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最強火力の脳筋無双《バカサラス》  作者: 入江晃明
season1 導かれたバカ達
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第03話 ドキッ!男だらけの身体測定 

「それでは次の方、お願いします」


「ほいよ」


 鬼城学園入学一日目

 ん?学園なら、入学じゃなくて()()か?

 て、んな動物園みてーな言い方もねぇか。


 ともかくこの俺、轆轤凰染(ろくろおうぜん)様はこの学校に来たわけだが。

 で、初日はなんか……その、一般的にはよくあるんだろうけど。

 身長とか体重とか、そ~ゆうのを測る、何だ?身体測定ってのを受けてるんだが。


 ってのも今まで俺、こーゆうのやったことないんだよ。

 今まで家に篭ってて、外に出たのもこの学校が初めて。

 小学校とかも行ったことないし、そもそも授業とか何?


 一応、剣術稽古なら微妙に付けてもらったことあるんだが。

 そんときゃこんなこと、やった覚えないし……


「あの〜、聞いてます?」


 っと、んなこと考えてる暇じゃなかった。次が俺の出番なんだってな!


「それではここから、体力測定に移らせていただきます

先ずはこちら、砲丸投げとなります」


 なんか係のにぃちゃんが、俺の手にまぁるい玉を渡してきた……何これ?


「この測定では、こちらの玉を思いっきり投げてもらい。

その玉が着地するまでの、飛距離を測らせていただきます」


 ああ、要するにこれ投げろってことね、りょーかい。


 とゆーわけでその場から、振りかぶってプレイボール!!


「あ、助走はもう少し後ろから掛けてもらって構いま……」


<ヴァビオン!!>


「…………っはい?」


 彼方へと飛んでいったボールであった。


「これでいいか?」


 ともかく力一杯、前方向へぶん投げてやった。

 こーゆう玉投げってのは、親父とキャッチボールしたぐれぇしかないから。

 ……そう得意か自分じゃ分からねぇが。


 係のにぃちゃんのあんぐり具合を見る限り?

 こりゃ多分、そーとーな距離いったな。


「えっと……天井を突き破っての計測不能っと

…………はい、次へどうぞ」


 なんか曖昧だなー、これいいのか?


「次はバーベル上げ……」


「これで重さMAX?」


 片腕でいけた。


「幅跳び!」


 K点越え。


「反復横跳び!」


 残像だ。


「柔軟性!」


 俺の両足は水平よりも開く!

このままリラックスして、映画でも一本見れそうだ。


「徒競走!」


 再び、残像だ。


 その悉くを、人類の積み重ねて来た全てを。

 この男はたった一人で凌駕する!(オリンピック記録)


 唖然とする周囲、それもその筈。

 自らが知る、『人間』という生命体の限界を超えた。

 ()()()()()()を目にしたのだから!


「おいおいおいおいおいおいおいおいおい!

どーなってんだぁ、()()()()()()!」


「おかしいだろ!いやおかしいだろ!

()()()()()()()()()()()じゃあねぇだろ……」


「さっきのも凄かったが、一体何人いるんだよ……

()()()()()()()()()()!」


 ……共?

 今野郎、化け物()って言ったか?

 まるで何か、複数人に対して言っているように……


「邪魔するゼィ」


 俺の脚力は、人の認識をも遥かに凌駕する。

 そいつに追いつくなんざ、まず出来やしねぇ。

 だがここに、俺の隣に……

 ()()()()()()()()()()()()()()!?


「オメェさん、早いじゃねぇの。

でもあまりに独走じゃあ、張り合いねーだろ?

俺も同じだ、なんで少し遊ぼうぜ」


 そう言った男は、平然と!

 俺と同等の速度で、真横を並走してきやがる。


 こっちも手を抜いているとはいえ、この速度。

 超有名なオリンピック選手の公式記録ですら、余裕で追い抜いてるっつーのに……

 それでも付いてくる……コイツは、早い!


 ()()()()()()()()()()()()()

 未だかつて、身体能力において敗北を知らず。

 そして今……凰染はこの、敗北に対しての漠然とした恐怖を!生まれて初めて、心の奥底で感じ取ってしまったからだ。


 負けられない、そう俺の体が疼く!

 どうしても()()()()()()()、どうしようとも……


「負けねぇよ……」


「うおぅ、やる気ぃ」


 この瞬間、凰染は計測対象である十周を超えた。それでも尚、この二人の加速は止まらない!


「数え間違い……じゃないよな?

もうアイツ等、十周走り終わって……え?

そもそも、あの一人は……もうさっき。

()()()()()()()()()じゃないか?」


()()()()()()()

測りは終わったが、目安がなきゃ決着つかんでしょう」


「じゃあ、後一周!」


「ああ!それ言う前に加速すんなよ!」


 ただの一周、されど一周。

 この二人の間で誓われた決着は、()()()()()()()()()


「勝った、一歩!俺の勝ちぃ!」


 勝利を宣言する凰染。


 だがほぼ横一線に、ゴールテープを切った二人。

 そのゴールの瞬間は、誰であろうと視認ができなかった!


 よって、第三者による勝敗の判定は不可能!!


()()()、俺の勝ちに決まってんだろうが」


「なーにを、テメェ……

つーかこれ、どうやって決着つけんだよ」


「そりゃオメェ、第三者に判定してもらうしか……ねぇ、お兄さん」


 そしてその判定は、規定通り係のおにいさんに一任するものとした。


「え、俺ぇ!?」


 しかしこのお兄さんもまた、先ほどのゴールシーンを捉えきれてはいない。


「そりゃそうだな、何より『公平性』だ。

そら分かってるよね、お兄さん」


「いや、あの、その……

なんつーか、見えなかったっつーか……

どっちもどっちだったっつーか」


 答えをはぐらかすお兄さん。だがそれでは、この二人は決して満足しない!


