表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/82

ハピと妖精トリオと王都の混乱

 巨大ぶどうを大量に収穫したハピ達は次なる果物を求めて移動を開始する。


「次はどんな美味い果物に出会えるか、楽しみだぜ」

「ええ、本当ですわね」

「ぶどうがあって、しかもちょっと涼しげなこの気候ってことは、なしとか、かきとか、くりとかあるのかな~」

「お~、どれも美味そうじゃねえか」

「・・・・・・」


 シクラメンは猫トラックバージョン2の居住スペースに、持ち込めるだけぶどうの粒を持ち込んで、一人、一心不乱に食べている。だが、目はどんな美味しいものがあるかわからないと、外を睨みつけるようにせわしなくきょろきょろ動き、耳もハピ達の会話に敏感に反応しているようだ。


「おい、ハピ、まずい。なんか強そうなのがいるぞ」

「ええ、危険ですわ」

「見ろよ、あのタテガミみたいな首周りに、猛禽類のような口、おまけに凶悪そうな角まで付いてる。あれは完全に肉食獣だぞ」


 2人の視線の先にはトリケラトプスのような巨大な恐竜モンスターが複数いた。こいつらもでかい、例の恐竜より一回り小さいくらいで、すさまじい大きさだ。ハピはブラキオサウルスとトリケラトプスって、いた年代同じだっけ。という疑問を持ちながらも、まあ、こっちのほうがはるかに巨大だし、似ているだけで一緒のものではないのだろうと、思うことにした。


「あれも草食獣だから平気だよ。あの角も護衛用だね。そもそも角って、草食獣のほうが付いてること多くない?」

「言われてみればそうだな」

「ええ、それに、目が違いますわね。先ほどの首の長いモンスターもでしたが、凶悪な肉食系モンスターとはちがい、愛嬌のあるかわいらしい目をしておりますわ」

「あの辺の背の高い草をもしゃもしゃしてるってことは、草食獣にとってはあの草はおいしいのかな。よし、収穫しよう!」

「ええ、わかりましたわ」

「おう、まかせとけ。シクラメンは~」


 ブンブン!


 ぶどうを頬張りながら全力で首を振る。どうやら食べていたいようだ。


「れっつごー」

「「お~!」」


 ハピとグラジオラスとローズは草を刈る。草は巨大な恐竜がもしゃもしゃしているだけのことはあって、すごく大きい。3mくらいはありそうだ。そんな巨大な草をハピはサイコキネシスで、グラジオラスとローズは魔法でどんどん刈っていく。すると、ズシンズシンと大きな音が鳴り響く、トリケラトプス達は音のほうを警戒しているようだ。


「なに? この音」

「大きいね」

「ああ、あのモンスター達も警戒している。やばいのがくるかもな」

「みんな、猫トラックバージョン2にもどろう」


 ハピ達が猫トラックバージョン2に戻ると、ビッグヘッドランドドラゴンの成体が1匹現れた。


「あのモンスターは・・・・・・」

「ああ、俺らが食べてる肉だよな」

「うん、なんか険悪そうな雰囲気だよね」


 ビッグヘッドランドドラゴンはトリケラトプスに襲いかかろうとするが、トリケラトプス達も角から魔法をがんがん発射してこれを寄せ付けない。多勢に無勢とあってはビッグヘッドランドドラゴンも不利だが、ここでビッグヘッドランドドラゴンが思いっきりブレスを放った。ゴブリンの王都では有無を言わせずに城壁や丘を消滅させた極悪ブレスだが、トリケラトプスはその強靭な頭部でこれを防ぐ。


「おお~、すげえなあの草食モンスター、魔法の威力も半端ない上に、あんな高出力のブレスまで防いじまったよ」

「ええ、すさまじいですわね。私達では入っていけない高レベルなバトルのようですね」


 だが、トリケラトプスはビッグヘッドランドドラゴンのブレスを防いだのはいいものの、かなりのダメージを受け、ちょっと苦しそうだ。周囲の木々もゴブリンの王都周辺とは違い物質が消滅まではしていなかった。これも自然界の魔力濃度の差によるものなのだろうか。その後もお互いに牽制しあいながらも、バトルが続く。だが、このままバトルさせていては草に被害が及ぶ可能性が高かった。


