流れ星 他8篇
【鬼ごっこ】
千手観音が言った。
「鬼ごっこする人、この指とまれー!」
「どの指だよ」
【チョコレート】
「なあ、カカオ300%のチョコレートってどうやって作れば良いんだ?」
「お前はばかだな、そんな物作れるわけないだろ。なんでそんなこと訊くんだよ?」
「妹にバレンタインチョコもらったんだけど、3倍でお返しちょうだいって言われて……」
【流れ星】
「あ、流れ星だ!」
「願い事3回言わなきゃ!」
「イチオクエンクダサイイチオクエンクダサイイチオクエンクダサイ!」
流れ星が応えた。
「何言ってるんだかわかりゃしない! もっとゆっくり言ってくれ!」
【勉強】
仲良し2人組で勉強をしていた。
「よし、そろそろ休もう!」
「始めて10分しか経っていないんだけど」
「あんまりやりすぎるのは良くないと知ってるからね」
「賢いな」
「でしょー」
「やらなすぎるのが良くないことを知ってたら、もっと賢いけどね」
【麻酔銃】
謎のメガネの少年から腕時計の形をした麻酔銃をもらった。
これで嫌なあいつを眠らせてやろう。さあいくぞ、3、2、1、発射!
短針が吹っ飛んでいった! あれが麻酔針だったのか! もう時間がわからない……
【記憶力】
「俺の記憶力はすごいぞ。先週食った飯のことだってはっきり覚えてるんだ。」
ある男がそう言った。
「そんなもの、全然すごくないや」別の男が言った。「俺なんて、30年前の朝飯だって覚えてるんだぜ」
「嘘に決まってる。本当だと言うなら何を食ったか言ってみるがいい」
「母乳さ」
男は得意げに言った。
【ダイエット】
花子が太郎に話していた。なんでも、ダイエットのために何度走ろうとしても嫌になってやめてしまうという悩みがあるらしかった。
「そうだわ、私と自転車をロープで結ぶから、太郎、あなた自転車に乗って先導してくれない?」
「そんなの危ないよ」
太郎は止めようとしたが、花子は聞かなかった。結局、実践することになった。
「辛くなったら言ってくれー」
と、太郎が言った時には、すでに花子は走れなくなって引きずられていたのだった。そこに友人が通りかかった。
「おーい、何やってるんだ!」
「見てのとおり、花子のダイエットだよ!」
「花子のダイエットだと?」
友人は引きずられている花子を見ながら言った。
「てっきり、花子でダイエットしてるのかと思ったよ」
【誕生日プレゼント】
今日はわたくしの誕生日。お父様からは可愛いバッグ、お兄様からは綺麗なネックレス。そしてお母様からは淑女のマナーブックvol.25をもらいました。昨日は、vol.24をいただきました。明日はきっとvol.26をくれるでしょう……
【ウィンドウ・ショッピング】
「お兄さん、お兄さん、窓を買いませんかー」
街を歩いていると女性に呼び止められた。
「ほう、窓を売っているのか」
「はい、お安くしておきますよー」
「これがホントの、ウィンドウ・ショッピングだな」
言いながら俺は笑った。女性も笑った。
「どうなさいますか? お買いになりますか?」
「いや、買わない」
俺は応えた。
「今日はウインドウ・ショッピングに来ただけだから」
次回最終回です(^-^)v