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プロローグ ~ 命をつなぐため

2025/4/30 初稿

 「真美まみさん、そろそろ分娩室へ移動しましょうか」と助産師さんが言った。

 「はい」と私は小さくうなづく。そして、「健司けんじ、私を守ってね」と呟いた。

 今、ここにお腹の中の父親である健司はいない。いや、もうこの世にはいないのだ。

 私と子供を守るために命を落とした。

 

 ちがう!


 また、いつものループに入りそうになったので私は慌てて心の中で叫んだ。


 ちがう。

 私たちのせいで命を落としたのではない。彼は命をつないだのだ。私を助けることで、私と赤ん坊という未来の命へつないだのだ。

 だから、私もシングルマザーとなる道を選んだ。健司と私の子供であるこの子を生むことで健司の命を未来へとつないでいくのだ。


 私は助産婦さんの介添えでゆっくりと分娩室へと向かう。


 何があってもこの子は無事に生んでみせる。この命を引き換えにしても命をつないでいくのだ。


「大丈夫。私、みことを生んで見せるわ」

「え?」

「いえ、なんでもありません」


 思わず口から出た言葉を助産師さんに聞きとがめられたが、笑顔でかわす。

 「命」とは生まれてくる子供の名前だ。命をつないていくと決めた時、その名前が頭に浮かんだ。男の子でも女の子でも「命」にすると決めたのだ。


 いのちをつなぐ「みこと

 良い名前でしょう? 

 だから健司、私と「命」を守ってね。あの日、あの夜、私を守ってくれたように……


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