王都バトル大会決勝戦前夜
チームわんがお対ハンターチームの勝負は勝負はあっさりついた。しばらく後にエリカが力尽き、ダウンバーストが消滅。それにより、いままでエリカの支援付きでいい勝負をしていたピヨとアオイは、打つ手が完全になくなり、あっけなくわんこ大臣とブランシュの前にやぶれた。いや、そもそもエリカの支援付きの最高打点の攻撃でかすり傷1つ与えられなかったのだ。もともと勝ち目など無かったのかもしれない。
そしてそれは、エリカのダウンバーストの外で戦っていたカリンとて同じことだった。カリンは他の3人がわんこ大臣とブランシュを倒してくれるのを信じてギルマスと1対1の勝負を繰り広げていたが、エリカが魔力切れで倒れ、ピヨとアオイがそれぞれやられたところで降参した。
なにもやることのなかったクロ将軍だが、最後の最後に出番がまわってきた。魔力切れで自力飛行すら
出来なくなったエリカが落下してきたところを、ぱくりと咥えて救助した。ただ、たったそれだけなのに、まるで自分が倒しましたとでもいう様に、堂々と咥えるその姿は、いかがなものだろうか。
「勝負あり、勝者、チームわんがお~!皆さん、いい勝負を繰り広げてくれた両チームに拍手を〜!」
「「「「「うおおおおお!」」」」」
「さて、本日のプログラムはこれにて終了だ。そして明日はお待ちかね。3位決定戦と、決勝戦だ〜!明日に疲れを一切残さないように、両チームにはとっても魔力量豊富な食事が用意されてるぞ。医療班もバッチリ待機しているため、怪我と疲労を明日に持ち越さないよう頼むぜ!明日が最高の日になるように、祈ってるぜ!」
その日の夜はいつもの王城の高級食堂で、全員参加の夕食会が開かれた。といっても宴会のようなものではない。明日の試合のことを考えての、普通の食事会だ。妖精の国チーム以外は、もとがぴぴ達との仲良しグループなので自然な流れだ。ただ、場所が場所だけに、エレフやファントといった賓客も当然参加しているし、賓客がいるためにうめとさくらもいた。そのため、ほとんど全員集合状態であった。
「ううう、悪いなぷう、負けちまった・・・・・・」
「ううん、3人は良くやったと思うよ。作戦内容も申し分なかったし、連携もいい感じだったんじゃないかな?」
「そう言ってもらえるのは嬉しいんだけどよ。エリカにかなり無茶してもらったってのに、完敗だからな」
ぷうとアオイの2人が反省会をしていると、そこにギルマスもやってきた。
「ぷうの言うように、お前ら良くやったと思うぜ。俺たちがぴぴと特訓してたから、勝ったけどよ、特訓前の俺たちだったらやられてたかもしれねえしな」
「そう言ってもらえるのはありがたいんだけどさ」
「ま、割り切れねえのは仕方ないさ。ただ、お前らは若いから知らないんだろうが、俺が現役の時なんか、俺1人で優勝してたからな、その頃にお前らがいてくれりゃあ、もっと楽しめたってもんだぜ。そうだ、エリカっつう風使いは大丈夫なのか? そいつとも話してみたかったんだが、きてねえよな?」
「エリカなら寝てるぜ。ただの魔力の使いすぎなので問題無い。最後魔力切れで落下したのも、クロ将軍が受け止めてくれたみたいだしな。ただ、完全に魔力切れで意識が無くなっちまったから、回復に時間がかかりそうだけどな」
「そうか、まあそんだけ頑張ったってことだな」
「ああ、ギルマス達強すぎなんだよ」
「ははは、文句は9割くらいぴぴに頼むぜ」
特訓中などはドラゴン肉などで簡単に回復出来ていたのだが、それはあくまでも魔力豊富な食材を食べて、消化吸収促進の魔法を自身にかける余裕があったからだ。今回のエリカのように、意識不明で食べられず、消化吸収促進魔法も使えないとなるとなかなか大変だ。なので、特訓のときはぷうが気をつけていたし、今回もカリンが出し尽くさないよう事前に注意はしていたようなのだが、まだまだ若手な上に、自身の風魔法が切れたらピヨとアオイに勝ち目が無くなる状況下では、そういうことが出来なかったようである。
