4話【辺境の村で水魔法(母視点)】
次の日、小麦は見違えるほど元気に茎を増やし昨日の痩せた姿が見る影もない。
そのあまりの違いに半信半疑だった村長も目の前の後景になんども目をこすり現実かと確かめる。
元気いっぱいのしかももう実も付け始めてる小麦を見て「げんきになった!」と嬉しそうなディアに目をやる。
「なんと、ここまで違うとは・・!」
「げんきだね!」
「やっぱりディアの魔法のおかげであんなに成長したのね」
野菜畑も採ったのにも関わらず別のところから実をつけていた。そのまま齧ってもおいしくいままで食べたどの野菜よりもおいしかった。
原因はどうみても息子の魔法のおかげであろう。しかし植物を元気にする水の魔法など聞いたことない。どうやって出来たか聞いても「げんきになってねっておもいながらやったの!」とたしかに魔法は想像力も必要だと聞いたがそんな単純なことでここまで出来るのだろうか?
「うーん、もしできるならほかの畑の方もやってくれないか?」
「うん!できるよ!」
「ほう、本当に魔力が多いのか」
「この年でこんなに魔力を持ってるとは・・将来有望だの」
「ええ、本当にしかも無詠唱でここまで出来るなんて・・・」
「だが、これで今年は飢えることがなくなりそうだ・・ありがとうな二人とも」
「いえいえ、私たちは何にも、ディアが一番頑張ってくれた事ですから」
「えへへ~」
私と村長に褒められ綺麗な顔を赤らめ嬉しそうにはにかむ息子に2人そろって頭を撫でる。
息子は私(女)からみても男にしておくにはもったいないほど綺麗な子。アルクがいうには自分の親、その親の親も冒険者で様々な種族の血を引いてたのでそれがディアに濃く現れたんじゃないかと言っていた。
たしかに人族というよりエルフ族と言われたほうがまだしっくりくるわ。
魔法もエルフ族のほうがまだ使える人が多いとアルクがいってたし、おそらくそっち方面の血が出たんだろう。なんにしても私とアルクの子だ、今以上に立派な子になるであろう。
それに最近はなんでもかんでも私とアルクの真似をしたいらしく「ぼくもやる!」と言ってくる。
それにとても優しい子で洗濯物もわざわざ水魔法で水を出し一緒に洗う手伝いまでしてくれる。
同じくらいの子をもつ人に聞いても家の中をわいわい走り回ったり遊んでばっかりだといってたけどうちの子は遊びよりも手伝いに夢中で少し心配だわ。
同じくらいの子とあまり遊ばない所為かほかの子とくらべても大人びている。ほかの子もディアが綺麗すぎて近づけないらしく男の子たちも女の子より綺麗なディアにちょっかいをかける所為ディアは苦手意識が生まれよけい大人たちの手伝いをするという悪循環が生まれてる。
でも頼られていることはうれしいらしくニコニコ率先してやってくれてる。
なにかと驚きの多い子だけど今のように優しくいい子のまま大きくなって欲しい。