トラブルと旅立ち
そして月日は流れた。ぴぴ達は相変わらず猫ハウスでごろごろしたり、猫岳で修行というかバトルをしたり。遊んだりしていた。女王様達もグルメツアーの範囲をさらに広げ、主要な猫岳をおおよそ制覇しただけでなく、宇宙へもその手を伸ばしていた。ある宇宙では害獣駆除と引き換えにチーズを食べたり、別の宇宙では害獣駆除と引き換えにお酒を飲んだりしており、時折ぴぴ達も、強敵を倒す際の助っ人として付き合っていた。
そんなのんびりとしたある日、女王様から緊急の猫集会の呼び出しがあるのであった。
集まったのは女王様の居城、ホワイトキャッスル号だ。しかも結構な数の猫がいた。ぴぴ達の猫岳のメンバーだけじゃない、各猫岳のボス猫級が勢ぞろいしていた。ホワイトキャッスル号には内部の猫の数によって自動的に大きくなる機能があるため、大勢いても狭くはないが、ボス猫級が大勢いるのは、異様な光景であった。そして、しばらくして、猫大臣の声があたりに響く。
「女王陛下のおな~り~」
すると一部のボス猫級の猫達が女王様に対して、なわばりのボスに対するしぐさをするように身を低くする。そして、女王様が登場した。ちなみにぴぴやぷうといった女王様直轄の猫岳メンバーはその反応にびっくりだ。ハピなんかはごっこ遊びもここまで徹底するとかっこいいな。なんて思っていたが、ちょっと事情があるようだ。各猫岳には各猫岳のルールがあるのだが、女王様にうやうやしい態度をとったボス猫達は、どうやら強い猫がボス猫になるというルールの猫達だったようだ。おそらくお姫様や将軍とバトルしたのはこのメンバーだったのだろう。そのため、女王様を新たな大ボスとして丁寧に扱っているようだ。逆に、女王様がきても特に気にせずごろごろしてる猫達は、ご飯皿で仲良く宴会しただけの猫や、ぴぴ達女王様直轄の猫岳メンバーのようだ。こっちのメンバーは女王様を母猫のように慕っているだけだ。実際、ぴぴ達の中でも女王様は最強というわけではない。どちらかといえば誰に対しても母猫のようににめんどうみがいい女王様に、勝手になついているだけだ。ぴぴ達の猫岳以外の猫岳のメンバーからすれば、ご飯をくれる女王様の存在は、ぴぴ達以上に母猫っぽいだろう。そのため、バトルの強さ至上主義の猫岳のボスと、ぴぴ達とでは、女王様に対するちょっとスタンスが違うようである。
猫大臣が話を開始する。
「まず今回、女王陛下は様々な生き物の国の代表者が出席する、大集会に猫の代表者の1匹として出席なされた。そして、その中で、近年様々な宇宙で猫の数が減少し、いままで猫が狩ってきた害獣達が大繁殖してこまっているという意見が、わんこや人間をはじめとする多くの種族からでた。そのため、われらに再び害獣駆除を盛大に行ってほしいという議案が提出された。そして、はねずみをはじめとした、我々に狩られる側のものたちの反対もあったが、圧倒的賛成多数で可決した。よって今回、みなには宇宙に旅立ち、害獣の駆除を行ってもらいたい。対象地域と害獣の詳細は猫将軍から報告がある」
そして、猫大臣から猫将軍に話のバトンが渡された。
「では、今回の対象地域を発表する。対象地域は俺達猫がCPと知性をそのまま保有して移動できるモンスターがいる宇宙のみだ。例えば地球のような、俺達が知性やCPも持ち込めない、モンスターすらいない宇宙は対象外だ。今はもう、猫がねずみ狩りって時代でもないだろうしな。注意点としては、モンスターのいる宇宙でも現地の連中が苦戦している場所に行く。つまり、強いモンスターが多い場所に行くってことだ。猫員の選定は各猫岳で決めてくれればいいが、ある程度強い猫が行かないと困難であると言っておく。それにあわせて着ていく毛皮もそれ相応のものを用意するように、ない場合は支給する。また、今回は特定のターゲットが居るわけではない、対象地域ごとに害獣の定義もいろいろある。そのため、害獣の対象モンスターは依頼書で必ず確認すること。多くの宇宙では害獣指定されているゴブリンのようなモンスターも、宇宙によってはゴブリンが原住民で、知的生命体という宇宙もある。そういった宇宙では、ゴブリン達を間違って狩ってしまわないように気をつけろよ。以上だ」
