそれは優斗と千鶴は露知らずまた桐谷もただのクシャミだと思っていた。
「勉強か〜(うぅ二人っきりじゃない……でも一緒に勉強出来るなら……ああでもちーちゃんが〜……)」
「嫌なら大丈夫なんだけど……」
「行く、行きます」
「良かった。じゃあ俺は真理を誘うから千鶴は千尋をお願いしてもいいかな?」
「うん分かった、あ。勉強する場所は?」
「一応俺の家だけど嫌だったら別の場所に……」
「ああーー大丈夫大丈夫うん大丈夫(家とか最高のシチュエーション。けどまあ他の人もいるけど行かないよりはマシか)」
「(あ、でも部屋片付けてない。ここは別の場所に変えてもらおうか)ごめん、やっぱ他の場所……」
「優斗の部屋が一番落ち着くんじゃないかな?」
「えっ!?」
「あっ違うのその〜〜……(食い気味に言ってどうするのよ私ーー!)」
「(これはまさか…………千尋の彼氏として試されてるのか?いやそんな部屋まで確認するのか?しかしここで断ってもし千鶴が千尋に別れるような話になったりしたら……いやそこまでには発展はしないだろう、だが……だがもしそんな可能性があれば……)」
完全に沈黙する二人に突然割って入ってきたのは真理は元気に沈黙を打ち破ってきた。
「おっとお二人さんおひさ!日曜日楽しかったね」
「ま、真理!?」
「おわっ!?」
「日曜日二人何してたの?」
「え?に、日曜日?」
「うん。だって彼氏彼女みたいな感じで私をのアルバイト先に来たから驚いたよ」
「彼氏彼女!?」
「うん。とてもお似合いだったよ〜〜ちょっとね〜千尋ちゃんに〜写真撮って送っちゃった〜」
ニコニコしながら日曜日に二人でパフェを食べてるところを写真を撮ってちゃっかり千尋に送ったメールを見せる真理。
「えぇーーーーー!!ちょっ、まま真理!?何やってんのよ」
「いいじゃん、千尋ちゃんからは「お似合いだね」って返ってきたよ」
「ああああどどどうしよう、ちーちゃんになんて言おう」
慌てふためく千鶴に真理の頭を軽く叩く優斗。
「真理。盗撮はダメだぞ、別に俺達はそんな関係で遊んでいた訳じゃない。単なる親友同士で遊びに行っただけだ」
「もう冗談で言ったつもりだよ」
「冗談でも気をつけろよ、それにその時はちゃんと千尋も理解した上での遊びだったから大丈夫だ」
「は〜〜い」
真理は口を尖らせてブツブツと文句を垂れる。
「(あっぶねぇ〜。なんとか平常心で乗り切ったが真理の野郎……意外と要注意人物かもしれねぇ……)」
「(なんと優斗が言ってくれたけどやっぱ私との関係は単なる親友なのかな……)」
なんとか乗り切った優斗だったが逆にそれが千鶴をほんの少し遠ざけてしまったことには気付かずに話が進む、そしてその週の土曜日から優斗の部屋で勉強会がすることが決まり、真理は途中でバイトで抜けるという条件がありつつも決まった。そして授業中にメールで勉強会の事を千尋に伝える千鶴。
「(勉強会か〜、勉強も得して恋愛を傍観するのも得する。まさに一石二頭だね……二頭?あれ?まあいいか)」
勉強会のメールの後に日曜日の謝りのメールが続けてる届く、千尋は全然気にしてないことを伝えたのちに変なスタンプも付け足してメールを返した。