7話【辺境の村の外に出てみる2】
夜中にこっそり素材調達してバレないよう帰宅。いや~転移魔法が便利すぎて多様しそう。
ただ、欠点なのが自分の行った場所にしか転移できないって所かな。
だから今の段階で海藻など欲しくて海を思い浮かべても転移できない。
残念だけどないものねだりはできないね。しかも後々考えてみれば漆喰とか材料聞かれたときに言えないし私がいなくなった後生産できないからなくて正解だったのかな?
それ以外は村の外だし最悪植物とかは外から持ち帰って村の中で養殖させればできなくもないし私がいなくても生産が滞ることもないだろう。
畳は家族以外にも反響があったが材料の元が村の外にあるので我慢してもらおう。住居も大事だけどそれより率先すべき物を作らなければ。
どこにでもある土や石ころを集め魔力を対価に錬金。あっという間に鉄が完成。
後は村で加工する。誰かが見ている場所でやらないといきなり出来合いものをだされても驚くし。
「今度はなに作ってるの?」
「水を楽に出す道具を考えたから作ってみるの」
「まあ!それはうれしいわ。この石を使うの?」
「うん、近くの川とかで父さんの剣と同じ素材があったから集めてみたの!」
「父さんの剣?・・・これ全部鉄って事!!」
この驚き顔も最近はよく見かけるなぁ。でも自重はしない。冒険者になるまでにある程度は村の改造を着手したい。
「これをこうして・・・・こう・・」
「・・・・・???」
私の手元を凝視する母さん。私は目の前のアカシックレコードで検索した手押しポンプの設計図を見て組み立てる。手押しポンプで重要な木玉を風魔法で加工する。刃物いらずで嬉しい。風魔法は攻撃魔法も便利だけどこういった加工も応用すればできる。魔法の力ってスゲー。
出来上がったポンプに水魔法で空中に水の球体を出しくっつけて動作確認。
数回空振りの後勢いよく水が出る。バシャバシャと勢いよく出る水が地面を濡らす。うん、設置した後下も石とかで舗装しないと泥が飛び散るわね。
「ええ!!」
「できた!」
ただ上下にレバーを押すだけで水が出てくるという画期的な道具。水道なんてどこにもないこの時代精々これが最先端といえるだろう。物足りなさはあるが私は水魔法でちょちょいとだせるので問題ない。
「母さんコレあそこの井戸に取り付けていい?」
あそことは家から一番近い井戸だ。
「え、ちょっ・・ちょっと待ってて!今村長呼んでくるから!!!」
そう言うとバタバタと村長の家に走っていきすぐさま村長をつれてきた。
私がレバーを上下して水をバシャバシャだすと目をかっぴき大きく口を開けてポカーンとしていた。
「な、なんと!」
「村長、コレあそこの井戸に取り付けてもいいですか?」
「あ、ああ。いいとも・・・それと付けたらワシもやってみてよいか?」
「うん!」
許しも得たので早速取り付けにかかる。井戸のロープで下に降りて鑑定してみたけど結構浅いな。けどそのさらに地中に大きい水脈もあるしこっそり掘っちゃえ!石材も使って周りも強化してからパイプを設置する。
そして手押しポンプの周りは石材で整えておく。
今の状態は井戸の上に屋根が建ててある程度で地面はまんま土オンリー。なので手押しポンプの土台とその目の前を石材で作り、舗装する。
屋根もついでにもっとおっきくひと数人入っても大丈夫な広さにしてみた。
その作業をわずか数時間のうちに完成させ村長は終始驚きっぱなしだがポンプを使ってみると興奮した様子で何度もバシャバシャと水を出す。
その騒ぎに気が付いたのかほかの村人たちも来てさらに周りが騒ぎ出す。
特に女性陣はキャーキャー!とテンションが高く村長に私が手押しポンプを作ったと聞いて詰め寄りそかの井戸にはつけれないのか!と追い詰められた。
