08.殺されそうな笑顔。
『何で死のうとしてたの?』
西園寺璃央は私に問う。
何でだろう……と考えながら、私は自然と下を向いていた。
思考しながら、今までの人生が浮かんできて憂鬱な気分になる。
「……生きてる意味が……分からなかったから……もういいかな……とか……思って……」
俯いたまま、途切れ途切れに小さな声で答えた。
西園寺璃央はなんと言うだろう。
責められるかな、怒られるかな……。
「あー、生きてる意味って確かに分からないよねー。僕も分からない。意味なんてないんじゃないかな?」
え……心の中に怒りがわいた。
こんな金持ちなのに? 何言ってんの?
「今、こんな金持ちの坊ちゃんが何言ってんの? とか思った?」
西園寺璃央は今夜二度目の私の心を読んだかのような発言をする。
「…………」
図星を指され、気まずくて何も言い返せない。
「ふふ、金持ちは幸せそう?」
明るい声が聞こえたので、少し顔を上げると、
「…………」
笑顔で目だけが笑っていなかった。
何かすっごい怖い目してる……こわっ!こわっ!
殺されそう!
「……幸せそうに思いますけど……貧乏でもお金持ちでも……みんな悩みはあると思います……」
殺されそうなので頭をフル回転させ、そんな事は微塵も思っていないけど、ご機嫌を取る言葉を伝えた。
再度顔を少し上げると、西園寺璃央は真顔になっていた。
「そっか、そうだね…………ベッドに座ってくれる?」
え、何急に……ついにやるのか?
怒ってて痛めつけられるのは嫌だな……。
そんなことを思いながら私はベッドへと向かった。