そして続いて猫将軍の部下が発言する。
「依頼書は城の前の広場に用意してある。解散後依頼書を取りに来ること。猫岳ごとの戦力を考え、達成可能という判断の元、依頼を受けるように。また、不測の事態で達成困難な場合は、直ちに本部に連絡すること。そして今回の任務では、通常の報酬のほかに、すぐれた評価を出した猫岳には追加で特別報酬もある。皆の奮起を期待したい」
最後に、女王様が発言する。
「諸君、此度の件、諸君らの前に立ちはだかるモンスターは、強力なモンスターばかりだろう。しかも、反対していたねずみどもの妨害すら考えられる。すでにねずみどもにはある程度制裁を加えておいたが油断は禁物だ。だが、その上で、我ら猫がいれば、害獣どもなどおそるるに足らぬと言うことを、全宇宙に知らしめるのだ!」
「「「「「「「「「「にゃ~!」」」」」」」」」」
「そうそう、美味しいご飯探しは絶対に忘れないように。あとで審査会をやる予定ですから、おいしいものを見つけた猫岳には超豪華プレゼントがありますよ」
最後の一言のせいでいまいちしまらない女王様なのであった。そして、猫大臣が解散させる。
「では、これにて解散」
特別報酬どころかグルメ賞まであると聞いて、みんな張り切って、依頼書を選んでいた。一部依頼書の奪い合いをしている猫達もいたが、依頼書を決めた猫から自分の猫岳に戻っていく。特に女王様をうやまっていた猫岳メンバーはいいところを見せたいのか、ものすごい張り切りかただ。
集会が終わり、しばらくしたあと、ぴぴぷちゃ号に、ぴぴ達と女王様達が集まっていた。
「今回、あなた達の分はこちらになります」
そういって女王様が一枚の依頼書を渡してくる。女王様からなのに命令書じゃなくて依頼書の理由は簡単だ。女王様は命令も依頼もしないからだ。すぐれた臣下は女王様に何か言われる前に全部やって当然であって、女王様の手を煩わせることなどありえないのである。よってこの依頼も、女王様への直接の依頼などという不敬を許したわけではなく、大本のわんこ達からの依頼を受けたのも女王様の部下達であり、それを取り仕切るのも当然部下である。そして、部下として対等の地位にいるぴぴ達には同僚からの依頼という形なのである。そのため、格下の猫岳には命令書がまわっていた。
というようなかっこいい理由ではなく、普通に女王様がわんこ達から受けた依頼書を、そのまま広場に貼っただけである。よって、全部依頼書だ。当然わんこ達が提示した報酬も書いてあり、そのまま受けた猫岳がもらえるため、人気のある報酬の依頼書は奪い合いも起きていた。不人気依頼が残る可能性もあったが、今回は大掛かりな依頼だけあって全体的に報酬も良く、すでに広場の依頼書は無くなっていた。ただ、一部難易度が高そうな依頼書だけ、女王様達が直接依頼をだしていた。
「惑星メイクン。難易度最上位。相手にとって不足なしだね」
「そもそも宇宙から猫が減ったのは、猫の国でハピのご飯皿が広がった影響で、猫の国でごろごろする猫が増えたことが原因のひとつですから、がんばってくださいね。もっとも、修行する猫の数も同様に増えたから、猫の国の力という意味では大幅にレベルアップしていると思うけどね」
広めたのは女王様たちだよね。とは口が裂けても言えないぴぴ達であった。
