お兄ちゃんだけど、愛さえ(ry
少女には恋人がいた。
少女はいつもその男の子と一緒に帰り、同じものを見る時間を大切にし、まだ少し幼いなりに、自分ができる限りの愛を相手に贈る。それは相手の男の子も同じだった。
学校は一般的に、5日間通えば、定期的に休日が2日やってくる。
今日は1週間のうち、6日目である。というのも、今週はいつもとは違う行事があったのだ。今は、旅行という名に浮かれて学んだことを忘れていないかチェックする、授業のような時間になっていた。旅行という割には随分と嫌がらせのようなことをするのだな、などと思う人は当然少なくない時間である。
明日はどうしようかな。少女は頭の中で、今日帰ってから、明日の日曜という日をどう過ごそうか考えていた。少し田舎な自分の住む場所を出て、都会へ遊びに行こうか。それとも、田舎のおいしい空気を味わって、何もない時間を一緒に過ごそうか。
集中していない生徒を、教師というものは見逃さない。半分別の世界へと旅立ってしまっている少女の名を、担当の先生は指名する。
「よし、ここは誰かわかるか?」
突然指名されて、無意識にびくっ、と体が反応する。気づくと隣の友人は、用意していた教科書を3ページ進めていた。
「え、えーっと……」
少女は普段勉強はできるだけに、答えがわからないなどということはほとんどない。答えられないその姿に、教室中の人が驚きの顔を浮かべている。
すると隣の友人は、静かに持っていた教科書をこちらに向け、ある部分を指さしている。
「徳川慶喜ですっ!」
少し焦ったせいか、声が半分裏返ってしまう。
「んむ、正解だ。ちゃんと集中しろよー」
ほっと一息つくと、答えを教えてくれた友人は口角を少し上げて親指を立てている。友人の助けに、少女は笑顔で返すのであった。
昼になると、少女はいつもの通り、大好きな人のいるところへ行って昼食をとる。今回はホテルの食堂、というのが大きな違いであるが。
少女と少年が恋人同士であることは、学年中の誰もが知っている。もしかすると、上や下の学年にも知れ渡っているかもしれないくらい、2人の関係は有名だ。その2人の仲睦まじい様子を、いつも同じ空間にいる人々は邪魔したりせず、静かに羨望の目を向けている。
しかし、今日は違った。
今日の2人は会話がいつものように楽しそうに続いていない。少女がいつも話題を振るが、少年は「ああ」だとか、「そうだね」などという生返事をし、振られた話題は消化されることなく消えていってしまう。
挙句の果てには話題が尽きたのか、
「こないだね、勉強しててこんな縦読みできるところ見つけちゃったんだ!」
という、普通に返すのも難しそうな話になってしまっている。そしてそれを目の前にいる少年は変わらぬ表情で、
「そっか」
と返してしまうのである。
長かった学業を修める旅行も終わり、いつものように少女は少年のもとへ迎えに行く。
少女は昼の件など「たまにはこういう日もある」と割り切って歩いていく。そう思っているのは、その様子を見ていた人も、その場にはいないが話を聞いたという人も、そして少女の友人も同じだった。
やがて彼が乗っていたバスが停まっていた場所に着くと、いつもの大事な人が、立ったままぼうっとしていた。
来た少女の姿を見つけた少年の友人が、それを肩を叩いて知らせる。少年はそうしてようやく存在に気づき、一歩を踏み出す。少女はいつもされているように、手を取られるものだと思っていたが、そういうこともなく、少年の背中を駆け足で追いかけることになる。そんな2人の違和感を誰もが見逃さないが、それを尾行しようとしたのはきっと、少女の友人だけだったはずだ。
少年と少女はいつも手を繋いで並んで通る道を、少し距離を置いて歩いている。少女は少年の後ろ姿を見ながら、何かあったのだろうかと内心心配するのだが、少年はそれに気づくこともなく、ただ前を見て歩いている。少し冷えてきた今の時期の風が、少女にはまるで氷のように冷たく感じられた。
