表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強火力の脳筋無双《バカサラス》  作者: 入江晃明
season1 導かれたバカ達
7/45

第07話 結局はノリとタイミング

「はいはい皆さん、スクリーンへご注目!」


 と、高いテンションでほざいているのはこの学園の理事長様。

 その有り余る権力を持って、一介の学生である私達をここに集めていますとさ。


「琴音ちゃあん……そして光ちゃん。

アンタ達の彼氏が今、どうなっているか気になるでしょ?」


「いや全然」


「そのまま知らない場所で野垂れ死んでくれないかしら」


 埋葬の責任もないしね。


「辛辣というか……ある意味信頼されているというか。

奇妙な恋愛観よね、貴女達も。

でも世の中、そんな冷め切ったカップルばかりじゃないのよ?」


 そらそうよ、だって私と凰染(アイツ)はカップルでもなんでもないのですから。

 まぁ……そういえばもう一人、この上映会に招待されてたっけ。












「まぁ良い、だがとくと聞け」


「貴様等が相対す、我等の名を」


 舞台は変わって地下牢。

 凰染、絶鹵、詠斗の三人は、出口を守る番人との決戦を目前に。


「我は阿暁(あぎょう)


「我は吽暁(うんぎょう)


「「二人揃って、阿吽ブラザーズッ!!」」


 自己紹介&完璧息の合った決めポーズをくらっていた。


「メルシー」

「ボークー」

「自己紹介、恐縮の至り」


 三人ぴったし言い終えてぇ!


「俺は凰染」

「俺は絶鹵」

「僕は詠斗」


「三人揃って……」


「チームヴァイオレント!」

「三分の一の純情な劣情!」

「ヨミット・コミット・プーギーズ!」


 そして台詞もポーズも噛み合ってるのか合ってないのか、イマイチよく分からない三人だった。


「……んまぁいい、とっとと捻り潰してやろうじゃねぇの」


「凰染……お前が言うかお前が」


 現状凰染くん、素手以外の交戦手段がありません。


「そうも言うが、貴様等の神遺武装(アーティファクト)は没収されているのではないか?」


 当然番人さんも重々承知のご様子で。

 さっきまでの豪胆さも徐々に、迫力を無くしていき。


「虚勢も貼れなきゃ生きてげねーのかお前は」


「うるせぇ……格好ぐらいつけさせろ」


 しょんぼりーんしていたところを絶鹵に突っ込まれた。

 強そうなムーブくらいさせろってんだてめーはッ!


「だがそれでは面白くない、ホレ」


<カランカラン>


 番人の一人が懐から取り出し、凰染の目の前へ投げ出した。


「これは……輪廻無双刃(オルティナ・チャクラ)!」


「それは貴様のだろう?

使え、そして本気で我々に向かってこい」


 明らかに舐められている。

 これは敵に塩を送っているのと大差ない行為だ。


 当然、凰染はキレる。


「おいテメェ……こりゃ、どー言うつもりだぁ?」


「どうも何も、素手の貴様など相手にならぬと言っておるのだ」


「そー言うことじゃあ、ねぇ!!」


<バゴン!>


 凰染は目の前に置かれた、輪廻無双刃(オルティナ・チャクラ)を蹴飛ばしたッ!

 それを投げつけた番人の首を、狙いつけて!


「ぬぅん、隙をつかれた……か」


 間一髪、飛んで来た輪廻無双刃(オルティナ・チャクラ)を避けた番人。

 だがその避ける動きこそ、絶対の隙となることを知らずに。


「回り込んだぜ……ハゲ」


「まずい……」


 番人の背後へ立つ凰染。

 絶対の隙を逃さんとする為に、蹴りを打ち込む。


<ドガン!>


「人の物を、ゴミみてぇに投げ捨ててんじゃあねぇぜこのタコッ!」


 クリーンヒット!

 凰染の一撃は確かに、番人の脇腹へねじ込まれる。


「決まったな。あっちの坊主は凰染、俺はこっち。

で、詠斗……オメェはどうする?」


「どちらとも……援護に徹しますよ」


「OK、そいつぁやり易くて助かる」


 絶鹵、詠斗もまた、自分のやることを明確に認識した。

 凰染が阿暁を、絶鹵が吽暁を、詠斗が両者を援護とそれぞれの役割を分けて戦う為に。


「言ってなぁ、絶鹵。

こっちはもう終わったぞ、俺の蹴りが直撃したんだ。

くたばりはしなくとも、内臓はもういかれてんだろうって」


「バーカ、よく見ろ」


 凰染の蹴りが直撃したはずの阿暁は、ピンピンしている。

元からダメージがなかったわけではなく、その能力によって。


「……霧、いや雲かッ!?阿暁(コイツ)の体から、僅かだが!

霞みてーな物が漂って来やがる!」


属性(ディマギア)の能力者……」


 そう、ならば凰染の蹴りが効かなかった理由になる!

 この兄弟の前では、あらゆる物理攻撃が無効となるのだから!


「その通り、我等兄弟」


「兄が雲、霧が弟」


「世にも珍しい、属性(ディマギア)に適合した兄弟!」


属性(ディマギア)属性(ディマギア)持ってしか制することはできない!」


「されば柳絶鹵よ、この勝負貴様一人に御しきれるか!」


 兄弟の言う通り、属性(ディマギア)の能力者であれば、同じ属性(ディマギア)の能力者にダメージを与えることができる。

 だがそれは同時に、属性(ディマギア)でなければ属性(ディマギア)は攻略できないということ。


「本来ならば、そうだろうな」


「何?」


<バゴン!>


 効こうが効くまいが構わない。

 凰染は、属性(ディマギア)の阿暁に間髪入れず殴り込んだ。


「馬鹿なことを、通用しないと言ったであろうが!」


「それでも属性(ディマギア)ってなぁ、いくらでも押し切れるんだよ。

そして凰染はなぁ、意地でもそいつを押し切るんだよッ!」


輪廻無双刃(オルティナ・チャクラ)……猛烈!乱舞爆現(ラーズアルーガ)ッッ!!」


<<ズババババババッシャアア!!!>>


 微塵、微塵、微塵斬りィ!!

 阿暁が粉微塵になるまで、凰染の乱舞は終わらない!!


属性(ディマギア)をゴリ押しで突破するだとッ!?

聞いたことないぞ、そんな無茶苦茶なッ!!」


「されたんだよ俺はッ!!

テメェ等もその能力にタカを括って、やられちまいなッ!」


 煉獄牢番人、阿吽ブラザーズとの決戦……開始ィ!!!
















「これやらせかったから、アイツ等牢にブチ込んだの?」


「その通りよん」


 理事長様はいったいどんなお考えでこんなことしてるのか。

 そしてそれをなんで私達に見せつけてくるのか。


「まぁ、これも全部貴女達のタメってことで」


 しっかりと見ておきなさい。

 貴女達のパートナーの全てを……

 琴音ちゃん、光ちゃん、そして……或子(あるこ)ちゃん


 次回へ続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