「どんな場所か分からないと不安よね。簡単に説明するわ。惑星メイクンのある宇宙は、あなた達のいた地球とは違い、猫の知性、CP技ともに、猫の国と同様ほぼそのまま持っていけるわ。現地に住んでいる知的生命体は人族以外にもエルフ、ドワーフ、獣人、魚人、魔族とか多種多様よ。なぜこのメイクンに多種多様な知的生命体がいるかというとね。もともとメイクンでは知的生命体が育たなかったの。だから、他の宇宙で全滅寸前まで追い込まれた知的生命体を移住させてたら、こうなってしまったらしいわ。例えばドワーフなんかだと、母星が太陽の膨張に巻き込まれる前に宇宙に脱出したらしいんだけど、巨大な宇宙嵐に巻き込まれて全滅しかけたりってことらしいわよ」
「それって、メイクンなら大丈夫なの?」
「大丈夫みたいよ。なんでも、私達の知性とか、CPとかモンスターとか、いろいろな要素の存在する宇宙ほど安定しているらしくてね。メイクンもメイクンの太陽も、もう数千億年大きさを変えずに存在しているらしいから」
「それはすごいね」
「ちょっと話がそれたわね。そういうわけで、あなた達にはメイクンに行ってもらいたいの。メイクンは非常に大きい惑星で、モンスターも強くて多いんだけど、それでもあなた達なら余裕のはずよ。ただ、1つ大きな問題があるのよね」
「大きな問題?」
「すごく強くて大きい竜がいるのよ。神竜とか、祖竜とか、アルティメットドラゴンとか呼ばれている大きい竜なんだけど覚えてないかしら? たぶん、最強の存在よ」
「う~ん、もしかして、ぷうとハピも一緒に行った、恒星とかブラックホールをエサにするやつ?」
「ええ、その竜よ。最強の存在ならさぞおいしいチーズを知ってるのかと思って会いに行ったのに、食べ物が黒い渦やら燃えた星でしょ。がっかりだったわ。こほんっ、その件はともかく、その竜の王とは、以前話しをして、メイクン周辺は保護区にしてもらったから、基本的には問題ないのだけれど、最近、子竜に見つかったみたいなのよね。成竜達なら高度な竜魔法で変身とかもできるらしいのだけど、子竜はそうもいかなくてね。いちおう大人の竜達で守っているらしいんだけど、子竜の知的好奇心は思わぬトラブルになることもあるわ。そこで、メイクンで害獣駆除をしつつ、もしもの場合は子竜の保護をお願いしたいの。」
「なるほど、子竜がメイクンの害獣とかに襲われたら大変だもんね」
「その心配はないわ。懸念しているのはメイクンが壊されたり、太陽を食べられたりする懸念があるだけよ」
「それ、結構ハードじゃない?」
「そうよ。私達以外だと、ぴぴ達しか対処できないと思うわ。だから最高難易度なの。対策として、竜たちも子竜が入らないように柵を作ってくれてるみたいだから、完成までに入り込んできたら、保護して親元に帰してあげてほしいのよ。もちろん。ぴぴぷちゃ号も連れてっていいわよ。宇宙船がないと、困るだろうから」
「うん、わかった」
「いま向こうで必要になるだろうアイテムをぴぴぷちゃ号に搬入しているから、使い方とかを向こうに到着するまでに確認しておいてね」
「うん」
「最後に、一番大事なことを伝えるわね。メイクンについたら、いきなり害獣駆除をはじめてもいいけれど、現地の知的生命体に接触する前に、絶対に妖精の国のわんこ達と接触してくださいね。現地にも猫達はいるけれど、統率が取れた大きい集会はないみたいでね。今回のことを要請してきたわんこ達が代わりに案内してくれる手はずになっているから。特にハピは猫としては大きすぎて、下手をしたら新種のモンスターとして攻撃されるかもしれないからね。あなた達が負ける可能性はないと思うけど、現地の知的生命体を滅ぼしちゃったら、本末転倒だからね」
「うん、わかった」
「それじゃあ、よろしくお願いしますね。出発はいつでもいいですが、出来るだけ早めにお願いしますね」
「うん、ぷう、ハピ、いついく?」
「わたしはいつでも~」
「我輩もいつでもいいよ。毛皮の準備も終わってるし、ぴぴぷちゃ号もいつでも飛びたてるからね」
「じゃあ、搬入が終わり次第、出発しようか」
「「うん」」