人気のない場所に辿り着いたあたりで、少年は突然少女へ振り返る。彼は真剣な目をして、少女の目を真っ直ぐ見ていた。その目に、温かさなどなかった。
「ねえ。あのさ」
今日初めて聞く彼の言葉に、少女は胸を高鳴らせる。そんな少女の気も知らず、少年は無慈悲にも、楽しかった旅の思い出を、それまで積み重ねた思い出を、残らず吹き飛ばすかのような言葉を吐き捨てた。
「別れよう」
その後もいろいろと言われたが、少女は突然の別れの宣言にただ呆然とするしかないのであった。
少女はその後、1人で帰っていく。途中で何度もクラクションの音が鳴り響くが、それは少女の耳を左から右へ流れていく。その姿はいつもの明るさとは一転、誰もが抜け殻のようだと口を揃えるであろうものだった。
後をつけていた友人は、少女が無事家に辿り着けるのかハラハラしながら、彼女の様子を注意深く見ていたが、少女の体はとうとうショックに屈してしまった。
「ちょ、ちょっと!!」
少女の友人は思わず、倒れた少女へ向けて走り出す。いつも明るい顔は、まるで血の気が引いたかのように真っ青だった。
すぐ目の前にあった公園へ少女を運び、ベンチで寝かせる。運悪く携帯電話の電池は尽きていて、人通りの少ないこの場所では救急車を呼ぼうにもそれができない。少女の友人は、無事に少女が目を覚ましてくれるのを信じて待つしかなかった。
10分くらい経った頃だろうか。少女はうっすらと目を開けた。友人は安堵と喜びで、思わず涙を流す。
「あ……あれ……ここって……」
「あんた倒れたんだよ!?大丈夫!?どこか悪いところない?」
「大丈夫……少しめまいするだけだから……大丈夫だよ」
ひとまず落ち着いた2人は、あったことをできるだけ話す。少女と少年の様子がおかしかったこと、そんな2人の後をつけたこと、少女が別れを告げられたところを見たこと……。
もちろん友人同士だ。傷をえぐるような下手な言い方はしていない。
「そっか……ごめんね。心配かけちゃって。でも、もう大丈夫だから」
少女はそうして、友人の心配を受け取りながらも、1人我が家へ歩き出した。
5分ほど歩いてようやく我が家の前に立った少女は、ふうっ、と息を整える。大好きな姉にいらぬ心配はかけたくない。そう思って、自分の顔をぱんっと叩いた。無理やりに作った明るい顔で、少女は家へ入っていく。
玄関には、姉の靴と、それよりも大きな靴があった。母の靴はなかったので、父のもの、というわけではなさそうだ。気になった少女は静かに、足音を消してリビングへ向かう
リビングの扉を開け、驚かせるつもりで「たっだいまー!」と明るい声で帰宅の合図をする。
その眼前には姉と、見覚えのある男が、今にも唇の触れ合う距離で顔を近づけていた。
「お……お……お姉ちゃんっ……何してるのおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
突如目に入った光景に美衣は思わず、家中に響き渡るほどの大絶叫を上げたのであった。
「「ただいまー!」」
3人は水族館から帰宅して、各々の荷物を自分の部屋へ置いてくる。俺は借りている部屋に、だが。
両親たちが出張へ行ってまだ3日。体感的にはもう2か月は経ったような気がする。
そんな進むのが遅いとも、あっという間とも思える時間は、全部大切に思えるとても素晴らしいものだった。
「真司!ご飯作るから一緒にやろっ!」
「おう、いいぞー」
俺は鈴蘭のもとへ歩み寄る。すると隣に立ったところで、突然鈴蘭が俺の頬にキスをした。
驚き熱が溜まる俺の顔を見て、鈴蘭が「ただいまのちゅーかなっ」などと笑顔を向ける。どんだけ恥ずかしいのかこの彼女はわかってやっているのだろうか。まったく可愛いものである。