「それじゃいけねぇよ、まるで()()()()()()()

白黒はっきりつけないとねぇ、お兄さん」


 真顔である、この二人。

 一連のやり取りにおいて感情はまるで読めはしないが、ただ一つ『俺が勝っている』と明確な圧力を放っていた!


 ここでお兄さん。

 答えずとも答えようとも、その圧力は明確な殺意にかわる!


「で?結局どっちだ、言ってみろよ兄ちゃん」


「当然、()()()()()?」


 自らの死を予見してか、お兄さんはここで気を失った。


「…………駄目だ、聞いちゃいねぇ。

ちょっと脅し過ぎたかァー?」


「そりゃいかんでしょう、審査員が審査せんとはなー」


 誰よりも冷淡に、現状の処理を進める二人。

 その他周囲の人間は何一つ、理解できていないというのに。


 ただこの二人だけの世界で、意思で、知らず知らずのうちに話は()()()()


「じゃあ、こーゆーのはどうだ?

測定検査の範囲でバッチリと、この勝敗をバッチリと決めるならよぉ」


「…………大体察した。

今も見えてる、あれだな」


 優に、百人は超えるであろう人数が集まったここ、鬼城学園特設体育館において。

 この二人のギスギスした、殺気の溢れ出すやり取りに意識を向けざるを得なかっただろうが。

 肝心のコイツ等は、違う。

 そんな周囲の連中が集まって、ひと暴れすれば甚大な被害が出るであろう、そんなことは考えずに。

 ただの一点だけを見つめて、そこへと向かっていた。


「力比べをすんなら、まずそーだ。コイツは必要不可欠だよなぁ」


 二人の向かう物、それは元より測定の為に用意された、測定装置!!


「お決まりだ、コイツァ……

俺達の攻撃の威力を、数値に変換するってあれだろ。

よし乗った、これなら結果が分かりやすい」


「後で文句も、言えねぇかんなぁ?」


 現状が、まるで理解出来ない

 誰もがそう思った、そして思考を放棄した。

 そして、誰もが止められなかった。

 歩み行く……あの二人を。

 起こりうる、惨劇を!


「カンスト数値、幾つだ?」


「999、9999?知らね。

ま、どっち道……上限突破、してやるよ」


 今回、測定に際して神遺武装(アーティファクト)の持ち込みは禁止されていた。


 即ち、今から放たれる攻撃は。この二人の素手による、純粋な破壊力である。



<<<ヴァグギャンッ!!!!!!>>>



 そして二人の腕力によって、体育館『半壊』。


















 そして当然、体育館半壊などと言う大事故を起こしておいて、なんのお咎めも無い訳が無いのであった。


 集合、理事長室。


「で?なんで私が呼ばれるのですかいな。

馬鹿やらかしたんは、そこのアホとちゃいますのん?」


 凰染と数日関わっただけで、既に歴戦の海軍元帥並にやさぐれた神咲の琴音ちゃん。


「何故にマジギレ?そんなにヤサグレちゃってぇ、若い子がなーにを悩んでんの。

保護者、だよ……そこの馬鹿二人に理解ある、君達二人がさ」


 そして受け答えをするのは当然、この学園の理事長たる女……


 何が()()()だこんちくしょう。

 誰が好き好んで、凰染(そいつ)の責任負いますかい。


 体育館の七割が倒壊……そこの馬鹿共が暴れたせいでな!

 幸い死傷者が出なかっただけ、人様に迷惑かけてねぇが。

 それでもんなことしますか普通!!


「いーや面目ねーです。うちの絶鹵(ぜろ)が、いろいろすいません」


 謝る気ゼロの謝罪を繰り出すこの女は。

 凰染と一緒に大暴れした、柳絶鹵(やなぎぜろ)の保護者枠。

 幽灰光(かすがいひかり)、Aランク1位の実力者!

 それにもまた腹が立つ琴音であった。


 つーか今目の前にいるさぁ、等の本人達がまるで?懲りてないというか。


「こっち見んじゃねーよ吊り目ぇ……

装置ぶっ壊れて決着つかなかったからってよぉ、オメェの『勝ち』じゃあねぇんだからなぁ」


「ほざけ垂れ目……あれは誰がどう見たって、俺の勝ちだろ。

確実に、装置へ止め指したのは俺だからなぁ!」


 未だ喧嘩の真っ最中。


 その真ん前に学園の最高責任者である、理事長様がいんのにさぁ。

 反省の色を示すどころか、そんな気が一切ねぇのがバレバレじゃねぇか。


「あはは、若いっていいわねぇ……後先考えず。

好き勝手やれてねぇ、いや怒っちゃいないわよ?

どーせ修理代、みんなの()()()()()()んだし」


 それでも起こらないのかい。

 つーか理事長様もまぁ大概、雰囲気がふざけてるってゆーか。

 真面目な奴はいねぇのかい、この学園には……


「それよりさぁ、私としては。

むしろその()()()()()()()()()()

本気の喧嘩ってさ、中々見れないじゃなーい?」


 は?理事長様公認になちゃったの、この喧嘩。


「だからここで提案。

セッティングはこっちがするから……全力で決闘、してみない?」


 何を言ってやがるんだコイツゥー!!


 次回へ続く。

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