「じゃあ、そういうわけで、搬入終わったら出発するね」
「ええ、よろしくね」
こうして、ぴぴ、ぷう、ハピの3匹は、女王様達が見送ってくれる中、ぴぴぷちゃ号で惑星メイクンに向けて出発するのであった。
ふわふわふわふわ、ひゅいーん。
猫の国から各宇宙に行く方法は3つあった。1つ目は現地の猫の子供として生まれる方法である。ただ、この方法の場合、生まれたては弱いという欠点がある。また、仲間と旅立とうとした場合、兄弟として生まれることが出来る確立も低い。2つ目は、現地のCPの滞留地帯でモンスターのように誕生する方法だ。欠点としては、地球のようなCPが存在しない宇宙には行けないことだが、最初からそれなりに強い状態で生まれることが出来るため、今回はこの方法で旅立ったメンバーが多い。3つ目は、宇宙船に乗り込んで宇宙へと飛び立つことだ。猫の国の物資を宇宙へ持ち込んだりできるなど、メリットが多い方法ではあるものの、宇宙の外から目的の惑星まで数百、数千億光年とか距離がある場合が多く、高性能宇宙船がないと、たどり着くのに大変と言うデメリットもある。
ぴぴ達が普段家として使用しているぴぴぷちゃ号だが、名前の通り宇宙船だ。猫の国にも家は何箇所も存在している。凝ったものは少ないものの、土や木を使った簡単な家なら、戦闘技しか使わないような猫達でも作れるからだ。そんな中ハピが家をわざわざ宇宙船として作ったのには、深い深い理由がある。
ハピは基本お家大好きなインドア派だが、ぴぴとぷうはアウトドアも大好きだ。そのため、ぴぴとぷうに外で万が一があったときに、どこにでも駆けつけれる必要があったのだ。もちろん猫の国の中で万が一などありえないのだが、それはそれである。
そのため、ぴぴぷちゃ号にはいざという時にぴぴとぷうを救出できるよう、高性能な機能がもりだくさんなのだ。
ぴぴぷちゃ号のすごいところその1、ぴぴぷちゃアイ。ぴぴとぷうがどんな離れたところにいても、一瞬で発見できる、スーパーアイ(目)だ。
すごいところその2、ぴぴぷちゃイヤー。ぴぴとぷうがどんな離れたところにいても、その鳴き声を聞くことの出来る、スーパーイヤー(耳)だ。
すごいところその3、ぴぴぷちゃノーズ、ぴぴとぷうがどんな離れたところにいても、その臭いもかぎ分ける、スーパーノーズ(鼻)だ。誤解の無いように言っておくが、ぴぴとぷうが臭いわけではない。ぴぴとぷうも一般的な猫同様、基本的に無臭に近く、匂いをかぐには鼻をうずめてくんかくんかする必要があるほどだ。
すごいところその4、ぴぴぷちゃレッグ。ぴぴとぷうがどんな離れたところにいても、一瞬で駆けつけられる。スーパーレッグだ。
すごいところその5、ぴぴぷちゃボディ。猫の国と同じ猫にとって都合のいい空間になっているため、怪我や病気も中に入れば一瞬で治る。外壁は内部の猫を守るために非常に頑丈だ。おまけに内部はぴぴとぷうがストレスなく暮らせるように、大きさまで自由自在に変化できるなど、まさにスーパーボディだ。猫の国ならそもそも怪我も病気もしないとかいうのは無しだ。
などなど、ぴぴとぷうのための宇宙船としては極めて性能がいい宇宙船。それがぴぴぷちゃ号なのであった。そのほかにも、口にも出入り口以外の機能もあるし、尻尾、爪、牙にも機能がある。さらに、ぴぴやぷうの専用サポートアイテムへの変形機構もあるなど、大変高性能なのである。
もちろんこれだけのものをハピ1匹で作ったわけではない。ぴぴとぷうはじめ、いろいろな猫にも盛大に協力してもらった結果、超高性能な宇宙船になってしまったのだ。
ちなみに、女王様の居城であるホワイトキャッスル号も、同様の機能を有している。ぴぴぷちゃ号の各種機能はもともとはぴぴやぷうのためにつけようとした機能ではあるが、実際には猫にならどんな猫にも反応していた。一応他の猫達への反応より、ぴぴやぷうにたいしての反応のほうがよかったのではあるが、その部分を完全に汎用型にしたくらいしか、ぴぴぷちゃ号とホワイトキャッスル号の違いは無かった。
