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最強火力の脳筋無双《バカサラス》  作者: 入江晃明
season1 導かれたバカ達
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第06話 自分という名のプリズンブレイカー

「轆轤凰染、柳絶鹵、両名!

二度に渡る学園施設の崩壊……一度は理事長によって黙認されたが、二度目は無いッ!」


 裁判所みたいなところ。そこで凰染と絶鹵は椅子に縛り上げられていた。


「よって……審議会の結果、両者を無期の『煉獄牢(れんごくろう)』送りとするッ!」


 ただしこの判決、居眠り中の二人には届いていなかった。

 


 それでも決議——【有罪】ィィ!!









 


 

「むにゃむにゃ琴音、ご飯」


 場面は移り、薄暗い地下牢へ。

 陰気臭いその一室で、凰染は未だ眠りんしていた。


「ほら起きろ凰染」


「にゃあ〜、あと1時間」


「起きろって凰染この野郎」


「あ痛ッ!って、なんかデジャヴ……」


 地べたに寝転んでいる凰染を蹴飛ばしたのは、絶鹵。

 どうやら二人は同じ牢獄に入れられていたようで。


「あれ絶鹵、なんで寝起き1発目でお前の顔見なきゃなんねぇの?そんで、ここどこ」


 目を覚ました凰染は起き上がり、自分が置かれている状況に疑問を覚えながらも、焦りはない模様。


「つーか飯ねぇの、腹へったんだけど」


「んなこと俺に言うなよ……」


 それどころか飯の要求、とことん能天気である。


「それより、とっとと出るぞこっから」


「出るって、だからここどこ?」


「分からん、だから力ずくで脱出する」


 そう言うと絶鹵は、軽く振りかぶって。一撃の元に、牢屋の鉄格子をへし折った。


<ゴバキィ!>


「……っま帰れりゃいっか」


「早く行くぞ」


「ほーい」


 この二人、前回喧嘩が終了して即この場所へ監獄されたと言うのに案外仲が良さそうである。


「ところで凰染よ、武器はどうした?」


「あん?そういや」


 牢を出て歩き出したところ、絶鹵がそう俺に聞いてきた。

 コイツが言ってんのは輪廻無双刃(オルティナ・チャクラ)のことだろうが、どうにも懐にはねぇな。

 取り上げられてから牢に入れられたのか、ここ失くしたのか……

 どっち道、人様のもん勝手に持ってぐような奴は許せん。

 なんのつもりか知らねぇが、そんな奴はここ出たらぶん殴る。


「武器なしでどこまでやれる?」


「素手じゃあな……お前にゃ勝てねぇ」


「それはどーも、足手まといにだけはなってくれるなよ」


「なんだテメェ、喧嘩売ってんのか?」


 口は悪いけど、仲はいいんですコイツ等。

 そんなノリで話しながら、出口を探して歩き回っていた二人だが。

 その道中で面白いものと出会うことになる。


「……凰染、早速だが下がってろ」


「テメェに守られんのも癪だが、そーするしかねぇよな」


 臨戦態勢に入る二人。

 その前には、複数体のモンスターがいた。


「狼かぁ?痩せ細ってまぁ」


「その分凶暴だ。それに、ただの狼じゃねぇ」


 絶鹵の言うとおり、コイツ等は単なる野生動物ではない。

 異能力の存在する特殊な環境下において、絶えず変化し生き抜いてきた変異種。

 その実力は、到底並みの人間では敵わない。


「来たぞ凰染!」


「分かってらぁ!」


<ババキ>


 死纏滅殺拳(デスクロス)によって死を纏った絶鹵の拳は、一撃で容易に狼の肉体を破壊する。

 だが死を纏わない凰染の拳では、狼の肉体に対して……


<ゴギィ!>


 普通に効いた。

 素手で狼達の頭部を粉砕、内臓を破壊!

