チームわんがお対ハンターチーム
「勝負あった~! チームグラシクロー降参により、妖精国チームの勝利だ~! 両者の戦いをたたえて、拍手をお願いします~!」
「「「「「うお~!」」」」」
「うめ様~!」
「さくら様素敵~!」
「レーヴェ強かったぞ~!」
「グラシクローもよくやったぞ~!」
うめ達妖精国チームも、グラシクローも、盛大な応援を受けつつそれぞれの出口から退場していく。ほどなくしてグラシクローの3人は、ぴぴ達のいる来賓用飛行船にやってきた。
「うわ~ん、ハピ~、負けちゃったよ~」
「ううう、無念ですわ」
「くう、ぜんぜん実力を出せなかったぜ」
「大丈夫、みんなの強さは我輩が知ってる! こういう大会形式の戦いに合わなかっただけだよ!」
「まあまあ3人とも、そんなに落ち込むことは無いよ。ハピの言うとおり今回はまだちょっと準備不足だっただけだよ。次回に向けて、発動速度と威力、それを両立した技を開発すれば大丈夫だよ。それに、そもそも3対6だからね、圧倒的に不利だったわけだし」
「それはそうだけど~、うわ~ん」
「ええ、悔しいですわ」
「くそ、絶対優勝できると思っていたのに」
「うにゃ~お、みんなはよくやったよ~」
全力の魔法のぶつけあいなら、魔力量的に3対6でもこの3人が勝ったのかもしれないが、実際のところこの3人はほとんど思い通りにならずに、向こうの作戦に完全に飲まれる形で負けてしまった。魔力量では勝っていただけに、かなり悔しいのだろう。シクラメンは遠慮なく鳴き、グラジオラスとローズも悔しそうだ。なんでかハピまで泣きそうになってるけど。
「さて、じゃあわたしはうめ達のところに行ってこようかな」
「うめ達のところ?」
「この3人は感情的にはともかく、肉体的には割りと元気だけど、うめ達は結構だし尽くしてたみたいだから、なかなか回復できないかもしれないからね」
「そっか、わかった~」
そして、ぷうがうめ達の控え室にやってくると、そこではうめ達6人が完全にダウンしていた。
「お疲れ様~。って、みんな大丈夫?」
「おお、ぷうかい」
「回復いるかな~って思って」
「頼むよ」
「うん、まっかせて。それにしても、ほぼ無傷で勝ったわりにはなんか、完全にへばってるよね。グラジオラス達のほうがはるかに元気だよ」
「こっちはほぼ全力出し切ったっからね。対して向こうは、多く見積もっても総魔力の3割くらいしか使ってないだろ? はあ、参っちゃうねえ」
「まったくですね。はあ、それにしても、あの3人がもう少し魔力制御能力を鍛えて、魔法の発動が早くなるだけで、こちらとしては打つ手なしになりそうですね。まったく、とんだ怪物に育ててくれましたよね。はあ、これからあの3人に魔力制御をしっかり教えないといけないわけですが、先が思いやられますね」
「あの3人に変なもの食べさせたのはハピだからね。わたしもぴぴも知らないよ」
「魔力制御の件ですが、私1人ではとても手におえそうにありませんからね。シルバー様もレーヴェ様もあの3人に関してはご協力下さいね」
「わかっていますよ。ナノハナのお嬢さん」
「うん、いいよ~」
「あ、そういうことならもう1人適任者がいるよ~」
「適任者ですか?」
「うん、ぴぴと特訓してたクロ将軍。ぴぴと特訓してた4人は、戦い方なんかはもう完成されてたから、魔力量の増加と、制御能力上昇の2点だけの特訓だったみたいだからね。」
「なるほど、クロ将軍ならいいかもしれませんね。バトル大会終了後に聞いてみますわ」
「うん。それじゃあ、魔力回復も終わったし、わたしは行くね。そだ、決勝がんばってね。ぴぴの見立てだと、クロ将軍のいるギルマスチームが圧倒的に最強っぽいって言ってたから」
「圧倒的に最強っぽいか。なんかもう、辞退したい気分だね」
「ダメだよ~。さっきの戦いで、グラジオラスの本気の一撃をさばいたりでもしてたら違う展開だったかもだけど、今のままだと盛り上がりに欠けるからね」
「やれやれ、がんばりますかな」
「うん、ファイト! それじゃ、またね」
「さあ、次は準決勝第2試合、チームわんがお対ハンターチームだ~!」
「「「「「うおお~!」」」」」
「まずはチームわんがおの入場だ~! 先頭を歩いているのは妖精の国のハンターギルドのギルドマスター、リオン殿~! かつての大会ではチーム戦のこのバトル大会で、なんとソロで6連続優勝をした、猛者中の猛者だ~。6連続優勝という記録も、7連続優勝出来なかったわけではなく、リオン殿に勝てないとリオン殿以外エントリー者がいなくなってしまうという前代未聞の出来事によるものだ。そんなリオン殿が、まさかのチームでの参戦だ。もはやその時点で優勝候補筆頭、いや、卑怯すぎるといっても過言ではないぞ~!」
「流石にずるいぞ~!」
「ギルマス~!」
「リオン殿~!」
「おっちゃ~ん!!」
「そしてリオン殿に続くメンバーもこれまたえげつない。現役の☆7軍人にして妖精の国の将軍、クロ将軍! さらに、そんなクロ将軍が親父、兄貴と呼ぶ元妖精軍の中心メンバーだったこの2人、うすき大臣とブランシュ殿だ~!」
「「「「「わお~ん!」」」」」
「おおと、妖精軍わんこ部隊からすさまじい遠吠えですね。しかし、このチーム、私としては現役時代を見てみたかった。みなさんもそう思うでしょう? ですがご安心を、最近出回っている高濃度の魔力の肉により、4人とも今が最強と公言しております。これは楽しみだ。さあみんな、歴史上最強チームの強さを、その目に焼き付ける準備はいいか~?」
「「「「「おお~!」」」」」
「そして、そんな歴代最強チームに挑むのは、ハンターチーム! ギルマスであるリオン殿はいないが、あえてその名を名乗ることにしたというのか~? だとしたらすごい自信だ。では、参加者の紹介だ~。まずはこの人、エルフの国の英雄。魔弓という二つ名でおなじみ、カリン殿~! 元☆7ランクにして、現在は妖精の国のギルドで指導教官をやってくれているので、指導を受けたハンターも多いのではないだろうか。そしてお次は、妖精軍のアオイだ~。先ほどの試合のチームグラシクローのメンバーとは腐れ縁にして永遠のライバルだそうだ。くう~、男1人に女3人、ちょっと羨ましいぞ~。まあ、女3人が強すぎて、私は遠慮させていただきますがね。最後に紹介するのはこの2人、ピヨアンドエリカだ~。この2人に関しては私のところにもほとんど情報が来ていない。何が起こるかわからない開けてびっくりの玉手箱といったところか。ん~、それにしてもすごいぞアオイ、幼馴染3人に加えてパーティーメンバーで二人追加とは、憎いね。この男の敵~! って、うおお。こちらに魔法を飛ばすんじゃない。私のいる司会者用飛行船の強度、大丈夫だよね? ん? ちょっと待って、なんで底がいきなり抜けるの? うわあああ~! ちょっとその威力はやめて、あたったら死んじゃうから、ごめんなさい、謝ります。軽いジョークのつもりでした。はい、すみません」
「ふう、死ぬかと思いました。さあ、気を取り直して、両者出揃いましたね。では、審判さん、準決勝第2試合、はじめちゃって下さい!」
「試合、開始!」
「「「「「うおお~!」」」」」




