それぞれの準備
ぴぴはギルマスのところへ行き、ぷうはアオイのところへ、そしてハピは妖精トリオのところへとそれぞれ向かった。
ぴぴは修行をしていた王都ハンターギルド本部にやってきた。
「どうだ、ぴぴ。俺達の技は」
「うん、この一月で更にみんなよくなったよね」
「ほっほっほ、ぴぴのもとで学んでいたのはあくまでも基礎じゃったからな、わし等はわし等なりに、それを技へと昇華させておったのじゃよ」
「ってことだぜ!」
「ええ、なかなかの仕上がりと自負しております」
ギルマスに続き、うすき、クロ、ブランシュが、それぞれの新技を見せてくれた。新技とはいってもいわゆる奇抜な1発芸のような技ではなく、どれも使い勝手の良さそうなきちんとした技だった。ぴぴの特訓が終わってまだ1ヶ月もたっていないのに、この成果は、ぴぴとしても鼻高々だ。
「いい、みんな。今回の大会、ぷうと一緒に修行をしてたアオイやカリン達のチームもでるし、ハピと修行をしてた妖精トリオ達も出るからね。絶対に負けちゃダメだよ!」
「当たり前だろ。負ける気なんてこれっぽっちもねえよ」
「当然じゃな。あの地獄のような修行を超えて、そう簡単に負けてたら、わしらの立つ瀬が無いわい」
「だな。ってゆ~か、あんだけきつい修行して、仮にも部下のアオイやグラジオラス、シクラメン、ローズに抜かれてたら、俺ちょっとショックで寝込むかも」
「ふふふ、久しぶりに血が滾りますね」
確かに、本来の強さで言えばぴぴが教えたこのチームが圧倒的に強いだろう。なにせ元☆7ランクと現役の☆7ランクしかいないチームだ。ライオンのギルマスことリオンは元々ハンター最強クラスの猛者だし、わんこ大臣ことうすきと、その側近のブランシュもめちゃくちゃ強かったわんこ達だ。そして、クロは妖精軍の将軍の1人で、現役の☆7ランクだ。しかも、そんな元☆7ランクの猛者たちが、ぴぴとの修行と、美味しいお肉による回復の相乗効果で、現役時代よりも圧倒的に強いと宣言しているのだ。まさに優勝候補の筆頭と言ってもいいだろう。
ぷうもまた、王都ハンターギルド北門支部に来ていた。そして、北門支部の訓練場で同じように新技を見せてもらっていた。見せてくれたメンバーはもちろん、妖精軍近衛師団の元隊長にして、☆6ランクのアオイ、ハンターギルドの職員で元☆7ハンターでエルフのカリン、そして☆6のペアハンターのオオタカのピヨと、妖精族のエリカだ。そして、この4人でチームを組んで、今回はバトル大会に出るというわけだ。
「どうよぷう、結構いい感じだと思わないか?」
「うん、かなりいい感じだね。いいみんな、今回のバトル大会はぴぴと特訓してたギルマスチームに加えて、ハピと一緒だった妖精トリオチームも出るみたいだから、油断しないようにね」
「そうだな。とはいえ、まさかギルマス達が組むとはな~。ぶっちゃけ反則だろあそこ」
「確かにもとの強さで言えば、ギルマスのところが圧倒的だよね。でもね、ぴぴの特訓はあくまでも基礎訓練だけだったはずなの、種族や個としての応用技なんかには手を出していないはずなんだ。そういう特訓内容がいいってギルマスやクロから要望があったみたいだからね」
「なるほど、それと比べれば俺達は個々にあった技までやったよな」
「そういうこと! とはいえ、ギルマス達と戦うのにはまだ不安がありそうだし、残りの三日、ギルマス達の強さを再現したゴーレムを出すから、特訓しよう」
「待ってください、ぷうさん。大会開始は3日後ですが、私達のエントリーしている☆7以上の出番は、大会開始1週間後なのです」
「そうなの?」
「ええ、☆7以上の部は大会の花型にして山場ですので、他のすべての日程が終わってからになりますからね。それに、エントリー数が少ないので、他のランクと異なり、試合数も少ないですので」
「そうなんだ。☆7ってそんなに少ないの?」
