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鹿目桂衣 アパシーシンドローム

作者: 灰猫

みんないなくなってしまえばいい


こんなにたくさん人間なんていらない


箱の中にザラザラとつめて


フタをしたら火をつけて・・・




「鹿目ー!!」



ガラッと保健室のドアが思いきり開く。



「どーしたんすか?先輩?ドア壊れますよ」

上目使いに鹿目が見るのは文芸同好会の水見つかさだ。


「どーもこーもないわよ!何あの作品は!」


「え?数少ないユーレー部員の力作ですがなにか?」


「どうしてバンバン人が死ぬのよ!今度の梅春号はあたしたちの卒業号なのよ!

お祝いの詩でも書きなさいよ!!」



「まあまあ若干反社会的でもそれを表に出せるようになってきているから

彼女にとってはだいぶいいことなんだよ?」


後ろから声がして、つかさがハッと振り返ると誠史郎がいた。


「あ、失礼しました・・・また来ます」

つかさは保健室を素早く後にした。


にっこり笑う誠史郎だがつかさは苦手だった。

鹿目が保健室登校の理由がわからないし、

あの見透かしているような誠史郎の視線も怖かった。


最近はたびたび鹿目は教室へ通うようになったが、

最初に鹿目の作品を持ってきたのも誠史郎だった。


それをきっかけに鹿目は幽霊部員となって時々詩を書いてくる。

つかさにとって鹿目は不思議な存在だった。


いじめられてる様子もなかったし、普通の子にしか見えなかった。


「なんで?鹿目・・・」



「鹿目さん、どうだい最近は?」

「別にどうでもないです。どうでもいいです。何も変わらない」

「でもだいぶクラスの授業も慣れてきましたね。部活にも出てますし」

「だってさ、かいちょー、すぐ怒るんだもん」


くすくすと鹿目が笑う。


「ああ、鹿目さんは先輩が好きなんだね。大事な気持ちだ」

誠史郎も一緒に微笑む。




「鹿目ー!!」

再びつかさと副会長の芯が保健室にやってきた。


「今日のは没にするから明日出しなさいよ!」


「明日は教室登校3限まででありまーす」



「きー。じゃあ次の保健室の日においていきなさい!帰るわよ芯!」

苦笑いして手を振る芯を置いていくかのようにつかさは保健室を後にする。


バタンと去っていくつかさはまるで嵐のようだった。



「ね。見てて飽きないでしょ」

クスクスと鹿目が笑う。


「なるほどね鹿目さんは水見さんに憧れているんだね」


「そうなの?」


「自分から進んで何かをするってところがさ。大丈夫、鹿目さんもできるようになるよ」

誠史郎は鹿目に微笑んで見せた。


「その胡散臭い笑顔がかいちょー苦手なんだろうね?」

「おや?失礼な。本心なんだけどねえ」

2人でクスクス笑ってみせた。




翌日


「水見さん」


廊下を振り返ったら誠史郎がいた。少したじろいだが

「これ」カサリと紙が渡された。


「花が2本並んで咲いているいつも仲良く咲いている」


鹿目の字だった。


「これは没にしないであげてほしいなあ」



水見は少し鼻がツンとしたが、

「当たり前ですよ作品はまだまだ足りませんからね。鹿目にはがんばってもらわないと」


「書かないとかいちょーが怖いって鹿目さんが言ってましたよ?」

微笑む誠史郎に対して水見は、


『やっぱりアタシ何かこの人苦手』

紙を受け取ると水見はパタパタと教室に向かっていった。


「なんでここまで嫌われるかなあ?」

「感情で動いている子みたいだから何か感じるのかな?」

クスリと誠史郎が微笑む。







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