その迫力に内心ドン引きつつも村長の許可が下り次第作って設置するといったら女性陣は一斉に村長につめより強引に許可をもぎ取った。
村長はポンプうを使った時点でディアにほかの井戸にも設置できないか言おうと思ってたがそれよりも早く女性陣の素早い行動と圧にただ首を縦に振ることしかできなかった。
「じゃ、じゃあ作り次第取り付けに来るね?」
「ありがとう!この魔道具があれば楽に水汲みできるわ!」
「う、うん。がんばるよ」
目力がすさまじい。早く作って設置してくれと圧も感じる。
水は生きていくうえで必要不可欠なにでどうしても毎日汲みにいかないといけないが重いし大変だ。
少しでもそれが軽減できるのであればいくらでもチートを使おう。というか使わないと作れない。
「ディアルクよ、すまないな無理を言って・・・」
「ううん、あとこれ魔道具じゃないよ?後で作り方を書いて渡すから、そうしてら村でも作れるかもしれないし」
「なに!いいのか!!」
「うん!」
「こんなすごい物のレシピを惜しげもなく見せるとは・・・」
「だって僕冒険者になりたいからいつか村を出るよ?レシピがあれば僕がいなくても直せたり作ったりできるでしょ?」
「ふむ、・・・このまま村にいてもいいんだぞ?」
「ううん!冒険者になる!」
「そうか・・」
なにやら落ち込む村長だが私は冒険者になる夢は現実にさえてもらうので諦めて欲しい。
むしろレシピまで放出させてるだけ私なりの恩返しと思って欲しい。
ここまで成長したのは優しい両親や周りの村人たちの協力あっての事。それが分かってるからこうやって村を少しでも豊にしようとしてる。
だから村長自分の娘をそそのかしてこっちに仕向けないで欲しい。かわいい子だよ?私より1,2歳上らしいけど必死におねぇちゃんぶって世話をしようとする姿に微笑ましさも感じるほど。
最近はおしゃれに目覚めたのか私が魔法で身綺麗にしていると聞いてそわそわしていた。
こりゃあお風呂も早く作った方がいいかな?
でもお風呂は清潔を保ち病気の予防にもつながるがこの世界では完全に必要という意識がなく。むしろ身分の高い高貴な身分や温泉が湧く地域でしか入れないのが現状だ。
この地帯に温泉が湧く場所はなく一々水を汲んで水を沸かす作業が必要だ。
人が入れるほどの水汲みはたとえポンプが出来ても重労働だろう。しかも温度を保つとなると薪も量もバカにならない。
故に魔法で我慢。けど私が村を出ればそれすらできなくなるかなぁ。どうにかいい方法がないかなぁ?
「ディア、ありがとう!村の人たちからお礼にってもらっちゃったの!」
「お、今夜は豪華だなあ」
「おいしい!」
「私もあの道具はとっても便利でディアが外に行く間に何度もやってみたけどとっても便利だったわ!」
「はぁー、ディアはどんどん凄い物をポンポン作っちまうな」
「けど、どれも思いつきで作ってみただけなんだ。だからこれから使ってみて悪い所とかすぐこわれるか分からないから村長に作り方は教えたんだ」
嘘です。けどいきなり文明の利器を作りすぎて怪しまれたりしないようホラも吹く必要はあるよね。
「そうなのか」
「うん、だから父さんも母さんもなんかあったら言って欲しいんだ」
「わかったわ」
疑問に思わない両親にこんな素直すぎて大丈夫なのだろうかと心配になったけど藪は突かずスルーしとく、蛇が出てきちゃたまったもんじゃないし。
その後頑張って一週間以内になんとか村全部の井戸に設置できた。
村の人たちにまた喜ばれ村長ともども村残れコールや子供達を使って私と繋がろうと外堀を必死に作るその頑張りに思わず苦笑いがこぼれた。