ふと美衣のほうを向くと、なぜかとても元気のない顔をして、こちらに目を向けていた。俺の視線に気づいた美衣は、とても悲しい目をして、自分の部屋へと入ってしまった。
約1時間後、3人で食卓を囲んだ俺たちは、俺と鈴蘭合作の夕食を食べた。例のごとく、俺はほとんどお手伝いしかしていないのだが。
食べ終わって食器を洗い終わった俺に、鈴蘭はエプロンを脱ぎながら、まるで本当の妻なんじゃなかろうかと思ってしまう仕草で、俺に風呂を勧めた。
「真司、沸いたし先に入っちゃって」
「ああ、ありがとう。そうさせてもらうよ」
そうして俺は、綺麗に畳まれた着替えを手に、風呂場へと向かった。
今日も1日いろいろあったなあ。そんな回想をしながら服を脱ぎ、浴室に足を踏み入れる
頭と体を洗って、泡をシャワーで流す。そんないつも通りの作業をするが、ふと、人の家の風呂に入るというのはどうも少し緊張するな、などとと思う。
ここでいつも鈴蘭が体を洗ってるのか、などと思ってしまえば茹でられた蟹のように顔が熱くなる。もちろんこれはお湯のせいではない。幼馴染の家の風呂といえど、いや、幼馴染の女の子の家の風呂だからこそ、いろいろと考えてしまってのぼせかけてしまうのだ。俺はそれをつい昨日思い知った。
泡をしっかり流し切って、湯船のふたを開ける。すると……。
ざっぱーん。
大きな水しぶきならぬ、湯しぶきを噴き上げながら現れたのは、長く黒い髪をして、鈴蘭とそっくりだが、ある一点が鈴蘭には及ばない女の子、美衣であった。
「!?えええ……むぐぐ」
俺が思わず叫ぼうとした時、美衣はとんでもない速さと力で俺の口を押えていた。待て!そんな密着したらむ、胸が直に当たって……!
「お兄ちゃん!妹の胸で欲情しないでよ?」
血は繋がってないだろおおおおおおお!てか、まだ法的な意味で妹にはなってない!
「む、むむっむ!むむむむ!」
わかった!離して!と言ったつもりだったが、口をふさがれているので発音できていない。
それを察してか、美衣は黙って解放してくれた。しかしその代わりと言わんばかりに、人差し指を下に向けて湯船を指している。
これはつまりあれか、「一緒に入っていかなきゃ大声でお姉ちゃんを呼びます」っていうことだな。うむ、確かにそれはマズい。俺の命が怒りの炎で肉片か灰になってしまう。
そうしてどういう因果か、俺と美衣は、言うまでもなく一糸纏わぬ姿で、一緒に湯船の中に入っていた。湯船はそれほど広くないので、美衣は俺の足の上に乗っかる態勢だった。ぶっちゃけすげえエロい。俺の理性を最大限まで上げていなければ、よからぬことをしてしまいそうだった。
しばらく浸かっていると、美衣は笑顔で口を開いた。
「お兄ちゃんはさ、お姉ちゃんのことどれぐらい好きなの?」
なんてことを訊いてくるんだこの娘は。恥ずかしいったらありゃしない。
「そりゃあもう、言葉じゃ言い表せないくらい。だって小さい時からほとんどずっと一緒にいるわけだし、その中でいつの間にか好きになってたしさ」
俺は嘘偽りない、鈴蘭には恥ずかしくて面と向かっては言えないようなことを美衣に教える。
すると美衣は、うって変わってさっきの哀しい目をして、俺の目を見た。
「ふうん……私にも、そういう人できるのかなあ。お兄ちゃんがお姉ちゃんのこと好きなぐらい、それに負けないくらい好きって言ってくれる人。恋人とか、いたほうがいいのかな」
俺は胸を締められるような思いがした。
随分思いつめたような声だった。寂しさや悲しさが痛いほどにじみ出ていた。これはきっと、美衣にとってとても大事な問いのはずだ。俺は美衣の後ろ髪に向かって、しっかり答えてやろうと決めた。これは、俺がしなければならないことだと思ったのだ。恋人などついこないだまで無縁――実際はそうでもなかったかもしれないが――の生活をしていた俺が。
「きっと現れるよ。美衣はすごく可愛くてしっかりしてるんだ。絶対にだ。でもさ、そんなに焦ることはないよ」
「どういうこと?」