「むう、このままだと草がやられちゃうね。あいつ狩ろう。邪魔」

「ハピ、気持ちはわかるが、どうやって狩るんだよ。俺達じゃ太刀打ちできないぜ」

「ええ、そうですわ。ここは巻き込まれる前に引きましょう」

「ふっふっふ、こんなこともあろうかと、ぷうにスペシャルな戦闘用ゴーレムを作ってもらったからね。まあ、見てて」


 ハピはそう言うと猫トラックバージョン2の荷台から、1体のゴブリンゴーレムを取り出した。巨大。そのゴブリンゴーレムを現す言葉はまさにその一言だ。全長50mという巨体。だが、頭部の大きが20mという頭でっかちさは、誰の目から見ても一目でぷうのゴブリンゴーレムだと、認識させてくれる。かっこうや装備品はハピが使うということで、すべて銃ゴブリンゴーレムが元になっているのだが、その手に持った銃はもはや戦艦の主砲のごとき大きさだ。これでは銃ゴブリンゴーレムというよりも、大砲ゴブリンゴーレムだ。


「すごいですわ」

「ああ、なんだこれ、反則だろ」

「すご~い。なにこのゴーレム。このゴーレムから感じる魔力量、あの肉食のモンスターより上みたい。 あたしの力じゃ、ここまでのものは作れない」


 このゴーレムの登場に、いままでぶどうを必死に食べていたシクラメンも会話に参加してくる。ゴーレム使いとして、気になるのだろう。ハピは、んしょんしょと巨大ゴブリンゴーレムに乗り込む。


「動け、スーパーゴブリンゴーレム!」


 ハピは魔力をスーパーゴブリンゴーレムに流し込むと、スーパーゴブリンゴーレムが動き出す。流石はぷうのとっておきだ。消費魔力も凄まじい。


「いっくよ~」


 ハピはスーパーゴブリンゴーレムの持つ大砲を構える。狙いはもちろんでっかい顔の肉食恐竜だ。


「ファイアー!」


 スーパーゴブリンゴーレムの大砲から、巨大な土の砲弾が発射される。大砲とは言いつつも、ただの魔法発射装置なので轟音もマズルフラッシュも反動も発生しない。誤射防止のために、ハピの当てたいところに自動で飛んでいく親切設計なので、本来は砲身すら必要ないのだが、そこは太く長い砲身があった方がハピが喜ぶと思い、ぷうが取り付けた。事実意味のない無駄に長い砲身は、ハピの男心をくすぐった。


 スーパーゴブリンゴーレムこら放たれた砲弾は見事に肉食恐竜の額を捉えた。当然この巨木の森に来ることを見越して作ったスーパーゴブリンゴーレムの一撃は、恐竜の額を貫いた。怪我をしたトリケラトプスも、自己治癒魔法で回復中のようだ。特にハピ達が何かする必要はなさそうだ。もっとも、ハピの使える回復魔法は、猫グッズの猫の救急箱しかないため、恐竜に効果があるのかは微妙なところだ。せめて同じ哺乳類なら効果は多少なりとも期待できたのだが。


「ふっふ~ん、みたか、このスーパーゴブリンゴーレムの実力を!」

「うわ~、すご~い」

「すさまじい威力ですわ」

「ああ、最強だな!」


 ハピとしてはついノリで独り言のようにいったセリフだったのだが、3人に見事に拾われていた。


(ううう、聞かれてた。はずかしい)


「それじゃあ、この恐竜は持って帰ってお肉にしてもらうとして。我輩達は気を取り直して草刈再開だね!」

「「お~!」」

「あたしはぶどう食べる」


 こうして3人は草を刈り、1人はぶどうをもしゃもしゃと食べていると、トリケラトプス達が近づいてきた。トリケラトプス達は草を口でくわえると、首を上げるようにして草を引き抜き、ハピ達の前に置いてくれた。どうやらトリケラトプスからのお礼のようだ。結構たくさん草をくれると、トリケラトプス達は去っていった。


