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「やっほう! はじめまして蓮子ちゃーん!」
フェルナンドに連れられて謁見の間に入った途端、ちょう陽気な声に出迎えられ、多少なりとも緊張していたアタシは、昔のコントよろしくその場でずっこけそうになった。
フォルティアの王様は、アタシを見るなり、満面の笑顔で玉座を降りて駆け寄ってきたのだ。
しかも服は襟元はだけて着崩して、マントもフェルナンドみたいにピシっとまとわず中途半端に肩にかけて。
ちょい不良王様!
そんな単語が脳裏を駆け巡る。
お、王様っていったら、もっとこう、イゲンとかがあって、カクチョー高くて?
とにかくもっとビシッと偉そうに、玉座に鎮座ましましてるものだと思ったので、アタシの理想はかなりいい勢いで打ち砕かれた。
そんなこちらの気持ち露知らず、王様はがっちりとアタシの手を握ってくる。
「儂はフォルケンス・フォン・フォルティア。気軽にフォルちゃんと呼んでくれ」
「は、はい……」
歳のころは六十目前だろうが、フェルナンドやリーティアと同じ、青い髪に金色の目をしていて、オッサンのわりには整った顔。若い頃はさぞかしかっこよかったに違いない。
「私は王妃のフィーネよ。フィーちゃんって呼んでね」
いつの間にか王様の隣に来ていた王妃様が笑いかける。またまた、小さくって若々しくてかわいらしい人だ。フェルナンドは父親似、リーティアは母親似だろうことがうかがえる。
「本当はもう一人、フォレストという息子がおるんだが、これがまた放蕩息子でなぁ。各地をフラフラして城に居着かないんだ!」
ああ、そういやフェルナンドは第二王子って言ってたから、お兄さんがいるのか。
ていうか、両親も兄貴もイニシャルFFFなワケか……。
「フェルナンド殿に貴女のお話を聞いて、会える日を楽しみにしてたのよ」
ん?
王妃様のセリフに何か違和感。
しかしそれを確かめる間も無く、フォル王様がアタシの背をバシバシ叩いてくる。
「いきなり知らない世界に放り出されて、困ってる事も多いだろう。しかーし! そんな時は、儂やフィーや子供達、城の連中に、遠慮無く言うが良い! 戦巫女に助力を惜しまない! これは初代女王フェリシアから先祖代々伝わる大事な家訓だからな!」
FFFの系譜も先祖代々ですか。
ゲホゲホせきこみながら、アタシは心の中で一人ツッこんだ。