「きっかけとかはいつどこにあるかわからないから、かな。俺だってつい1週間前は、まさか鈴蘭と恋人同士になるなんて思ってなかったから。だから焦って無理に彼氏とか作っても、いいことないと思うよ。」
俺は自分の思う正直な意見を口にした。こんなことを言うのは美衣が初めてかもしれない。
「やっぱり、そうなのかな。いろんな人と付き合うのはいいことだって思ってたんだけど」
その目には風呂場の水ではない、悲しみを含んだ雫が浮かんでいた。そんなこと、本心では思っていないのが聞かずともわかった。美衣はもしかして、最近失恋を経験したのだろうか。それも、とても大きな。
「俺は経験したことないからわかんないけど、大好きな人から突き放されるってのはすごくショックで辛いことだと思う。もし何回も別れを経験してたら、心はそれに慣れちゃうんじゃないかな。人間の心は賢いからね。でも、それは絶対によくない。確かに別れで辛さを経験して、それで成長するのかもしれないけど、それに慣れちゃってたら、その人はその時本当に最初の恋のときくらい相手のことが好きでいるのかな。万が一その相手と別れた時、その人は以前ほど辛いと思う?別れる時に辛いと思わない恋や愛なんて、ニセモノだと思うよ」
俺は静かに、かつはっきりと、俺の意志を美衣に託した。こんな長い言葉がよくすらすらと出てきたと思う。それは俺が心の底から思っていることだから、なのかもしれない。
俺は今まで、恋愛でいいことがあったということはほとんどなかった。裏切られたり、振り回されただけだったり、そんな恋と呼べるのかも怪しい経験をした。それでも俺は、今こうして幸せを掴んでいる。もし鈴蘭と別れるなんてことがあったら、死んでしまうくらい辛い。それくらい別れが辛いと思える人と、美衣は限られた一生を共にしてほしいのだ。
例え今回がダメだったとしても、チャンスが潰えたわけではないのだから。
「そっか。そうだよねえ。あはは……お兄ちゃんの話聞いてたら、なんだか涙出てきちゃったよ」
「今は我慢しなくていいんだよ。泣いても、湯船の水が誤魔化してくれるからさ」
美衣はそこから、ずっと泣いていた。きっと心配かけたくないと思って、鈴蘭にも言えなかったんだろう。1人でよくがんばったな、と美衣を抱きしめてやる。詳しい話はよくわからないけど、きっとその人のことが本当に大好きだったんだと思う。それはこの涙が証明しているのだ。俺は美衣に、素晴らしい出会いがあることを、心から祈った。
と、そこで俺はふと大事なことに気づく。ここは風呂。体を流すために、身に着けているものはすべて外す。そう、何も着ていない状態である。その美衣を抱きしめているということは……。
美衣の体が、直接俺の体に当たっている、ということである。そこにはもちろん、鈴蘭ほどではないにしろ、それなりに豊かで柔らかな膨らみも含まれるわけで……。
「……っ!!す、すまん美衣!!!!」
突然謝る俺の体に、小柄な少女は腕を回してしっかりホールドしている。何について謝っているのか気づいた美衣は、悲鳴を上げるどころか、回した腕に更に力を込めた。その顔はきっと、いつもの小悪魔のような笑顔を浮かべていたに違いない。
「お兄ちゃん、だーいすき!」
「み、美衣いいいいいいいいい!!!!!!」
俺はそのまま、体中を駆け回る熱に意識を奪われたのであった。
気がつくと俺は、見覚えのない一室にいた。俺の意識が戻ったことに気づいた少女は、俺の腹に乗っかった。
「み、美衣!?」
そう、そこは美衣の部屋だった。可愛らしいぬいぐるみが並べられ、いかにも女の子、という雰囲気を放っていた。
美衣はいつも結んでいる髪を、風呂上りなのでそのまま下ろしている。その姿は、一昔前の鈴蘭にそっくりだった。
腹の上の長い髪の少女は、顔を赤らめて右手を頬に当てる。
「お兄ちゃん、すごかったなあ……あれが男の子なのか……」
