波乱
バレンタイン…いいな…チョコ食べたいd(-_-) 去年はチョコ30人分作ってました。 (関係ないですね)
「友菜ー掃除行こーう」
「うん!!ちょっと待ってぇ」
机の横にかけていた袋をとる。
中にはバレンタインチョコ。
私は教室を出ようとして、真の机に寄る。
真用のチョコを出そうとして、
ハッとした。
「ぇ…」
真の机の端。
消しかけたような文字。
小さい文字。
どうして
「どうして芽生の名前が書いてあるの…」
誰に問うでもなく つぶやく。
出したチョコを袋にしまって、教室を飛び出す。
悔しいわけでも、悲しいわけでもないのに、強く唇を 噛み締める。
心の奥がモヤモヤする。
掃除場所に着いて1番に見たのは、
同じクラスで
同じ掃除場所の理花が男子にチョコを渡す姿。
私もあんな風に真に渡したかった。
「友菜 遅ーい」
「…ゴメーン」
私、笑顔ひきつってないかな…
袋の中、たくさんのチョコを渡す。
そして、
最後の1人に渡そうとして、気付く。
真用のチョコがあまる…
特に綺麗なラッピング。
せっかくだから誰かにあげよう。
私は意外な程あっさり決断した。
「ハイ。滝中君」
皆とは全く違うラッピングを見て理花が腕をひく。
「ねぇ。滝中のだけ綺麗じゃん。好きなの?」
「ヤダ〜違うよぉ」
「ぇ〜でもさ…」
私の前に突如として現れたのは敬悟だった。
「…私…行くね…」
理花が小声で囁き立ち去る。
敬悟は一瞬迷って言った。
「俺にも くれない?」
苦々しい笑顔。
「いいよ。ハイ」
私は、もちろん義理チョコのつもりだった。
だけど
「…あ…りがと!!」
「ヤダ。そんなに嬉しいの?」
敬悟は違かった。
「うん、だって」
風が強く吹く。
「俺、友菜が好きだから」
私は幻聴かと思った。
違う。
幻聴であってほしかったんだ…
一瞬で、現実に引き戻される
バンッ
強くたたかれた音。
「…芽生…」
悔しそうに私を見る芽生。
「ひ…どいよ!信じてたのに」
ひどい?
信じてた?
何言ってんの。
私だって
「最悪!!アンタみたいな友達
いらなかったっっっ!!!」
痛い。
心とかじゃなくて、
もっと違うところが痛い。
目の奥がガンガンする。
あー私。
泣いてるんだ。
走り去る芽生。
「大丈夫…か?」
誰でもよかった。
真と芽生の分の穴。
これを埋めてくれる人なら、
誰でもよかった。
「うっっー」
敬悟の制服をつかむと涙が一気にあふれる。
敬悟に抱きしめられたって、
ドキドキなんかしなかったし、
真のコトを想い続けてた。
「っっー」
顔を上げると、道路側の鏡が見えた。
その鏡に滝中が映る。
なんかもう どうでも良くなって、
敬悟の腕に顔をうずめる。
広がる穴。
あふれる涙。
こみあげる感情。
止まらない。
「なぁ。俺の告白って、どうなった?」
「…ちょっとだけ、ちょっとだけ、待って。
1日だけでもいいから、時間がほしいの」
「うん…」
私、どうしたいんだろう。
やりたい事もみつからず、
願いだけが強くなる。
「友菜ー」
「あ。理花ちゃん。おはよう。」
「おはよう」
ドンッ
芽生が私に肩をぶつけ去る。
「感じ悪ぅー」
理花の言葉に苦笑するしかなかった。
真の机に書かれていた芽生の名前。
消したい記憶。
見なければ良かった。
「オイ。友菜」
「…真…」
「敬悟が呼んでる」
敬悟は、下駄箱の前で ずっと待っていたのだ
こんな朝っぱらから…
「敬悟…」
「告白の答え…」
その会話に真が割って入る。
「告ったのか敬悟!!?」
「うん」
「そぉか〜」
真は嬉しそうにすれ。
なんで人の事なのに、自分の事みたいに喜べるの?
真のそういうトコロが…
「…」
その先を考えるのをやめる。
考えちゃダメだ。
「真。私達が付き合ったら、嬉しい?」
一瞬 間をおいて、真は笑う。
「あったりまえだろ。
友達の幸せは俺の幸せだ」
そっか…
私は敬悟の腕を引いて笑顔をむける。
「私、敬悟と付き合うんだぁ」
なんだ 私。
結局。
真の笑顔が1番大切なんじゃん。
敬悟で埋められる心なんて、たかがしれてる。
そんな愛情は、長く続かなかった。