「ふう~、あの草食の恐竜のおかげもあって、いっぱいとれたね」

「ああ、こんだけありゃあ十分か?」

「うん、そうだね」

「では、次に参りましょうか」


 ハピ達は再び移動する。おいしい食べ物をもとめて。




 ハピ達が出発してまもなく、妖精の国の王都にある王城では、けっこうな騒ぎになっていた。ここは近衛師団団長の執務室。つまり、アオイやグラジオラス、シクラメン、ローズの上司、ナノハナの部屋だ。


「ナノハナ団長、第2~4部隊の副隊長を兼任している者たちからの報告書が来ています」

「どんな内容なの?」

「はっ、グラジオラス、シクラメン、ローズの3名が、1月ほど外出するとのことです」

「どこにだれと行くのかの情報はありますか?」

「はっ、ハピさんという猫と一緒に巨木の森へ行くということです。3人の副隊長からの報告書では、グラジオラスが農作業の手伝い、シクラメンとローズは美味しい果物を取りに行くと書かれております」

「ふふっ、なら心配いらないわ。先日の巨大牛モンスター討伐の際の祝勝会で、ハピ様が美味しいチーズを探していたらしくてね。さくら様が、いい作物があれば、旧王都で作れるという話をしたらしいの。恐らく、そのための植物を取りに行かれたのでしょう。グラジオラスが農作業と言ったのは、そういうことでしょうね。残りの2人は、草とか果物を探しにいくと言われて、果物の部分にのみ食いついちゃったのでしょうね」

「なるほど、ですが巨木の森はこの大陸最高の危険地帯ですが、大丈夫なのでしょうか?」

「あら、ハピ様がいるということはぴぴ様とぷう様もいるのでしょう。ビッグヘッドランドドラゴンの首を一撃で落としたぴぴ様に、巨大牛モンスターを一撃でしとめ、ぴぴ様と互角の実力をもつといわれているぷう様もいるのでしたら、本当に農作業のお手伝いだけではないでしょうか。シクラメンが食べ過ぎないかだけが心配ね」


 そのとき、ちょうど来客があった。


 コンコンコンッ。


「東門より報告書が届いております」


 どうやら来客ではなく、部下が報告書を持ってきてくれたようだ。秘書が報告書を受け取り、ナノハナに報告にやってくる。


「ナノハナ団長、東門より、ハピさん、グラジオラス、シクラメン、ローズの4名が、珍妙な猫型の魔道自動車に乗って外出したとのことです」

「そう、もう出かけたのね。事前に決まっていたことなら連絡をくれるはずだから、先日の商業ギルド襲撃事件の時みたく、急遽付いていくことにしたのかもしれないわね。ふふふ、よっぽどハピ様のことが気になるのね」


 ナノハナはのんきに報告を聞いていたが、報告をした秘書さんの顔が青ざめていく。


「あの、ナノハナ団長」

「なあに?」

「門番からの報告書なのですが、王都から出て行ったのは、ハピさん、グラジオラス、シクラメン、ローズの4名だったと記載されております」

「そうなのね」

「あの、強いのはぴぴさんとぷうさんですよね? ぴぴさんとぷうさんの名前が、無いのですが・・・・・・」

「え・・・・・・」


 ナノハナも秘書の顔色が悪くなった理由がわかった。


 コンコンコンッ。


「北門より報告書が届いております」


 嫌な予感がする。秘書は素早く報告書を受け取ると、ナノハナに報告する。


「団長、北門からの報告書では、ぷうさんがアオイとハンターギルドのメンバーと一緒に狩りに出発したとのことです」

「まさか、本当に4人だけで行ったというのの? ぴぴ様が出た痕跡はありますか?」

「いえ、この時間帯の4門からの報告書は今の北門の報告書で終わりですので、外出はしていないかと思われます」

「すぐにぴぴ様を探して事情を聞きます」


 ナノハナはすぐに部下に指示を出す。ぴぴ捜索班、ハピ達4名を追跡捕獲する班。追跡班の食料等の物資確保班などなどだ。ぴぴの居場所はすぐに判明した。ナノハナは移動しながら報告を聞く。


