07.優雅な笑みと酷な質問。
バスルームから出ると、西園寺璃央が高級そうなイスとテーブルで紅茶を淹れていた。
「……似合わないね、やっぱり」
私を見た西園寺璃央がおかしそうに少し笑う。
(こんなワンピース私に似合うわけないじゃん)
心の中で呆れながらも無表情で、次に私はどうすればいいのか指示を待っていた。
なんか悠長にお茶入れてるけど、一緒に飲むのかな。
「立ってないで座りなよ。紅茶飲もう」
やっぱりか。
やるならさっさとやってしまいたいのだが……。
そう思いながらも私は指示に従った。
私はもう彼の物だ。
「はい、どうぞ」
西園寺璃央が差し出してきた紅茶は、いい香りがした。
きっと高級なお茶なんだろう。
うわ、ティーカップもこれ高級だ、傷つけないようにしないと。
私はティーカップを持ち、そっと口をつける。
紅茶は美味しかったが、正直どうでもいい。
本当は今、水を飲みたいし。
「で? 何で死のうとしてたの?」
「ッ……」
唐突と言うか、それを聞くか。という質問に、私の気管に紅茶が入った。
「ゲホッゲホッ……」
ティーカップをそっと置きつつ、口に手を当て咳き込んでいると、
「あ、ワンピース汚さないでね。大切なものだから」
ワンピースの心配か……まぁ、心配してなんて思ってないけど、やっぱりこの人どっかおかしいわ。
それに大切なワンピースなら私になんか着せるなよ……。
「……すみません」
咳が治まったので、一応謝っておく。
「大丈夫? 紅茶落ちてない? まぁ、すぐにクリーニングには出すけど」
まだワンピースの心配か……この人怖いなぁ……。
「で? 何で死のうとしてたの?」
西園寺璃央は優雅な笑みを浮かべながら、しつこく私にその質問をして来た。
こいつサイコパスか。
私は心の中で突っ込みを入れた。