俺は湯船で意識を失ってここで目覚めたが、洗面所に置いていたはずの寝間着を身に着けている。
「俺もう、お嫁にいけない……」
「それは普通女の子がいうセリフだよお兄ちゃん……」
呆れられた。いやだって彼女より先に俺の素っ裸をまじまじ見られたなんてそんな……。
顔をトマトのようにしている俺を見て、美衣は顔を再び赤らめる。その目は俺をうっとりと見つめていて、唇はほんのりと光を反射しているのがわかる。
「お兄ちゃん……お兄ちゃんが大好きな人がお姉ちゃんなのはわかってるけど、私もその一員にしてくれない?」
すまん、何を言っているのかさっぱりわからん。
すると美衣の顔が、だんだん俺の顔に近づいてきた。
「お兄ちゃん……」
マズい、この展開は……。
「美衣いいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
バタン!と大きな音を立てて扉が開く。
もちろん現れたのは、顔を真っ赤にした鈴蘭であった。もちろん、その赤は怒りの色である。
「真司の裸をまじまじと見てたなんて!私でもそんな……じゃなくて!真司は私のなのーっ!!」
おい鈴蘭、今危ないこと言いかけただろ。というか、最初から聞いてたなその様子だと……。
そう思った途端、俺の腹の美衣は満面の笑みでこう言った。
「お兄ちゃんだけど、愛があればぜーんぜん関係ないよねっ!」
「お前はそんないろんな人を敵に回すようなことを言うなああああ!!」
思わず突っ込みを入れてしまった。てか何!?美衣まで俺のこと好きになっちゃったの!?
「なーんてねっ。お兄ちゃんのことは大好きだけど、お姉ちゃんから奪ったりなんてしないよっ。あくまでお兄ちゃんとして、だもん」
「な……なんだ……てっきり真司を寝取ろうとしてるのかと……」
「鈴蘭……お前もだんだんレベル高くなってきたな……」
俺はひしひしと思わされる。鈴蘭は日に日にそういうことに関する知識が増えていってる。このままだと俺は、将来的にものすごいプレイをさせられるかもしれない。そうなる前に止めようと心に決めた。
そんなことを思っていると、美衣は突然、俺の上から頭を下ろした。
その唇が、俺の唇にぴったりとくっつく。俺はその柔らかい感触に酔いしれ、横で見ている鈴蘭は文字通り目を丸くして俺と美衣を見ていた。
「えへへっ!お兄ちゃんの唇、私もゲット♡」
「み……美衣さん……」
いかん、俺、このまま美衣を襲ってしまうかもしれん。それを止めたのはもちろん、我が愛妻になるであろう鈴蘭であった。
「み……美衣のばかああああああ!!!!」
鈴蘭は勢いよく俺の唇を唇で塞いだ。まるで、上書きをするかのように。何がとは言わない、恥ずかしい。
「ああっ!せっかくお兄ちゃんの色を私色にしたのにい!」
私色ってなんだ!と突っ込もうとしたが、できない。鈴蘭がいつまで経っても唇を離してくれないのだ。
ようやく解放されたのは、それからたっぷり1時間過ぎた頃のことであった。
おかしいな、割と重い話書いてたはずなんだけど、なんでこうなったんだっけ?
はい、どうも、つぼっこりーです。毎回読んでいただいてありがとうございます。
日常生活では模試という高難易度イベントをなんとか乗り切り、精魂尽き果てた私は今、半分目が閉じた状態で画面に向かっております。めっちゃ眠いです。
美衣は大好きな恋人に突然別れを告げられました。当たり前と思っていたものほど、あっさり崩れてしまうのです。それが恋や愛というものならば、きっともっと脆いでしょう。それを強調する言葉が何度も出てきています。
そして、特に病んでいるということもございませんのでご安心を。たまに暗めな話が書きたくなるのです。完結させたらやたらリアルな憂鬱作品でも書こうかしら。
そろそろ睡魔が限界なので今回はこの辺で。みなさんの暮らしが楽しく明るいものでありますように。また次回、読んでいただければ幸いです。そしておやすみなさい。