一話【辺境の村で1】
国の都市からかなり遠い端っこの辺境の土地。
そこで私は生まれた。
村は大変貧しくそれでも一日一日を必死に生きようと働いている。
おもな村の財産は村で作ってる小麦はメインで家庭菜園程度の場所に野菜がチラホラある程度。
男たちは狩りをしたり少し近くに川があるので魚がたまーに獲れる程度。
山や周りの森には木の実と言った森の恵みもあるのでそれで日々の飢えを満たしている。
しかしあまり奥に行くとモンスターの縄張りに入ってしまうので基本村の外に行くのは大人の男のみ。
だがそこは野生相手。そう簡単に捕まえられない。
捕まったらラッキーというのが常識だ。
そんな男たちが外に行っている間は子供や女がする仕事と言えば畑の管理がメインだ。井戸から何度も水を汲んでは畑にまき後は刈り取った後の麦わらを籠にして市場に出す程度。
それでも日々の糧につながるのでもくもくとやっている。
こんな時に魔法があれば便利なんじゃ・・と思ったがどうやら魔力は生きている者皆等しくあるがほぼ魔力の量と質が低く、仕えたとしても火種やコップ一杯程度しか出せないらしい。
しかも魔力の質(属性)は一人一属性が基本で一割程度の人のみ2つ程度の属性をもっている人がいるくらいで3つの属性をもっていた人は伝説上いたらしい。
・・・私全属性の上に特殊属性(時空や生命など)の高品質&無限魔力特典なんですが。
神様そういうことは早く言ってくださいよ。まあ使えるものは使いますが。救いなのは私の今世が貴族ではなく平民で父親が冒険者ということもあるおかげで逃げ道も作りやすい環境なのは助かる。
ただこの世界は現代を生きてた私が思うにとても原始的な文化のままでそれがとても気にくわない。例えば食文化、この世界の主食はパンである。しかもひと昔のガッチガチのパン。フランスパンも目じゃないほど硬い。
衣食住どれもが前世に劣っている。時たま手に入るモンスターや獣の肉がなによりのご馳走であり、そんな状況下の中現代っ子の私はそうとう辛いものだ。
ベットもふかふかの綿ではなく藁。ちくちくするしけどこの世界ではこれが当たり前らしい。
改善しようもまだ3歳児の私は親に守られて生活することしかできない。
しかし、この劣悪な環境を打破すべく使えるモノ(チート)は使いたい。
このまま平和なスローライフを極めたいがさすがの環境にテンプレよろしくチートを両親にチラリ見せよう。
ダイジョウブ、チョットダゲダカラ・・・
「かーか!みて!みずいっぱいでたよ!」
「ディア!どうしたの!!」
「あのね?かーかいつもおみずはこんでたからぼくもできたらっておもったらできたの!」(あのね?かーかいつもお水運んでたから僕も出来たらって思ったの!)
「まぁ・・まあ!!アルク!!アルク!!ちょっと来て!!」
「ん~どうし・・!!ディア!!水浸しじゃないか!!」
「アルク!ディアが魔法で水を出したのよ!!」
「何!!本当か!」
「あのね?かーかのおてつだいしたくて・・・ごめんなしゃぃ・・」
ちなみにディアというのは私の今世の名前である。しかしディアは略称で本当はディアルクという名前です。ただ顔が女よりすぎてみんな略称で呼んでる。この美少女顔が成長につれてどれだけ男よりになるのかな?男性フェロモンに期待である。ただし髭、テメーはだめだ。
「ううん、それよりディア具合はどう?気持ち悪くはない?」
「だいじょうぶ!それにもっとだせるよ!ほら!」
「「!!!」」
そう言って小さな手のひらからドバドバ水を出す。
その光景に両親は目をこれでもかと開きそして母のカトリナが慌てて水瓶を持ってきたのでその水瓶をいっぱいになるまで水を出した。
そしてどうやら魔力の質が高いと魔法にも影響するようで・・・
「「お、おいしい!!」」
「なんだこれは!」
「水がこんなにおいしいなんて!」
「おいちー!」
私が出したお水はとっても旨い。これはいい、しかも鑑定をすると野菜などとても美味しく育つ効果まであるらしい。チートってすげえ。
「かーか、ぼくおてつだいできる?」
「もちろんよ!!ディア、なんていい子なの!!」
「さすが俺たちの子だ!!でも無理だだめだぞ?疲れたらかーかにきちんと言うんだぞ?」
「はーい!」
便利な力があろうとそれでも我が子を心配する両親に本当にいい親の元に生まれたなと実感した。
けどこれで水関連の手伝いはできるようになる。
飲み水はもちろん畑の水やりも、これで母親の仕事も少しは軽減できるかな?