「ぴぴさんの居場所がわかりました」

「どこなの?」

「ハンターギルド本部の訓練場です。クロ将軍、うすき大臣、ブランシュ様、ハンターギルドのリオンギルドマスターと一緒に、特訓中とのことです」

「わかったわ、急ぐわよ」


 ナノハナと側近は王都ハンターギルド本部へと乗り込む。ぴぴとぷうの強さは聞いていたし、ぷうに関しては目の前でその力を見た。アオイとの1対1、グラジオラス達との約300対1、どちらもまじめにやっている雰囲気は無かった。グラジオラス達の最強の攻撃をあえて使わせてその上で圧倒して見せた。流石に300対1であそこまで力量差があるとは思わなかった。だからこそ一縷の望みに賭ける。後方支援部隊だからといって弱いとは限らない、ハピも実は強いんじゃないかというそんな思いに。


「訓練場に行かせてもらうわね」

「これはナノハナ様、どうぞお通りください」


 訓練場の扉をば~んっとあける。


「ぴぴ様はいらっしゃいますか?」


 その時はちょうどわんこ大臣と戦っている最中だった。わんこ大臣は空中でピンボールの球みたいに飛び回っている。特訓というよりも、一方的な攻撃だ。


「おう、ナノハナのお嬢ちゃんか、ちょっと待ってな。もうすぐ大臣の番は終わるからよ」


 そういうと30秒も待たずにわんこ大臣の番は終わった。


「お~い、ぴぴ~。お客さんだぞ~」

「は~い」


 素早くぴぴがナノハナのところへやってくる。


「ぴぴ様、お伺いしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

「うん、なに~?」

「今ハピ様が巨木の森に草や果物を取りに行っていることはご存知ですか?」

「うん、知ってるよ。チーズのために行ってくるって言ってたから」

「ぷう様も別件でお出かけ中ですよね?」

「うん、ぷうはアオイとカリンとモンスター討伐にいってくるって言ってたよ」

「ハピさんは後方支援役、つまり、戦闘要員ではありませんよね?」

「うん」

「巨木の森はこの大陸最強のモンスターの領域です。そんな場所に行くのに、戦闘要員であるぴぴ様とぷう様抜きで、大丈夫なのですか?」

「ハピなら平気だよ。ぷうが特別なゴーレムを作ってたみたいだし、乗り物も超パワーアップしたみたいだからね。戦うなり逃げるなり、その時の気分で決めるんじゃないかな。それに、もしそのゴーレムとかが壊されたとしても、ハピは足も速いし頑丈だからね。未知の凶暴なモンスターがいたとしても、やられる可能性なんてないよ。むしろ迷子の可能性がちょっとあるかなってくらいだよ」


 ぴぴからすれば、ハピは別に守らなきゃいけない存在ではない。ぴぴ達の関係からすれば、父猫がハピで、姉猫がぴぴ、妹猫がぷうくらいの感覚だ。それに、もし、ぷうのゴーレムがやられたとしても、いざとなったらぴぴぷちゃ号もいる。


「そうですか。では、以前ぷう様が模擬戦をした、グラジオラス、シクラメン、ローズの3名が、ハピ様についていったことはご存知ですか?」

「ううん、聞いてないよ。ついてっちゃったの?」

「はい、副隊長達に出かけると連絡があり、門番からも4人で猫型の魔道自動車に乗って出発したとの連絡がありました」

「う~ん、事前に決まってたらハピは教えてくれるはずだから、この間の商業ギルドの時みたいに、出発直前で意気投合したのかな?」

「私もそう考えております。そして、ハピ様が1人なら問題ないということはわかりました。あの3人がいても大丈夫だと思われますか?」


 ナノハナの表情はすぐれない。あの3人のことが不安なようだ。


「ハピと一緒なら、心配しなくていいよ。ハピは確かに普段グータラしてるし、よく寝てるし、バトルなんかもそこまで好きじゃないけど、なにかあったらぴぴぷちゃ号があるから、そんなに心配しなくてもいいよ」