「妖精の国には現役、元あわせれば結構いらっしゃいますよ。それでも両手足の指で数えられる程度ですが。ただ、今はモンスターの時代の関係もあり、☆7の方々は軍、ハンター問わず、主要な任務を遂行中の方が多いですね」
「とはいってもさ、カリン殿。ぶっちゃけギルマスに勝てるやつなんて、そうそういなくね?」
「そうですね、正直現役の☆7ランクパーティーや軍の部隊でも、ギルマス単独に勝つことすら困難でしょうね」
「なるほど、じゃあ、まだ10日くらいあるのね。よし、最後の仕上げだね!」
「おうよ!」
「わかったよ!」
「そうですね」
「私もがんばります!」
ハピもまた、王城の近衛師団の訓練場に来ていた。
「あの3人はいるかな~」
「あ、ハピだ」
「ほんとですわね」
「お、やっと帰ってきたのか」
どういうわけなのか、妖精トリオことシクラメン、グラジオラス、ローズのハピ察知能力は今日も高かった。
「みんなもバトル大会でるんだね~」
「もっちろん! まあ、あたし達が優勝かな~!」
「そうですわね。今の私達が負ける相手などいないと思いますわ」
「だな! もう完璧な強さになってるぜ!」
「そういえば知ってる? ぴぴとぷうと遊んでたメンバーもチームで出るんだって」
「ええ、聞きましたわ」
「ああ、なんでも優勝候補筆頭が、俺達じゃなくてわんこ大臣達のじいさんチームらしいじゃねえか。っか~、見る目のない連中だぜ」
「あたしとしてはおじいちゃん達よりも、打倒アオイかな~」
「そりゃあ当然ぶったおす!」
「そうですね。何年前の大会かは忘れましたが、☆6ランクの大会で以前、3対1で負けましたものね」
「当然リベンジだよ!」
「ああ、絶対にかりを返すぜ!」
「そういえば、我輩も全部のチームを把握してないんだけど、何チームくらいでるの?」
「確か、4チームですわね」
「え、少なくない?」
「だよな~。俺もそれは思ったぜ、毎年8チームはいたからな。でもな、ライオン野郎が犬どもと組んだろ? あの1人でもくそ強いライオンが、同じくくそ強い犬どもと組んだんだぜ? そりゃあ臆病風吹かれるやつも出てくるってもんだぜ」
「それもあるけど、たぶんグラちゃんのせいもあるよね~」
「だな~」
「そんなことはないですわ」
「そうなの?」
「うん、1度会場の結界の強度テストでグラちゃんが大魔法を撃ったんだけどね。結構ひどい威力だったの」
「あれを自分達に撃たれるかと思ったら、出てこれなくなるやつがいても不思議じゃねえって」
「あれは、運営のかたに全力でと言われましたので、指示にしたがっただけですわ」
「まあ、そういうわけでさ、今回の大会は俺達かじいさん連中のどっちかが勝つってもう決まってるようなもんらしいんだよな。ま、ハピは安心して見てろって、お前との旅のおかげで、単純な魔力量や魔力出力で俺達に勝てるやつなんていなくなったからな!」
「そうそう、優勝候補筆頭がおじいちゃんズなんていってる連中を、ぎゃふんといわせてやるんだから」
「そうですわね。ハピさんが入って下されば完璧だったのでしょうが、それは相手も同じ条件ですしね」
「今から入れていいか聞いてみるか?」
「それはやめたほうがいいよ! だって我輩が出るって事は、ぴぴもぷうも出るって事でしょ? 絶対にぴぴとぷうの一騎打ちになるだけだよ」
「そうなのか?」
「言ったでしょ、あの巨大なドラゴンを倒したぴぴぷちゃ号の攻撃。あれ、ぴぴやぷうが乗ってたときの残留魔力だったって」
「ってことはなんだ。あれより強い攻撃を、平気で繰り出したりするってことか?」
「うん。ふしゃ~って言いながら、あれより強い攻撃が、秒間何発も飛んでくるよ」
「なるほど、それは止めておこう」
「そうですわね」
「うん、余計なことはせずにあたし達の戦いをしようね!」
こうして、みんなは思い思いの時間を過ごして、バトル大会にそなえることになった。