これがチームわんがおや、妖精の国チームのようなベテランチームなら、所詮はお遊びの大会で無理なんてアホらしいとあっさり、降参していたのだろうが。
そして、ぷうのもとに、クロ将軍もやってきた。
「なあ、ぷう。あっちにいる象の兄弟から聞いたんだけどよ。お前、旧王都でビッグヘッドランドドラゴンを再現したゴーレムを作り出して、旧王都の連中いじめたんだって?」
「いじめたとは人聞きの悪い。あれは美味しい果物を取りに行きたいから、取れる場所を教えろって、うめに問い詰めた無謀な連中に諦めてもらうためにやっただけだよ。しかも、やるって言い出したのがうめなら、乗り込んで嬉々として操縦してたのはハピだし」
「あ~、違う違う。そのことはどうでもいいんだよ。ぶっちゃけるとな。俺も戦いたいなってことなんだよ」
「ほう、クロ将軍も面白いこと考えるじゃないか、悪くねえな」
「だろ? ゴーレム相手なら手加減無しで全力でやれるしよ」
「おいぷう、俺からも頼むぜ。楽しそうだ」
「別に全力で戦いたいだけなら、ぴぴにまた相手して貰えば良くない?」
「「「良くない!」」」
「あいつもお前も強すぎて、特訓の成果があるのか無いのか良くわかんねえんだよ」
「やっぱギルマスもそう思うよな」
「というわけで、頼むぜ」
「も~、しょうがないなあ。じゃあ、決勝戦も明日で終わることだし、明後日エキシビションってことでやる?」
「おう!」
「流石ぷう、わかってるじゃん!」
「一応うめかさくらに許可取ってきてね」
「おう、行くぜ。クロ将軍、アオイ!」
「「ああ!」」
こうして、明日の決勝戦すら始まっていないのに、明後日のエキシビションマッチが決まるのだった。
そして翌日になった。
「レディースアーンドジェントルマン!お待たせしました、王都バトル大会もついに最終日。今日は3位決定戦と決勝戦を行う日だ~!」
「「「「「うおおおお~!」」」」」
「ただ、予定というのは常に未定、残念なお知らせと、興奮すること間違い無しのハッピーな情報が舞い込んできたぞ~! まず残念なお知らせは、3位決定戦に出場予定だったハンターチームの1人、エリカ嬢の体調が悪く、3位決定戦は中止となってしまった。エリカ嬢は昨日の準決勝では、強力な風の支援魔法を見せてくれただけに残念だが、しかたない。ここはみんなでエリカ嬢の1日も早い回復を祈ろうではないか。だが、次はみんながハッピーになれるニュースだ。なんと明日、チームわんがおのメンバーを中心とした勇士により、エキシビジョンマッチが開催されることが決定したぞ~! 今年は参加チームの少なさゆえに☆7大会の日程が短かっただけに、これはうれしいサプライズになったのではないか~?」
「「「「「うおおおおおお~!」」」」」
「さあ、でもその前に王都バトル大会一番の花。☆7ランク大会の決勝戦を、始めるぞ~! みんな、応援の準備はいいか~!」
「「「「「うおおおおお~!」」」」」
「では、両チームの選手の、入場だ~!」
いつも見てくださってありがとうございます!
「にゃがために猫はなく」という新作を始めました。
宇宙を舞台に、ハピが世界一のハードボイルドにゃんこを目指すお話です。
ジャンルはSFですが、地球の未来の話というよりも、この世界の未来のお話になってます!
もしよろしければ見てみてください!
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