「ぴぴぷちゃ号、ですか?」

「うん、私達のお家兼宇宙船で、正式にはかわいい宇宙船ぴぴぷちゃ号とか言ってたかな。ハピの猫グッズの1つで、私達がメイクンに来るのに使ってた宇宙船なんだけど、なかなか一筋縄じゃいかない宇宙船なんだ。私もぷうも、ぴぴぷちゃ号には何度もつかまってお風呂に入れられたの」


 ハピはともかく、ぴぴとぷうはお風呂嫌いである。というよりもほとんどの猫はお風呂が嫌いだ。


「そんな強い宇宙船があるんですね」

「ハピの猫グッズは、基本的にはハピが私かぷうに使ったほうが効果的で、ハピが1人で使っても対した効果がないことが多いんだけどね。ぴぴぷちゃ号だけは、ハピが1人で使ってもそこそこ効果的なんだよね。だから、ハピと一緒なら、あの3人も大丈夫だよ」

「そうなのですね。一つ疑問に思ったのですが、そんなに強い宇宙船なら、なぜ普段から使用しないのですか?」

「それは、猫の国のルール的に問題が多いってことで、女王様から使用を禁止されてるの。でも大丈夫、ハピはちょっとくらいのルール違反、平気でやるから」


 途中安心しかけていたナノハナだったが、やっぱり不安要素いっぱいだ。なにせぴぴの話では、猫の国のルール違反をしなければ、ハピでは3人を守れないと言ってるも同然だ。とはいえ、ぴぴのいう猫の国のルール的に問題があるというのは、他の猫達との公正な競争に問題があるというだけで、そんな命がけの状況下でも守らなければいけないほどの、ハードな理由があるわけではないのだが。


「ぴぴ様、ありがとうございます。やっぱり私、追いかけてきます」

「ちょいと待ちな」


 ナノハナがぴぴにそう言い、外に出ようとしたところで、1人の妖精族がナノハナをとめた。現れたのはぴぴ達が食いしん坊認定しているおばあちゃん妖精のうめだ。お供も何人か引き連れている。


「うめ様」

「話は聞いたよ。ナノハナ、お前が部下をかわいがっているのはわかる。だけどね、あいつらはあいつらの意思で行ったんじゃないのかい? それを尊重することもできないってことは、あいつらのことは信頼できないってことか?」

「そういうわけではないのです。各所からの報告は、ちょっと遊びに行くような雰囲気で、農作業手伝ってくる、ですとか、おいしい果物食べてくる、といった内容でした。ですので、行き先を誤解している可能性が高いのです。私はさくら様から事前に知らされていましたので、違和感なく対応できましたが、ちょっと草や果物を取りに行くといわれて、巨木の森だと誤解なく受け取れるでしょうか? しかも、同行者は、戦闘能力に長けるぴぴ様やぷう様ではなく、非戦闘員で後方支援役のハピ様です」


 ナノハナは秘書に指示して、各所から送られてきた報告書をうめにも見せた。


「これはたしかに、巨木の森という危険地帯に行く雰囲気の報告書とは思えないね」

「言い方うんぬんなら、間違いなくハピはピクニックにでも行くような言い方だったとおもうよ。私達にも、ちょっと草刈りしに行きたいっていうような言い方だったし」

「これは、お前の言う様にまずい気がするね」

「はい、私はまずいと思いました」

「私はハピがいる限りそんなに心配しなくてもいいと思うけど、そんなに心配なら追いかけてみたらどうかな? ハピは私より後に出発したから、出かけてからまだそんなに時間経ってないと思うよ」

「うむ、情報感謝する。ナノハナ、巨木の森に入る前に追いつくんだよ」

「はい、うめ様」


 こうしてナノハナはハピ達を追撃することになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