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番外編5.5:ロイヤルストレート三倍返し
さて。
フェルナンドはバレンタインの後、本当に独力でホワイトデーについて調べたようだ。
が。
「何、これ」
本日、バイトから帰って来たアタシの目の前には、菓子箱としては豪華すぎる装飾と、そしてデカさのそれに詰まった、
チョコレート。
「何、ではないだろう」
奴は得意げに腕を組んでふんぞりかえっている。
「三倍返しなのだろう。きちんと学んだぞ。新宿の有名店の『ロイヤルストレートスイート&ビター』だ」
……ははあん。
つまりこいつは、バレンタインにチョコをあげたから、お返しもチョコでして然り、と解釈した訳だな。
しかし、という事は。
「いくらしたの、これ」
アタシの問いに、奴は誇らしげに答える。
「一万五百円」
七秒ほどの沈黙の後、
「この、バカタレーっ!!」
アタシは満面の笑顔でグーを繰り出した。
同じ値段で別の物よこせ、もったいないっての!




