9話【天才な年下の子(村長の娘視点】
この村の村長の娘に生まれてからそれ以降の年下の子のおねーさん的なポジションでみんなから頼られていた。
一人娘で兄妹もいない私は両親は甘く周りの村人も村長の娘ということで慕われていた。
村の子供たちは悪ガキを除く小さな子達などは頼ってきたり一緒に遊んで欲しいとせがまれる。
甘えられるのはうれしいが頼られるというのは身内ではいないので嬉しくてついおねーさんぶって下の子達を率いてよく村内で遊んでいた。
そんな中もと冒険者だった村人の人の夫婦に子供が出来た。
その子はとっても綺麗で両親には似ていなかった。かといってこの村内のどの人にも似ていなかったので浮気という点では可能性は低いと思う。
ディアルクと名付けられた子はすくすくなると同時に一層美しく育っていった。
それに加えて魔法も使えることが判明してさらにディアは村内で有名になった。
なんでもディアの魔法で出てきた水を畑に撒くとたちまち野菜が元気になり美味しく育ってく。というものらしい。
最初はそんな馬鹿な話あるのかと父さんが呟いてたが数日後大振りでどれも美味しそうな野菜がたわわに実っている畑を見て父さんが歓喜してディアの家に朝一で知らせに言った。
その後もあの子はスイスイ見た子のない便利な物を作りだしそれが村の利益にもつながり去年まで餓死者まで出ていたのがうそのように羽振りが良くなった。
父さんはディアの事を金を生む卵とか言ってここにずっと住んでもらおうとディアの両親に話しているんだけど肝心のディア本人が父のような冒険者になりたいと言っていたらしく本人の意思を尊重するから・・と父さんの話は断っている。
「もったいない・・・いてくれればどんどんこの村は豊かになるに違いないのに」
確かにディアが魔法を使えるようになって劇的に村の環境は変わった。
だけどこのままの状態が続けばあの子一人が苦労するはめになるんでしょう。
そんな事はあの子の両親が良しとはしない。
仕舞には私にあの子とお見合いしてみないかと言われる。
確かにお金も持っていて顔も綺麗で最近は村の外でモンスターを狩ってこれるほど強い・・・あれ?よくよく考えてみればこれは美味しいんじゃない?
性格も優しいと言うかお人よしと言うか・・・一部面白くないやんちゃな男の子一派は無視したり喧嘩を振ってきたりしてたけどサラリと受け流す大人みたいな対応をしていた。
けどよく周りにモンスターの肉などおすそ分けしてくれたりしててどんな相談事にも対応してくれる。
それほどの優良物件は中々ないんじゃないの?
「あ、リタルちゃん。これ新しい布を織ったんだけど新しい技法をつけて染めてみたら結構いい出来だったから試しに服を作ってみたんだ。だけど男の僕より女の子の方が似合いそうだからワンピースにしてみたんだけどいる?いま仮止めしかしてないから調整もできるよ?」
そう行って木の人間みたいな像(頭無し腕無しのマネキン)に綺麗なワンピースがあった。
上は白いままだんだん下に下がっていくと赤い色が濃くなっていく。それ以外模様はないのに目を引くワンピースは国都を探してもないと思う。
自然な色合いで白から赤になっている様は空が夕日に染めていくような感じで神秘的な感じもする。
こんな素敵な物をそうほいほい渡すこと自体あり得ないがディアは着なくてしまわれるより着てくれた方が服も喜ぶと言われたのでありがたくもらったわ。
私用に調整してくれたワンピースはあっという間にできて家に帰って試しで来てみたら下の布が多いのかその場で一回転するとふわっとスカートの部分が広がりワンピースというよりもドレスのようで庶民の私がこんな素敵な物を着ていいのだろうか心配になった。
けど胸下あたりにわっかが複数あってそこに同じ色合いの太めの布を通してリボンにしたらさらに素敵で可愛くなった!最初なんであの輪っかがあるのか分からなかったけど実際あの像でやって見てもらったらとっても綺麗で可愛くで欲しくて欲しくでしょうがなかった。
私だって女の子、可愛い物や綺麗な物には目がない。多少こんな素敵な物着ていいのかな?と心配になる心を抑えて父さん、母さんに見せると二人とも「すっごく似合ってるじゃないか!」「素敵ね!お姫様みたいだわ!」と大絶賛。
特に母さんはさらに食い気味に私に問沙汰し次の日朝一でディアの元に行き数日後には私とはデザインが違うけど薄緑色のワンピースを着た母さんがウキウキ顔で村の女性陣に自慢していた。
母さんから「ディアちゃんを何としてでも射止めなさい!」と前まで「あなたが好きな子と結婚すればいいのよ~」と父さんをなだめていた側なのにこの手のひら返しだよ。
でもディアと結婚すればこんなかわいい服とか作り放題なのかな?
あ、あとディアって料理上手で見たことない料理を作っちゃうけどそれがまたすっごく美味しいの!
貯蔵用に作っていた干し肉もディアが自分で狩って干した干し肉と比べると雲泥の差でこの村にくる商人のおにーさんも売って欲しいというぐらい美味しいの。
本当になんであんなにポンポンと新しい事が思いつくんだろう?
この調子でどんどん新しい事をしていってお金がザクザク入ってもディアはその辺にある物を使って新しい物を作るからお金なんか早々かかんないと思うし美味しい料理や綺麗な洋服も出て・・・やっぱりディアのお嫁さんになった方が将来勝確じゃない?
よし!そうとくれば早速攻めにかかるわよ!
でもあの子の好みとか分からないけど・・・ちょっとお色気をだしてみたりして・・キャー!で、でもそれぐらいしないとあの子の心は射止められないかしら?
あの子の事狙っている子は結構いるし・・・・でもここは逆におねーさんとしてディアにいろいろ教えてあげて・・・
所変わってディアルク宅・・・・・
「母さん、リタルちゃん達がなんか怖い」
「そうねぇ、私も恋する乙女は止められないわ」
「恋・・というより飢えた獣の目だぞ・・」
「あらアルク、乙女は恋に盲目なのよ?」
「いや盲目じゃないだろ。しっかり狙い定めてるじゃねーか」
「アレ、逃げていいよね?」
いつも物作りでハキハキしている目がどんより沈んで畳のベンチ型ソファでうつ伏せになっているディアにさすがにこれ以上からかうのはマズイと感じた2人はそっとディアに寄り添い頭や背中をポンポンと撫で励ます。
「お前が好きな子と付き合えばいいさ」
「・・・・僕はまだ他の事やりたいから今はそういうのはいい」
「ふふ、そうね。あなたが好きな事をしなさい」
「・・うん」
今日はもうやる気ないのはそのまま伏せた状態でいるディア。
果たしてこの子が恋する頃はいつ頃になるであろうか。
少なくても今の状態ならこの村の子達とは望みは薄いであろう。
「(そもそも前世女な私に結婚とか無理だし!いや男でも現状の体だとホモになるか?!精神的レズと肉体的ホモ・・・選べるわけないでしょ!!)」
前世の中身がバリバリ入っている時点で今世では恋愛は早々放棄しているなどディアルク以外だれもしられていない。
少女たちの恋は最初から望みは皆無であった。