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最強火力の脳筋無双《バカサラス》  作者: 入江晃明
season1 導かれたバカ達
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第02話 青春の行方

「フンフフ〜フン♪いい風呂、夢気分〜」


 ま、シャワー浴びてるだけなんですけどね。


 さ〜て、ただ今お風呂に入ってサービスシーン真っ最中の私。

 神咲琴音(しんざきことね)ちゃ〜ん、花の16歳なのだ。

 外見はまぁ、よく中学生に見間違われるんだけど……

 それでも今回、晴れて第一志望の高校に入学できました〜!

 パチパチパチ〜!それで今日は初めて、その学校の寮にやって来たのです!


 順風満帆……に見えるでしょ?楽しそうに見えるでしょ?

 でもね……この学園生活、もとい私の青春は……破壊される寸前なのです。


「お〜うやっと出たか、じゃ次俺な」


 洗面所から出て直ぐのリビングでぐーたらしている私の同居人、コイツによって。


「あァーもう!どうしてその格好なのよォーー!!」


「……何が?」


 同居人、一つ屋根の下でこの学校三年間を共に過ごすルームメイト!

 それがよりにもよって、なんで男なのよおっかしいでしょ!! 

 私女!一丁前のレディなのよ……

 そんなか弱い私を、この発情期真っ盛りの男と同棲させるだなんて。

 松たか子を猛獣の檻にブチ込むのと同義よこんちくしょう!


 それはいい、そこまでならいい。

 心身共にイケメンな、完璧男子と同棲するってんなら寧ろバッチ来い!

 だけどコイツは……この轆轤凰染(ろくろおうぜん)は!


「パンツ以外も履いとけって言ったでしょうがァー!!」


「え〜、これから風呂入るんだけど」


「だからって、パンツ一丁で出歩くな!!」


 デリカシーってものを一度たりとも感じたことがない!

 女の子と同棲してるってことに対する気概を微塵も感じない!!

 基本パンツで部屋うろつくし、そのままの格好で寝てるし!

 風邪引くでしょうが!じゃなくて……気色悪いでしょうが!!

 誰がコイツのパンツを四六時中見ていたいのよぉ!


 それもこれもが全部あの時!凰染と一緒に化け物に食われて結局落ちて!

 運よく命は助かったものの、それがきっかけでなんか上の人に……


『やっぱり、危険を共にした男女ってそのまま付き合っちゃうやつあるじゃない?

だからこれは私なりのプレゼント、二人だけの愛の巣ぅ〜!』


『ふざけんな!!』


 ってな感じでそのまま同棲にさせられましたとさ!

 抵抗するなんて不可能だったのよ……

 私の荷物全部この部屋に移されてたし、しかも豪華な部屋だったし。

 物件的には……最上級だったし?立地もって……

 なんだかんだで受け入れちゃったの、悪うござんしたねぇ!


「……なーにをそんなに。これか、このパンツの柄が気に入らねぇってか」


「そんなもんが私の視界に入ってる時点でおかしいでしょうが!」


「分かった、分かったから……

ちゃんと風呂から上がったらズボンくらい履くから」


「上も着なさい」


「……はい」


 よーし言質取れた、言った通り着ろよな〜服を。

 そして二度と、私にそのモッコリしたトランクスを見せつけるな!


「そんじゃ、とりあえず風呂入って来るから。

あ、夕飯よろしく」


 …………なんて言って洗面所入ってったわね。

 って、私はお母さんか!

 なんで私がアンタの分の夕食まで作らにゃあかんのや!

 でも料理は得意だから作ってあげる!



『いただきま〜す』



『ごちそうさまでした』



「いや食った食った。ありがとな、毎度毎度美味い飯作ってくれて」


「……感謝の気持ちがあるってんなら、家事分担はしっかり守ってよね」


 コイツ……本当旨そうに私の作ったご飯食べるわね。

 この世の全ての幸せを一身に噛み締めてるっつーか。

 物事全部に感謝してるってゆーか。

 ……悪い奴じゃないってのは分かるんだよ。


「わぁ〜ってるって、飯以外の掃除洗濯は多く俺が取り持つ。

そー、話はついてるもんなぁ」


「それならよろしい。じゃあ早速、この食器洗ってよね」


「ほーい」


 食器を纏めて台所へ持ってった凰染。

 こーゆーことを文句言わずに出来るだけマシよね。

 こっちも少しは、コイツの私生活に文句言うの控えようかしら?

 あんまし口煩く言ってると、なんかコイツのお母さんみたいであれだし。


 それでも仕方ない。

 こんな奴と生活できんの、私ぐらいしかいないだろうしね。

 当分の間はまぁ、二人きりでいてあげようじゃないの。


 突如として始まったこの同居生活、二人共まんざらでもないようだ。













「準備は?」


「服に弁当と、それから水筒。ぬかりはねーな」


「…………それだけ?」


「ああ、あと神遺武装(アーティファクト)ね」


「教科書は?筆記用具は?」


「知らん」


「っじゃないでしょうがぁ!!

これから行くのは、学校!ピクニックじゃないのよ!」


 前貰ったの溶かされたから、再配布された制服!

 私が朝早く起きて作った弁当持って、今日やっと初めての授業だってのに……コイツ、食料しか準備してない。


「てかなぁ!お前が弁当に時間かけ過ぎるからもう時間ねぇんだよ、忘れたか!?」


「はぁう!!」


 忘れてた……もう割とガチで、授業開始まで時間ないんだった!

 それならもう準備する時間ないわよねぇ!ともかく急ぐ!


「つーこった。

授業中寝てようがなにしてやうが構わねぇが、『遅刻』だけはするなって婆ちゃんいつも言ってた。

だから!!あそこまで、飛ぶ!」


 玄関から出て、すぐ目の前!

 そこにそびえ立つ、巨大な城……あれこそが、『鬼城学園』!


 どう見てもまともな学校です。


「飛ぶって、へぇ!?いったいどうやって!」


「決まってんだろ、俺の脚力に……全てをかける!」


 がっしりと脇で琴音をホールドした凰染。

 そのまま担いで、勢いで突っ込む!!


「んな無茶苦茶なぁ……」


「捕まっとけ、行くぞー!!」


「ヒギャアア!!」


 地面を蹴って、本当に……私達は空を飛んでいた。

 もうさっきまで居た地点がすっかり遠く見えて……

 てかよく見たらあれ、地面抉れてるがな。

 どんなパワーで蹴ったのよコイツ……いったい何処まで鍛えれば。


()()()()()()()()()()()()()!!」






 一方その頃、教室では。朝の出欠を確認していたのだった。


「えー神咲、神咲琴音さーん。

………………あのぅ、初日から欠席ってあります?」


<<バッギィィイン!!>>


「………………」


 はい、窓ぶち破って私達……初登校完了———

そして青春、完全終了———


「?、席どこ」


「……ここでいいでしょ」


「おう」


 私たちが突っ込んで来た、ついでに吹っ飛ばされてた椅子へ腰掛けてぇ。


「え……っと、神咲琴音さん」


「………………はい」


 もうコイツと付き合う以上、物事マトモに考えるの辞めよ。


 次回へ続くッ!!

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