ジョークの神様 他8篇
【たこ】
タコをエスコートしている男性が言った。
「足元に気をつけてくださいね」
タコが言った。
「どの足元ですか?」
【ことわざ】
名は体を表すということわざは有名であるが、これを初めて言った者の名前が、[嘘 付介]であることはあまり知られていない……
【いびき】
「お父さん、いびきうるさいから止めてよ!」
「そんなこと言うなよ。それに、お前のいびきだってうるさいじゃないか」
「私のいびきは、お父さんのいびきにかき消されるからいいの!」
【金持ち】
金持ちの男性が女性に言った。
「君はボクの命の次に大切な人だ」
「本当?」
女性は目をうっとりとさせて言った。
「あなたが持ってる財産よりも?」
男性が答えた。
「あれはボクの命より大切なんだ」
【テスト結果】
母親が、テストの結果を見せるようにと息子に言った。
「どうぞ!」
息子は、母親の顔の目の前にテストをかざした。
「ちょっと、近い! なんでこんな見せ方するのよ⁉︎」
「遠近法で、近くから見せたら大きくなるかなって……」
【水責め】
密室に男が閉じ込められていた。
「ふはは! 水責めにしてやる!」
「やめてくれ!」
天井から大量の水が落ちてきた。
「俺に最後のチャンスをくれ!」
「いいだろう」
モニターの中から男の声が響く。
「このコインを投げて、絵の描かれた表が出たら、貴様の足首あたりで水を止める。数字の書かれた裏がでたら、頭に届いたところで水を止める。いいな?」
「よし」
コインを投げると、数字の書かれた裏が出た。
「くそっ!」
水は男の頭に届いたところで止まった。かくして、逆さ吊りにされていた男は無事延命できたのだった。
【メロンパン】
「あ、メロンパン食べてるんだ、おいしそうだなー」
「半分あげようか?」
「いいの?」
「うん!」
下半分をもらった。
【宝箱】
大冒険の末、宝箱を見つけた。
「やった! 中身はなんだ⁉︎」
「わからないけど、すごく重くて、持ち上がらないぜ!」
「宝がたくさん入ってるんだ、2人で持ち上げよう!」
2人でやってみると、簡単に持ち上がった。中身はなんと、空っぽだった。宝箱の下を見てみると、接着剤がついていたあとが……
【ジョークの神様】
ジョークについて考えてると、時々思うことがある。
「この世にはもうジョークは存在しないのではないか」
その考えに至った時、私は恐ろしい気持ちがする。もうジョークが存在しないなら、いくら考えても時間の無駄だ。もう考えるのをやめてしまった方がいいのではないか。
そんなことを思うのだ。
「ジョークはまだ存在する!」
不意に謎の声が響いた。
「ジョークはまだ存在する!」
「誰だ!」
振り返ると、杖を持った老人が立っていた。
「ワシはジョークの神じゃ。ワシが生きている限り、ジョークは存在し続ける!」
「うるせえ!」
私はジョークの神を殴り倒した。
ジョークの神は死んだ。
おつかれ様でしたm(_ _)m