#5 少女は選べない。
#5 少女は選べない。
俺たちは、学校から15分ほど歩いた所にあるショッピングセンターに来ていた。
「意外にデカイね。このショッピングセンター」
「お前は……『えっ、何て?』……え、えっと、架汝は来たことないのか?」
「何言ってるのさ! 当たり前だろ。こんな所に来るんだったら学校でオ……『さぁ、さっさと行くぞ』……ちょ、ちょっと最後まで聞いてよ!」
「で、今からあれを買いに行くんだよな」
「そうだよ。あれ? もしかして屑君興奮してるの? 顔に出てるよ」
俺はとっさに顔を隠してしまった。
くそ! 落ち着け俺。別に俺が店に入る訳じゃないんだし。
選び終わるまで、本屋で時間を潰せばいい訳だし。
「ほ、ほらさっさと選んでこいよ。俺は本屋で待ってるから」
「何寝ぼけた事言ってるんだよ〜。屑君は私がまともなパンツ選ぶと思う?」
嫌、正直思わない。と言うか逆にまともじゃないパンツって何だ?
「Tバックとかかな?」
「俺、何も言ってないよな?」
「だから、お願い!」
「・・・・・・は、早く選べよ」
「りょーかい!」
「うわー。いっぱいあるね」
「そ、そうだな」
うわぁ〜。店の人むっちゃこっち見てる。
そりゃあそうだよな。女性物の店に男がいるんだし。
「さ、さっさと選ぶか」
俺は適当にシンプルな柄を何着か選び、架汝に渡した。
「これが、普通?」
「いや、これ以外に普通があるか?」
「まぁ、いいや。じゃあ、屑君。この中で今どれを穿いてほしい?」
「いや、どれでもいいだろ!」
「もう〜。せっかく選ばしてあげてるんだから、選びなよ」
「好きなやつ穿けばいいじゃないか!」
「あ、屑君。あんまり大声で喋ると、定員さんに怪しまれるよ」
そう言われ、周りを見渡すと定員さんがこちらを見ていた。
「し、白でいいよ。さ、行くぞ」
「うん」
「屑君。今日はありがとね」
「何だよ急に」
「わかんない。でも、ありがとう」
「たまには、こう言うのも悪くはないな」
「そうだね」
「ところで、架汝。穿いてるよな」
「・・・・・・」
「その癖も直していこうな」
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