ただ、機能面ではともかく、実用面ではホワイトキャッスル号のほうが性能がよかった。2作目のほうがいろいろと上という部分が無いわけではないが、猫好きのハピの執念のようなものが、ぴぴぷちゃ号にも、ホワイトキャッスル号にも影響を与えたのだろう。内部に猫が多いほど性能が上がるという特徴があった。そのため、女王様の居城というだけあって、基本的に内部にいる猫の数が多いホワイトキャッスル号のほうが、ぴぴぷちゃ号よりも高性能なのだ。
そんなわけでぴぴぷちゃ号で出発する一行であった。
「ぴぴ、ぷう、猫の国をでて、宇宙に突入する前に、毛皮をちゃんと着てね」
「「うん」」
そうしてしばらく飛ぶと、猫の国をでて、宇宙がたくさん見える場所に到着する。
「いつ見ても絶景だよね」
「うん」
「そうだね。え~っと、メイクンのある宇宙はあそこみたいだね、じゃあ、いくよ~!」
「「にゃ~!」」
こうしてメイクンのある宇宙に突入したぴぴ達であった。猫の国は死後の世界なので実体がない、そこから実体のある宇宙への突入というだけのことはあって、ごとごとがたがたぴかぴかと、いろいろなことが起こっているようであるが、細かいことはわからない。しかし、無事に宇宙への侵入に成功した。
「ん~、久しぶりの実体だね」
「だね。しかも女王様がいろいろな要素があるっていったとおりだね。猫の国と違和感がないね」
「うん、でもこれからは、お腹とかすくんだよね~?」
「それは平気かな。ぴぴぷちゃ号の中は猫の国とおなじようなフィールドだからね」
「そっか~、お腹減ったところで美味しいものを食べれば、いつもよりもっと美味しくご飯食べれるとおもったのにな~」
「あはは、ぷうは食いしん坊だね。じゃあ、そういう設定に変更しようか? メイクンについたら、ご飯はきちんと食べないとだし、宇宙突入時の実体化の影響で、ぴぴぷちゃ号のCPもちょっと減ってるから、CPの節約にもなるし」
「それいいね! わたしは賛成、ぴぴは?」
「私もそれでいいよ」
「じゃあ、決定ね。ついでに1日の照明とか重力なんかも、メイクンに合わせとくね」
「「うん」」
「あとは、これからのことを決めないとね。まず、どのくらいでつくかハピわかる?」
「今いる場所が宇宙の果てになるんだけど、目的のメイクンまでは20年掛けて行けばいいんだって。まっすぐならすぐなんだけど、星とかブラックホールとか避けながら進んでいかないとだし、なんでも女王様がいうには、20年くらい掛けて向こうへ行ってほしいって話しらしいよ。魔物の時代がうんちゃらっていってたね」
「20年か、折角十分に時間あるし、ぴぴぷちゃ号でこの体に慣れながらも修行すればいいかな」
「そうだね」
「我輩猫の体のことは詳しくないんだけど、この体ってどのくらいの寿命なのかな? 地球の猫なら20年もすれば寿命になるよね」
「わたしの予想だと、20年たってもまだまだ大丈夫だと思うよ。やっぱCPがある世界だと、CP分能力も寿命も延びるからね。特に今回はハピが手入れした高性能の毛皮だから、やろうと思えば、長長時間活動できるはずだよ」
「そうなんだ、じゃあ、メイクンについてからの害獣駆除も十分やれるね」
「そういえば、さっきエネルギー減ったって言うけど、補給は大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。猫の国で満タンにしてきたし、いまも口をあけて宇宙のCPを回収してるしね。それに、ぴぴぷちゃ号の場合、ぴぴとぷうが内部にいれば、どんどん回復していくんだ」
「それなら安心だね。じゃあ、メイクンにつくまで20年、修行とかしながら、まったりすごそうか」
「「うん」」