名残雪
165、名残雪
俯く度に涙が出てしまうのは あなたを今でも想っているから
雪は冬を越えて強さを持つけど 春が来なければ枯れてしまうんだね
かじかんだ指先 あの頃は温もりでつながって しのいだ
一人じゃあ 何もできないから 白いため息をつく
「さよなら」あなたに告げられたとき 何も言えず 唇 かみしめた
少なくとも 僕はあなたとの時間が幸せだったから
「ありがとう」あなたに告げられたらなぁ・・・だからもう一度 もう一度 あなたに・・・
胸の中で 積もり積もった名残雪
犇めく窓の向こうは 真っ白な街 あなたは今 どこにいるのかな
並んでいた歯ブラシ あの頃に揃えて買ったストラップ
一つじゃあ 何の意味もないけど ずっと抱きしめていたい
揺らいだ心は確かにあったけど 想いの帰る場所は一つだけ
あなたの元へ続く一本道に戻る あなたに会いたいから
抱えた重荷を下ろせるときまで 記憶の重さ 大事に 大切に・・・
「さよなら」あなたの背中が浮かんで ふいに流す涙はもう知らない
僕の胸を焦がす相手が この世界にきっといるはずだよね
「ありがとう」あなたに告げられたらなぁ・・・何も言えず 唇 かんだ あのとき
言いたくても 喉でつっかえた言葉を 今更呟いた
春を感じて いつか溶け出す名残雪
愛を失った心の中に降りゆく雪。
積った名残雪が溶けだすのはいつだろう・・・。
桜のつぼみがそろそろ咲く頃だ。