 だが如何せん狼は頭数が多く、それほど減っていくようには見えない。


「次から次へと……キリがねぇ」


「1発でカタをつけてぇところだが、それにゃ凰染お前が邪魔だ」


「心配してくれるたぁね、ありがとよ!」


 それでも数は減らない、ましてや引こうとする様子もない。

 これじゃあ少しやばいか?そう二人が考えた時。


「シュートッ!」


<ババババババババンッ!>


「!?」


 目の前に居た狼全てが、何かに頭を撃ち抜かれ倒れていった。


「あの弾道……発射口は、後ろ!」


 二人は即座にそれをやった者の気配を感じ取り、自らの背後を向く。

 するとそこには……ボロボロの服を着た男が立っていた。


「テメェ何者だ……いや、助けてくれたのには礼を言うが」


「……かった」


「あん?」


「良゛か゛っ゛た゛よ゛生゛き゛て゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!!!」


 男は泣いていた、滝のような嬉し涙を流しながら。












「フガフガフフフガフフフガフ(まさか俺達以外に捕まってた奴がいたとはな)」


「ガフフフフガガフガフフフ(良かったですよぉ……僕以外にも人が居て、ずっと心細かったんですからね僕)」


「ガガフフガフフフガガフガフガフググフガ(だが助かった。あんな精密な攻撃、俺にゃ出来なかったからな)」


 ひとまず狼の脅威を退けた凰染等は。

 仕留めた狼達をありがた〜く、いただいていた。


「ハミっと、ふぃ〜ごちそうさま。

さてさて、そーいやアンタの名前聞いてなかったわ」


 一通り食べ終わった凰染は、その、先程出会った人物にそう聞いた。


「ゴック、ん……そういえば言ってなかったですね。

僕の名前は『虚貴詠斗(うろぎよみと)』、ともかくよろしくです」


「よろしくな、俺は轆轤凰染。そしてこのアホ面は柳絶鹵だ」


「誰がアホ面だ」


 のほほんとした詠斗くんと、どう見ても尖っているその他二名。

 一見まるで似つかないコイツ等だが、どうにも同調し合っている。


「にしてもアンタのこれ、凄ーな」


 と、凰染が指を指して言うのは詠斗の神遺武装(アーティファクト)

 複数の分厚いカード上に別れたそれから、その中に記憶された事象を呼び出すというもの。

 実際に先程の狼を焼き上げる為に、カードから炎を出現させた。


「便利さにおいちゃピカイチだな。

俺のにもこんぐらい利便性ってのが欲しかったぜ……」


「だな、絶鹵……

俺達の能力って、火力出す以外脳がねぇもんなぁ」


 ホント、脳ミソまで筋肉ですいません。


「いやいや、強いだけで十分ですよ。

それに、強くなくては何も得られない……」


 まったくもってその通りだ。

 等は強ければいい、それでいいんだ。と、僕はそう思いました。


「それより早く、ここから出よう。

君達も気付いているだろう?出口の在り処を」


 そのトーリ、その通りだよ詠斗くん。

 俺と絶鹵はそこへ向かって進んでいた。

 天井でもぶち破って逃げればいいって?勿論それも考えた、つか実行した。

 ……だがそれだと、こっから地上まで手掘りになりそうなくらい地下の地下と来た。

 諦めた、そして通常出入りに使う搬入口か何かを目指すことにした……


「出口はあれだろ、お決まりのように番人が構えてる。

だったら、この地下で一際強い気配を感じ取ればいい」


「そしたら自然と、出口に着くわけだ」


 そしてその場所は、もうほんの目と鼻の先。


「ルート的にはここを右折だが……

めんどくせぇ、蹴破れ絶鹵」


「命令すんなって、だがそうするに決まってる」


「早く出たいしね」


<ドゴンッ!>


 出口まで続いた壁の全てを蹴散らし、そこへと足を踏み入れる三人。

 そこには当然居るであろう、番人と相対す。


「これはこれは、なんと無粋な」


「扉の開き方というものも知らぬのか貴様等」


「すいまっせ〜ん、ちょっと僕等道に迷っちゃって〜」


「いやなに、俺をブチ込んだ連中に恨みがあるだけで、その飼い犬に興味はねぇよ」


「ともかく、ここは通させてもらいます」


 次回へ続く。






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