君との出会い
先に言うと長いです。 長編の話しなんで、読むのめっちゃ大変だけど、 よろしく(・ω・)ノ
あの日。
君は困ったような笑顔で ノートを手渡したね。
私は
「いらない」と言ったけど、
結局このノートは私が持っている。
ねぇ、真。
もし、もっと早く このノートを開いてたら、どうなってた?
あの日から5年。
やっとノートを開けた。
『俺は、友菜が好きだ』
そう…書いてあったよ。
「お前、絵 下手だなー」
真は満面の笑みで、悪びれもなく言う。
そして、何かよく分からない蟹の絵を描いて、
「ほらね」
って言って去っていく。
『…上手いか…?』
蟹の絵をみつめた。
「可愛い奴め」
ボソッとつぶやいて、その背中をみつめた。
新しく買ったラクガキ帳の1ページ目、
下手くそな蟹の絵が描いてある。
何だか消すのも もったいないから残しておいた。
何か特別な思い出になるんじゃないかな…
そんな予感。
いつもと同じように流れる時の中。
1つの波紋が広がる。
揺らされてるのは、私だけ。
同じような毎日の中。
昨日と同じ日々の中。
真がいる。
「ほら、描けた」
「すげ〜」
目を輝かして近すぎる程に目を近付ける真。
「こっちにも描いて」
ページをめくる真。
何度もオリジナルキャラを描かされる私。
その度に嬉しそうにして、目を近付ける真。
まるで幼稚園児。
だけど、私は それが可愛いくて
何度だって描いた。
猫っ毛を揺らし、
綺麗な目を輝かして、
天使のように笑う。
「こっちにも、こっちにも」
新しいページを開き、バンバンたたく。
5ページも それを繰り返した時に
「俺も描く」
そう言ってシャーペンを奪い描く。
だけど上手に描けなくて、
ムッとする。
首をかしげて隣りのページと見比べる。
やがて
「上手く描けない」
と言って
ノートとペンを返してきた。
「目と目の間隔が狭いんじゃない?」
「おぉっ」
ひたすらに描き続ける真を、
ひたすらにみつめていた。
可愛いその姿を、優しくみつめていた。
《時が止まればいい》と
《永遠に続けばいい》と静かに思う。
手を伸ばせば君に触れられる距離。
やたらと変化を求める私達は、変化に戸惑い生きている。
目の前の生活と思い出を大切に出来ない私達は、
まだまだ子供で変化なんて受け入れられない。
だけど たまに、
それでいいから子供のままでい続けたい と願う。
「よし描けた!上手いだろっっ!」
真は、あっという間にマスターしていた。
私の次くらいに上手い絵。
ほめたら、私が必要なくなる気がして、
素直に『上手だよ』って、ほめられなかった。
私、今でも ちょっと後悔してる。
「まぁまぁかな」
私がそう言うと しゅん…となる。
私はずるい子だから、真が喜ぶコトを1番に考えてあげれなかった。
「…じゃあ、またやるもん」
真は授業中も ずっと描いていた。
まっすぐな真――――。